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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第三章 コリーンのイセッタ婆さん
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ペンドラゴンの亡霊④

 競争するように速く飛び、仲間たちに罵声を浴びせながらはしゃぐエミリアに面食らうのも束の間だったような気がする。

 エミリアは俺を森が見渡せる高台に下ろした。

「もうホルニッセたちはこちらの接近に気付いて顎を鳴らして威嚇しています。ここからなら戦場が見渡せます、これで遠くも見えるようになります」

 そう言ってエミリアは陣の書かれた紙を鞄から取り出して俺に握らせた。

「伝令を一人置きます、必要なら使ってください」

 伝令だと紹介された少年はホウキから降りると頭を下げた。

「よろしくお願いします」

「じゃあわたし行きますね」

 エミリアは慌ただしく上昇し、ホルニッセの巣へと飛び立っていった。

「伝令……じゃあ呼びにくいな、名前はなんていうんだ?」

「あ……はい、ボニファティウスと言います」

「ボ、ボニ……おう、よろしくな」

 俺は名前を聞いたことを後悔した。

 気を取り直し早速エミリアから貰った陣の書かれた紙を持ってみるが使い方が分からない。これで遠くまで見えると言ってたたはずだが……

「ええと……伝令君」

「え? あ……はい」

「これはどうやって使えばいいんだ?」

 エミリアの陣を見せてみた。

「ええと、これは……」

 陣を見つめて固まってしまった。使えねえな……

 エミリアのことだ、そんなに面倒なやり方にはしていないだろう。そう考えて見たい方へ紙を向けて陣を覗いてみると陣が光り遠くの物が拡大されて陣の中に見えるようになった。

「どれどれ……」

 覗き込むとエミリアの背中が見えた。

 森の木立の中から人と変わらぬ大きさの影がいくつも上がってくる、あれが蜂の魔獣か。

 いきなり青白い閃光が奔った、閃光に当たった蜂は丸くなって落ちていく。エミリアの魔法だろうか……たて続けに閃光は奔りその度に蜂は丸くなって落ちていく。

 落ちて行った蜂を追うように今度は炎の魔法が降り注いでいく。

 エミリアは上空を飛び回りながらどんどん蜂を落としていっている。なかなか健闘しているようだ。

 エミリアが魔法を行使するたび青白い閃光が奔り、やや遅れて遠雷のような破裂音が聞こえてくる。

 しかし蜂を落とすのはエミリアばかりで炎の魔法は飛び回る蜂にはうまく当たらないようだ。こうして見た限りでは炎の魔法は素早く動く相手に当てるのは難しいようだ。

 まだ始まったばかりだが蜂を落とすのはエミリアばかりで炎術使いは蜂のとどめを刺すのみのようだ。一見すると健闘しているがエミリアの負担が大きくあまりいい状況ではないな……

「伝令君!」

 俺は伝令を呼んだ。

「あ……はい! あの……ボニファティ……」

「指揮所まで情報を送るのにどれほどかかる?」

「あ……ええと煙弾で伝えられる程度の内容なら2分くらいで……」

「苦戦中……でも大丈夫か?」

「あ……それなら青で大丈夫です」

「よし、すぐに頼む」

「分かりました」

 伝令は青色の煙弾を打ち上げた。イセッタ殿やロッタならこれを見れば何かしらの対応策を出してくれるだろう。

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