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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
8話:過ぎた技術に利はあるか
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その6・Old foe is friend now.

[クロノ]

ミランダと2人で魔王城から数キロ離れた館に向かう。

クロノ「あぁ…ここか…」

ミランダ「ほんのちょっと前に来たばかりなのに懐かしいわ〜。」

以前ここで一騒動起こした。

クロノ「またあいつらを見なきゃならんのか。」

ミランダ「悪い子じゃないのは分かってるんだけど、中々濃い子達よね〜。」

この辺りを治める同性愛者の領主に襲われたが、なんとか倒した。

一応仲直りはしているが、それ以来なのであまりこの場所に来ようという気になれなかった。

男「それは、褒め言葉かな?」

後ろから誰かに話しかけられる。

振り返ると、全身青い肌のゴリゴリ細マッチョの男が立っていた。

クロノ「ハインツ。」

ハインツ「覚えていてくれたんだね、クロノ。それから、ミランダ様。」

ここで戦った魔族の男。

ミランダ「様なんて付けなくていいわよ。」

ハインツ「おや、そうですか。では、ミランダさん。今日はいったいどういったご用件で?」

クロノ「イリヴィに会いに来たんだ。ちょっと話が聞きたくてな。」

ハインツ「もしかして、ローベリスプのことかな?」

やはり魔界では有名な話らしい。

ハインツ「僕はそういうことには詳しくないから分からないが、どうもかなりすごいものらしいね。イリヴィ様の所に、完成した物を見に来て欲しいという招待状が来たくらいだ。」

クロノ「なんだって?」

ハインツ「イリヴィ様の部屋へお通ししよう。」



館内、イリヴィの部屋の前。

ハインツがドアをノックする。

ハインツ「私です。お客様がお見えになりました。」

イリヴィ「客?別にいいけど、どちら様なの?」

ドアの向こうでイリヴィが答える。

ハインツ「いつぞやの人間です。」

イリヴィ「人間…?あっ…」

中でガタガタと物音がする。

イリヴィ「ちょっ待っ…あぁ‼︎」

何かが崩れるような音がした。

ハインツ「イリヴィ様?」

イリヴィ「大丈夫!大丈夫だから!いった〜…」

クロノ「ホントに大丈夫かよ…」

ハインツ「僕は、もう大丈夫じゃないとは思うけどな。」

イリヴィ「うっ…くそっ…う〜ん!」

クロノ「なぁ、もしかして何かの下敷きになってない?」

ハインツ「お付きのメイドがいるから大丈夫だとは思うけど…いや、イリヴィ様は私室にメイドは用がない限りは入れない方だな…」

ミランダ「どうするの?」

クロノ「入ろう?」



ドアを開けて入る。

部屋は色々と物が散乱していた。

いわゆる、ニートの部屋という奴だろう。

所狭しと本やら何かの道具やらが散らかっている。

そして予想通り、本棚に下敷きになって倒れているイリヴィがいた。

イリヴィ「ちょっ、入ってきていいって言ってないでしょ⁉︎」

クロノ「いや、緊急事態だから仕方ない。」

ハインツだけ入れば良いのだが、自分達が来たと知って慌てていた理由を知りたいのもあって入った。

クロノ「大丈夫かよ。」

ハインツと一緒に本棚を持ち上げる。

クロノ「重っ…‼︎」

ハインツ「これは…いい筋トレになりそうだ…‼︎」

ミランダがイリヴィを引っ張って救助する。

ミランダ「大丈夫?」

イリヴィ「ありがとう…助かったわ…っとと…」

立ち上がろうとするが、ミランダにもたれかかるように倒れる。

ミランダ「もしかして、どこか怪我したとか?」

クロノ「そりゃあこんだけ重い本棚に潰されりゃあな。」

男2人が数センチ持ち上げるのがやっとな程重い本棚。

なぜここまで重くする必要があったのか。

ハインツ「見たところ出血は見られませんが…」

クロノ「骨折とかか?だとしたら面倒だぞ?」

ミランダ「いえ、多分強く打ちつけた衝撃で腰を抜かしてしまったのね。」

そういってミランダがイリヴィを抱き上げる。

イリヴィ「えっ…?」

お姫様抱っこ、なう。

ハインツ「とりあえず椅子に座りましょう。」

ミランダがイリヴィを部屋の真ん中にある机の前の椅子に座らせる。

イリヴィ「………」

ミランダ「どうしたの?どこか痛いとか?」

イリヴィ「ミランダ…結婚して…」

イリヴィがミランダの両手を取り、プロポーズする。

ミランダ「あら?」

クロノ「おーい。」

イリヴィ「自分が攻めることばっかり考えてたけど、受けもいいかも…」

クロノ「なぁハインツ。」

ハインツ「どうしたんだい?」

クロノ「あれ終わるまで部屋の探索とかしちゃっていいすか?」

ハインツ「そうだね、イリヴィ様の私物がたくさん…私室だから当たり前なのだけど、あまり変なことしない範囲でなら、少しくらいは構わないと思うよ。」

あんなの見ていられない。



クロノ「お二方、そろそろよろしいでしょうか。」

一向に終わる気配がないのでこちらから切り出す。

イリヴィ「あ、そうね。いったい何の用で来たの?」

ミランダ「聞きたいことがあって来たのよ。」

一連の流れを説明する。

イリヴィ「へぇ。まぁ確かに、私は見に行ったわよ?」

クロノ「行ったのか!」

イリヴィ「えぇ。私はそういうの専門じゃないからあまり分からなかったけど、すごい代物だったわよ?近くにいるだけですごい魔力を感じたわ。『ハピスボルグ』って名前なんだけど、なんか色々クルクル回ってたりして凄かったわ。カラクリ?って言うの?」

おそらく、機械的な物なのだろう。

ミランダ「そこまですごいのなら、軍事転用なんてしないはずないわよね?」

イリヴィ「私にも言ってきたわよ、それ。あなたはどう思う?なんて聞かれちゃって。私はそういうことには興味ないって答えたわ。」

クロノ「まぁ、そうだろうな。」

この領主様は同性にしか興味がない。

イリヴィ「で、具体的に何が知りたいの?ハピスボルグのことはあまり知らないわよ。」

クロノ「いや、街とその町長の方が聞きたい。」

イリヴィ「何?襲うの?確かに綺麗な人だったけど、首狩り族を襲うのはさすがに命知らずってものよ?」

クロノ「テメェとはちげぇよ。」

イリヴィ「ん?あなたその手に持ってるの…」

さっきイリヴィの部屋を探索している最中に見つけた厚みがほとんどない薄い本。

まだ表紙しか見ておらず、ついでにイリヴィに何の本か聞こうかと思って持っていた。

クロノ「これか?さっき拾って…」

イリヴィ「それ、私の大事な本なの。返してちょうだい。」

クロノ「何の本なの?」

イリヴィ「いいから。」

食い気味に言ってくる。

クロノ「……そう言われると気になるなぁっていう…」

イリヴィ「ハインツをけしかけるわよ?」

ハインツ「そこまでの本なのですか?」

イリヴィ「えぇ。いい?絶対に中身を見ちゃダメよ?」

クロノ「なるほど、フリというやつだな?」

イリヴィ「待ちなさ」

イリヴィの前でこれ見よがしに本を開く。

クロノ「これって…」

魔族の女性2人が話し合っているイラストが描かれている。

結構上手い。

クロノ「これがどう大事なんだ…?」

イリヴィ「お願いクロノ!お願いだから!もう見ないで!」

クロノ「その反応もしかして…」

イリヴィ「それ以上言ったら本当にけしかけるわよ!ついでに眠らせるわよ!」

ミランダ「私にも見せて☆」

ミランダが奪うように本を取る。

ミランダ「へーへー。」

イリヴィ「ハインツ!奪い取りなさい!」

ミランダ「なかなか絵上手じゃない、イリヴィ。」

イリヴィ「‼︎‼︎」

言ってしまった。

ミランダが言わずとも自分が言うつもりだったが。

ミランダ「全然隠すことなんかないのに…あ、ここはクロノには見せられないわね。」

クロノ「え、なに?」

ミランダ「あら、意外と節操ないのね。」

イリヴィ「お願い!もう許して!なんでもするから!」

ミランダ「だってさクロノ。どうしちゃう?」

そんな振り方をされても…

クロノ「とりあえず、ローベリスプのことをだな…」



あらかた話を聞く。

魔界にいくつかある工業都市。

1番大きいというわけではないが、今回のことをきっかけに大きくなる可能性は十分ある。

夜は外出禁止。

出歩いているところを見つかると逮捕。

或いは、巡回している武装警備ロボットに捕まり、抵抗すれば銃殺。

クロノ「頭おかしい。」

イリヴィ「さすがの私もそれは思ったわ。でも、従ってさえいれば、裕福な暮らしが約束されてるのよ。少なくとも、貧しい人はいなかったわ。」

ミランダ「だから今まで町長でいられたってこと?」

イリヴィ「あの人はね、町長としての素質はあるのよ。ただ、人を傷つけるのが好きなサディストってだけ。見た目は本当に好きなんだけど、バイオレンスな子は苦手なのよね。鞭で叩くようなサディストは大歓迎だけど、ノコギリで胴体かっさばくようなサディストを超えて殺人鬼みたいな子は怖いわ。」

クロノ「そんなの誰だって怖いっつーの。」

イリヴィ「はぁ…あの豊満な胸に一度でいいから顔を埋めたい…」

目が明後日の方向に向いている。

これ以上イリヴィから手に入る情報はないだろう。

クロノ「よし、だいたい分かった。ありがとう。」

イリヴィ「礼なんて別にいいのよ。この間迷惑かけたお返しってことにしといて。」

ミランダ「あら、あなたならむしろ今回のことは貸しよ。とか言うと思ったのに。」

イリヴィ「私、人に迷惑かけるだけの存在じゃないの。」

(違うのか。)

イリヴィ「人並みの常識くらい持ってるわ。本能が理性を抑えきれないってだけよ。」

(ダメじゃん。)

イリヴィ「本当は今すぐにでも魔王城に乗り込んでモニカを眠らせてここに持ち帰ってあんなことやこんなことを…」

ミランダ「私の目の前でそういうこと言える勇気はすごいと思うわ。」

現魔王のモニカはミランダの妹である。

目の前で堂々と妹を襲う宣言したようなものである。

ミランダ「まぁ、あの本に私とモニカの絡み描くくらいだし、今更かしらね。」

イリヴィ「言うなぁ‼︎」

ミランダ「あら、いいのよ。なかなか良かったし。今度暇なときにモニカにやってきてやろうかしら。」

イリヴィ「なん…‼︎その時は是非私も‼︎」

ミランダ「あなたはここで寂しく1人遊びしてなさい。」

ミランダが真顔で、結構冷たい視線を送りながら言ったからだろう。

イリヴィが一撃でダウンした。

ハインツもイリヴィの味方をせず、いい気味だと頷く。

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