魔獣師…首都に着く
昼食はルゥにクラウスを任せ、シリウスが近くの屋台で魚のフライのサンドイッチと果実水を買って来て浜辺で食べた。
食べている最中から、うつらうつらと舟を漕ぎ始めるクラウスを寝かしつけやるとシリウスは、いつもの様に弱い回復魔術を展開して、クラウスを抱き抱えるとルゥと共に商業地区へ行く。
商業地区で果物や菓子を買い魔空間へ仕舞う。
それから屋台で今度は肉や野菜、卵などを挟んだサンドイッチと果実水などを買ってそれも魔空間へと仕舞う。
魔空間は空間の中の時間が止まる為、入れたモノが入れた時の状態のままで保存出来る(生きたモノは入れられ無いが)、シリウス達は 食べ物を仕入れると、首都に向かって出発した。
今から、出発すれば明日の朝には首都に着く。ルゥは夜目が効く為、今日は夜間も移動に当てる。
軍人のシリウスも上位魔獣のルゥも二、三日寝なくても何てこと無いが、クラウスには常時回復魔術を展開する事で、クラウスへの負担を減らしながらシリウス達は首都へと向かった
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首都に到着して事前にアランが予約した宿に入る。
この宿はアランの事前に調べた所、超が付く程の高級宿でレストランやバーも併設されており国の上層部の人間が良く出入りしているらしい。
昨日の宿より更に豪華な部屋に案内され、若干の胸焼けを覚える大貴族の嫡男……
シャンデリアや装飾品に彫像品で目がチカチカする。グレイ家の人間は基本的に派手な物を余り好まない、屋敷に置かれている家具、装飾品、彫像品も高級な物に変わり無いがシンプルなモノが多い。
スルジア王国貴族には少ないが、財力自慢的な趣味、傾向の貴族、国の上層部、大商人などが好みそうな部屋だ
部屋で少し休んだ後で街に出るシリウス達、国境の街より手練れの間諜が背後に着くが、実はアランにより首都には一足早く間諜が送り混まれており、背後に間諜が着いた段階で合図が送られて来た。
シリウスもルゥも間諜の魔力を確認するが高度な隠蔽魔術により確認出来ない……
高位の魔術を展開すれば確認出来るだろうが、手練れの間諜相手には気付かれかねないので、これ以上探る事はしない。
マリアから聞いた、軍の基地に近い魔獣の保護施設に見学に行く事にする。
入口で市民カードを提示しルゥを含め全員で銀貨四枚の入場料を払い、中へと入る。
入口近くに魔術式の組み込まれた柵に囲まれた象の魔獣がいた。
『にーたん!! にーたん!!』
定位置のルゥの上で早く近付きたくてルゥを急かす
『バゥ』
ルゥはヤレヤレといった感じに象の柵に近付いてやる。
ルゥが近付くと象の魔獣は後退りし、それを数回繰り返すと、ルゥの上からクラウスを回収しながら
『ルゥ、象がお前に怯えるから少し離れとけ』と言うシリウス
ルゥは肩を落としながらその場から少し離れ、寂しそうにクラウスを見つめる。
草食系の魔獣や下位の魔獣は本能でルゥの存在に怯える、グレイ家の魔獣達は慣れており、ルゥを守護者と見ている為に必要以上に怯えはしないが……初対面の場合は、ほぼ近付け無い……
魔獣好きでワクワクしているクラウスの為に離れてやる。
クラウスを抱えたシリウスが近付くと、象の魔獣をのそりのそりと近付いてくる、柵まで近付いて来ると鼻を器用に使いクラウスをこちょこちょと擽ぐる
『じょーさん!! 』
キャッキャと笑いながら鼻に抱きつく
『坊や! 怖く無いのかい?』
魔獣師が慌てて近寄って来る
『じょーさん! あしょんでくれたー!!』
象の魔獣の鼻にスリスリと頬ずりしながら答えると、象の魔獣は鼻を優しくクラウスの体に巻きつけ持ち上げると、自分の背中に乗せる。
『チムニー!! お…お前…何してるんだ!!』
チムニーと呼ばれる象の魔獣の行動に驚いた魔獣師が声を上げる
『心配しなくてもコイツに敵意も無いし大丈夫だろう』
今度は鼻でシリウスにちょっかいを出すチムニーを撫でてやりながら平然と答えるシリウスに
『あ……貴方達は何者ですか?』
ここは公開しているとは言え〈魔獣〉の保護施設だ。勿論、人間を襲う事は無いし、少しでもその危険性が有る場合は公開されないが、だからと言って魔獣師以外の人間に慣れてい訳では無い。
担当の魔獣師にはこんな風に戯れる事もあるが、初対面の観光客にこんな行動をした事など無い為に魔獣師は驚いた
『俺はスルジア王国で魔獣師をしてるシリウスだ。あの子は息子のクラウス、アイツは相棒のルゥだ』
シリウスは敢えて隠す事なく、正体を明かす
『スルジア王国のシリウスって……あの!! シリウス・グレイ副隊長ですか?』
シリウスの正体を知って、驚きを隠せない魔獣師
『どのシリウス・グレイだが知らんが……シリウス・グレイだ……』
魔獣師のテンションに引き気味のシリウス
クラウスはチムニーに乗り楽しそうに、はしゃいでいる。
『シリウス副隊長が平気とそう言うなら大丈夫なのか…?』
初めての状況とシリウス達の落ち着いた様子のせいでシリウス達ペースに巻き込まれる魔獣師だった




