三人の魔法使い①
ケルナの家に今夜はこの街の長がやって来た。向こうのほうでユハや自警団の偉いさん達となにやら込み入った話をしている。
ケルナは弟のブチナやユハの手下、そして二人の少女に手伝って貰いながら夕食の片付けをやっている。本当によく働く働き者だ。片付けがある程度終わると残りを手下たちに任せてケルナとブチナはユハたちの話に混ざったようだ。
俺とロッタはそんな話を聞くとも無く聞いていると二人の少女が茶を出してくれた。
「どうぞ」
俺は礼を言いながら茶を受け取り、なんとなく話しかけてみた。
「お前たち、よく見るがケルナの家の子なのか?」
「んーん」
俺が尋ねると大きな子の方が首を横に振った。
「わたし達お父さんもお母さんもいないから……」
「そうか……ではどこに住んでいるんだ?」
「あのね、ユハがね……ユハがこの街に来てからね……わたし達はもうマツーダファミリアの一員だって、ほんとの娘だって」
あのユハが面倒を見ているということか?
「ではユハと住んでいるのか?」
少女はうなずいた。
「そうか……ユハは優しいか?」
「優しいよ……でも……」
「でも?」
「嫌いなものとか残すと…………時々怒る」
「ははは、そうか。でも嫌いなものでも何でも食べないとだめだぞ?」
少し気に入らなそうな顔をするが渋々うなずいた。
「お前たち名前はなんというんだ?」
「わたしはルーチェ、こっちは妹の……」
「わたしはカペラだよ」
「そうか、ルーチェ……と、カ、カペラ? だな、俺の名はタケゾウだ、よろしくな」
「たけ……ぞう?」
「そうだ」
「分かった、タケゾウ!」
かわいらしい小さな姉妹は交互に俺の名を呼んだ。
「そしてこっちの魔法使いがロ……ローテ……アウアウ……アウゼンだ」
ロッタは不満そうな視線を俺に突き刺した。
「ええかげんに儂の名を覚えんか」
「覚えたさ、あってただろ? 普段は呼ばないから言い慣れないだけだ」
ロッタは溜息を吐いて茶を飲んだ。
「魔法使いさんの名前は知ってるよ、ケルナから聞いたもん」
「俺の名は聞かなかったのか?」
「聞いたよ、ケルナに勝ったんでしょ? タケゾすごいね」
「勝つには勝ったが、ケルナも強かったぞ」
姉妹と話をしていると玄関の戸を叩く音がした。すぐにルーチェとカペラは玄関に走っていった。
「あ、いらっしゃい。どーぞー」
ルーチェに招かれて入ってきたのは三人の女、その出で立ちから魔法使いだと分かった。




