魔獣師…海で遊ぶ
通された部屋は家具から彫像品まで煌びやかで高価な物が揃えらた貴族的な部屋だった。
『趣味では無いな…』
この大貴族でありながら貴族的な趣向がほぼ無いシリウスには少し落ち着かないが、クラウスは物珍しそうに探検を始めルゥは後付いて回る。
取り敢えずシリウスは無駄に高価な彫像品を魔術で落ちない様に固定してクラウスの安全を確保する……
『とーたん!! おとまりー?』
キャッキャと喜ぶクラウスを抱き上げ
『そうだ!! お泊りだ!!美味しいモノを食べて今日は早く寝て明日は海で遊ぶぞ!!』
高い高いと持ち上げやる
『うみー?』
海を知らないクラウスが首を傾げる
『海は楽しぞ!! 塩っぱい水がいっぱいだ!!』
『いっぱーい!!』(グルルル〜)
クラウスの腹の虫迄、ハシャギ始める
『先ずはご飯をいっぱい食べるぞ!!』
『ごはーん!!』
この日はクラウスの体力を考えて部屋で食事する事にする。
高級宿なだけあって子供用のメニューも魔獣用の食事の用意も有り、大人用も子供用もふんだんに魚貝類が使われ、魔獣の食事も良い物が用意され、食事に大満足した二人と一匹はこれまた、魔獣用の風呂まで設置された風呂で楽しみ、フカフカで大きなベッドでクラウスを真ん中に並んでゆっくり眠りに就いた
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思ったより疲れていたのか、普段より遅い時間に目覚めるシリウス
『クラウス、そろそろ起きろ』
横でスヤスヤ眠るクラウスを優しく起こす
『とーたん』
パチリと目お開けたクラウスが嬉しそうに笑う
『なんだ!! 朝からご機嫌だな!!』
『うみねー』
寝起きからワクワクが止まらないクラウス
『バゥ』
ルゥもクラウスに頬擦りしながらワクワクの止まらないクラウスにデレる
『先ずは食事な!!』
ソワソワ、ワクワクするクラウスに何とか食事を食べさせて、シリウス達は海へと向かう為に宿を出た。勿論、クラウスは体力温存も兼ねて定位置のルゥの上だ。ちなみに今日は海で遊んだ後、首都へ向かう予定だ。
宿を出て歩き始めると、シリウスもルゥも尾行されている事に気付く。ただ、間諜としては優秀では無い様で隠蔽魔術も尾行の技術も稚拙で尾行はバレバレである。
シリウスもルゥも計画が上手くいってる様で安心する。手練れの人間を監視に付けないと言う事はそれだけ、警戒レベルが低い証拠だ、マリアとラミーが脱走してそこまで日が立ていないので一応、他国の軍人は尾行すると言った所だろう。
宿から少し歩くと白い砂浜が広がる浜辺にたどり着く。
『ほえー』
目をまん丸にして目の前に広がる海を見つめるクラウスが声を上げる
ルゥから滑り降りると砂で足がとられながらトテトテと波打ち際に近づく。
『とーたん!! じゃばーって!!』
打ち寄せる波を見てキラキラした瞳でシリウスを見上げる
『あー!!スゲーだろ!!』
そう答えるシリウスもまるで子供に返った様な顔で笑う
シリウスがクラウスを裸足にしてズボンの裾を捲ってやると、手を繋いでクラウスの足首ぐらいに波が届く所まで進む。
『じゃばーっして!! あち、しゅるーて!!』
打ち寄せる波の感覚と波が引く時に砂も一緒に引いて行く感覚を足に感じ、その感覚に興奮するクラウス
波の感覚にハマったクラウスは謎の波との追いかけっこを始める。
(波が引くと追いかけ打ち寄せると逃げる)
ルゥとシリウスは謎の追いかけっこに付き合い、たまに大きな波が来たらシリウスは脇に手を入れ持ち上げ、ルゥは首が閉まらない様に器用に服の襟を咥えて持ち上げ、波が引いたら戻すという謎のサポートをクラウスが疲れるまで続け、疲れたら砂浜で砂遊びをしながら休憩してまた戻るを、クラウスの腹の虫が騒ぎ出すまで続けた。




