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魔法遣いローテアウゼンのキセキ  作者: 福山 晃
第三章 コリーンのイセッタ婆さん
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エミリアとペンドラゴンの亡霊①

 タケゾーさんを降ろしたわたしはホルニッセたちの巣に向かってホウキを飛ばす。

 ここからでも興奮して羽を奮わせ顎を鳴らして威嚇する音が聞こえてくる。黄色と黒の恐ろしい外見をしたホルニッセの立てる威嚇音、思わず肌が泡立つのを感じる。

 わたしの到着を見たオスカーが腕を振って攻撃開始の合図を出した。

 わたしは全速力でホルニッセの巣に飛び込みながらベルトから杖を抜いて詠唱を始める。

「雷を奔らせ給え……雷を以ってその体の自由を奪わしめん」

 真っ直ぐ飛び込んでいくわたしの前に立ちはだかるようにホルニッセが現れた。

「ブリツリヒト!」

 激しい閃光、空気をつんざく炸裂音と同時にホルニッセは丸くなって落ちていく。わたしは右に回転しながら衝突を避けて上昇旋回に移行すると落ちていくホルニッセを追うように炎の槍が飛んでいくのが見えた。ロジータの魔法だな。

 正面に目を戻すとまたホルニッセがわたしを狙ってきてる。

 避けきれない。

 わたしは瞬時に乗っていたホウキを蹴って落っこちると頭のすぐ上をホルニッセの毒針がかすめていく。

「あぶなっ!」

 空中を落ちながら詠唱する。さっきのホルニッセがわたしを追って迫ってきた。

「ブリツリヒト!」

 電撃が命中するとホルニッセはくるんと丸まって動かなくなり落っこちていく。

 わたしは思念操作で呼び寄せたホウキにつかまりもう一度上昇する。

 森からは次々とホルニッセが飛び上がってくる、ものすごい数だ。こんなのいちいち詠唱してたんじゃ間に合わない。

 ロジータやオスカーたち炎術使いの魔法は素早いホルニッセには対応が難しい。

 上空を旋回しながら戦場を観察するとわたしの他にホルニッセを落とせているのは風術使いのエルマくらいのようだ。わたしががんばらなきゃエルマが全部落とさないといけないのね。

 こういう時どうするんだっけ……短縮詠唱とか習ったんだけどそれでもこの数には対抗しきれないな……どうしよう。

 魔法の詠唱というのは実はあまり意味がなくて魔法の行使に対する自分自身への合図のようなものだそうだ。

 学校では魔法の行使に小さな杖を使うことを教えているがこの杖も必要なものではなく、要は意識を集中しやすいので導入したのだと校長から聞いたことがある。

 実際イセッタ校長は魔法の行使の際に詠唱しないし杖も使わない。

「うーん、まとめて詠唱してから少しずつ使うってやつをローテアウゼン先生が言ってたような……?」

 なんにせよ今はやってみるしかないな……ホルニッセが見えるだけでも20や30は飛び回ってる、森の中の巣にはもっといるだろうしな。

 詠唱に繰り返し詠唱を重ねて……そうだな杖の中に蓄える意識でやってみよう。

 何重もの詠唱を重ねることで杖の先が青く発光し小さな火花がほとばしっている。

「よし、これで!」

 わたしは勢いをつけてホルニッセの群れの中に飛び込んだ。

「ブリツリヒト!」

 良い感じだ。速い! それから……なんだろう威力も増したような……?

 わたしはホルニッセの群れの中を縫うように飛び回り次々と電撃を食らわせていった。

 落ちていくホルニッセには炎術魔法が降り注ぐ、良い感じ。すごくいい感じ。

 エルマも風術でホルニッセを空中で切り刻み落としていた。しかしやはり一回ずつ詠唱を行うので数に手を焼いている様子だ。

 わたしはふと閃いた。

「エルマ! オスカーと協力して!」

「ええっ? なんなの?」

 エルマの近くのホルニッセを電撃で落としてからエルマの横に付けた。

「オスカーのフラメンタンズを巻き込んで放てば威力が倍増するんじゃないかな? 2、3匹くらいいっぺんに落とせるよ、きっと」

 そしてわたしはオスカーを呼んだ。

「なんだよエミリア」

「フラメンタンズをエルマのルフトシュナイダの中に放ってと言ったら出来る?」

「はあ?」

 そう言ってる間にホルニッセが次々と襲ってくる。

「ほら来たよ、早く!」

 わたしが急かすと二人は疑いながらも詠唱を始めた。

「私が合わせるからオスカーが先に撃って」

「おう、いくぞ。フラメンタンズ!」

 オスカーの放った炎術にエルマが風術を重ねる。

「ルフトシュナイダ!」

 炎を巻き込み巨大な渦となってホルニッセを薙ぎ払う。2、3匹どころじゃない数のホルニッセを巻き込んで切り刻んだ。二つの魔法が重なったおかげなのかいつものルフトシュナイダよりも巨大な渦となっていた。

「……こんなのありかよ」

 オスカーがぽつりと呟いた。

 エルマもその威力に驚いていた。

「よ……よし次だ、エルマいくぞ」

「エミリア! ありがとう」

 そう言ったのはエルマだった。わたしは手を振って離れた。

 だが礼を言うべきはエルマじゃない。私は知っている、オスカーはエルマに気があるのだった。

「感謝しろよ、オスカー」

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