サプラーイズ
ゲイルのつぶやきに、声には出さないが他のクラスメイトたちも賛同した。
現在宗美たちはシミュレーターの中にいる。
シミュレーターのステージは宇宙、戦いはまず索敵から始まる。
敵を先に見つければ先制攻撃ができ、その分優位になるからだ。
だから一対一や多対一の宇宙戦は序盤は静かで地味なことが多い。
「だから、今が何時なのか教えてくれ。宗美隊長もそのためにアイツらを挑発したんだろ?俺だけのほうが説明がスムーズに済むってな」
良くも悪くも他の隊長は、おとなしく人の話を黙って聞くことは苦手だった。
ゲイルの推理を聞いて、アリエス小隊の一人が口を挟んだ。
「ゲイル君、妙に成瀬さんに詳しいね。認識改変で記憶が無いはずなのに……なにか隠してないか?」
「うっ」
自慢に話していたゲイルが言葉に詰まる。
図星だった。
「実は俺の日記に隊長のことが書かれてたんだ」
認識改変は記憶は無くなるが記録は無くならない。
ゲイルがこまめにつけていた日記に、しっかりと宗美のことが書かれていた。
「日記……そんなものつけてたんだ、意外だね」
「ああ、これだ」
ゲイルが鞄から一冊のノートを取り出してみんなに見せた。
「ちょっと待て、その鞄はどうしたんだ」
クラスメイトたちはゲイルのせいで、自分たちの私物は何も持ってこれなかった。
しかし、ゲイルがしれーっと自分の鞄を持っていたことに、全員が額に青筋を浮かべることになった。
「……しまった」
「聞いたか皆!この人やりやがったぞ!自分一人だけ鞄を確保していた!」
「ちょっと待ちな。これを見ろ」
すはゲイル粛清かというところで、キャット小隊の隊員たちが待ったをかけた。
彼らを見るとその足元には全員の荷物があった。
「隊長が話し始めた時」
「雲行きが怪しくなったから」
「あらかじめ皆の荷物を集めておいたわ」
順番に言葉をつないでゆく隊員たちのところへ行くゲイル。
キャット小隊の面々の位置取りが終わったところで、後ろを向く。
「フッフッフ」
「「「「サプラーイズ!」」」」
そう叫んで、バッと一斉に振り向いてポーズ決めた。
その時クラスメイトたちが思い出したことがあった。
あ、こいつら皆変人だった。と。
◇◆◇
「まずはこれを見ろ」
鞄の件が落ち着くと九兵衛がスクリーンの1つに地球を映す。




