22話
本日からアルファポリスでも連載を始めました!
よろしくお願いします!
こうして、男の子の名前決めが始まった。
「順番はディル、私、フレイン、ティーナでいいわね!」
「は、はい……」
な、なんかいつも以上にアルカナのテンションが高い気がするのだけれど………病み上がりよね?大丈夫なのかしら………しかも、ほっぺにチューって……
そう思いディルとフレインに視線を向けると、二人は私からサッと視線を逸らした。
「まずはディルからね!自信があるようだけれどあんたなんかにこの子のチューは渡さないわ!」
そんなに、ほっぺにチューして欲しいのだろうか………普通に頼めばいいのでは……?というか拒否権がない男の子が可哀想だ………。
「いや、別にチューは要らないんだが………まぁいい。俺が考えた名前はシロだ!どうだ!ピッタリだろ!」
ディルが自身ありげに叫ぶ。きっと由来は髪の色が白いからシロ………って、犬じゃないんですから!
「シロね………甘いわ、ディル!私はもう一段階上をいってるんだから!」
「な、何だと?!」
アルカナが高々と宣言する。何というか、二人とも楽しそうですね。
「私が考えた名前は、ハクよ!確かに名前の由来はディルと同じかもしれないけど、響き的には圧倒的に私が勝っているわ!」
ふふん、とアルカナが自慢げに椅子から立ち上がりディルを見下ろす。
その一方で私の隣に腰掛けている男の子の瞳が不安そうに揺れているのが分かった。それもそうだろう。四人いるうちの二人が、名付けのセンスが皆無なのだから。
「次はフレインの番よ!私に勝てるとは思わないけど、言ってみるといいわ!」
「う、うん……僕もその子にチューされたいっていう願望はないけれど、中々いい名前を思いついたと思うよ。その名もアクアホワイト。由来は水色の宝石アクアマリンのような瞳の色と髪の色だよ。まぁ、今は違うけど。どう?気に入ってくれた?」
男の子は、自分を助けてくれた私達に気に入らないとは伝えにくいのか、あわあわし始めた。
全く……どうしてこうも皆んな名付けのセンスが皆無で色から付けたがるのだろう……確かに珍しい色合いだし、特徴的なのはわかるけれど………
「うっ!中々やるわねフレイン……」
何故かアルカナがダメージを受けていた。私的にはフレインのアクアホワイトという名前はどこぞの貴族の姓としか思えないのだけれど………
「さぁ!最後はティーナよ!たとえティーナでも、私は絶対にチューを諦めないわ!」
もう、気にしないことにしよう。このアルカナのチューへのこだわりは。気にしていたらきりがない気がするわ………
そして次はとうとう私の番だ。
ディルとフレインはともかくアルカナの瞳の奥でメラメラと炎が上がっている気がする。そんな中、私に縋るような眼差しを向けてくる男の子………なんだか居た堪れない…………
でも、うん。この子のためと思えば……私は深く息を吸う。
「……ルークというのは、どうでしょうか?」
私がそういうと、男の子は目をまん丸く見開いていた。
まぁ、本当の自分の名前なんでしょうし……驚くのも無理はない。
「ルーク……良いわね………悔しいけど負けを認めるわ……でも、決めるのはこの子!まだ完全に負けが決まった訳じゃ……「なぁ、確かに良い名前だとは思うがどうしてルークなんだ?」
話している途中に口を挟まれたアルカナが頬をぷくっと膨らませて拗ねている。
何ですか……それ………可愛いですね。
じゃなくて、ディルの質問に答えなきゃよね……どうしよう?……本当は親から貰った大事な名前っていうのと、その方がすぐに反応できそうだなって思っただけなんだけれど、何で知ってるんだってなるし………もう、これしかないわよね…………
「……うーん、何というかピンときたっていうか?」
「ピンと……か………なるほどな」
何とか、誤魔化せたようだ。ホッとして思わず息を吐いてしまう。
「ほらほら、そんなことより早く決めないとだよ」
「そうね!ねぇ君、私のを選んでくれたら、美味しいケーキでも何でも食べさせてあげるから!お願い!」
「おいこら、そこ!子供を脅すんじゃねぇ!」
「なっ!ディルったら人聞きの悪い!私は脅してなんかいないわよ!ただ私のを選ぶと良いとこがあるってだけよ!」
「アホか!それを脅しって言うんだよ!」
全く……この二人は何か言い争ってないと気が済まないのかしら………
「ほらほら、二人ともそこらへんにしときなよ。これじゃ話が進まないよ?」
「…分かったわよ……」
「……あぁ」
今回もいつも通りフレインが丸め込んでくれた。
役に立たなくてすみません……頑張ってください!フレイン!
「じゃあ、僕たちは目を瞑ろうか流石に恥ずかしいだろうからね?」
フレインの言う通り、私達は目を瞑る。可哀想だがこれで嫌でも今すぐに名前を選ばなくてはならなくなってしまった。
長引いてしまってすみません、、、




