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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
8話:過ぎた技術に利はあるか
58/67

その2・Princess in a drifting ship

[クロノ]

クロノ「ただいま。」

カンザー「早いな!」

キマイラの討伐を終え、アウストールに戻る。

カンザー「ふむ…やはり、本格的に年か…」

クロノ「さぁな。単に闇の力は戦いやすいってのがあるかもしれんしな。」

実際、闇の力をふんだんに使いまくって戦ったが、瞬殺だったのでカットした。



カンザーと共に浜辺に向かう。

9月とはいえ、まだ夏の暑さが残っている。

カンザー「すまんな。これからお主達に頼ることになるかもしれん。」

クロノ「頼ってよ。ギルドってのはそういう仕事だぞ?」

カンザー「ふむ、そうだったな。それでは…」

その時、港の方から1人の漁師が叫んできた。

漁師「カンザーさん‼︎大変だ‼︎」

カンザー「どうした⁉︎」

かなりヤバイ状況なのは察した。

漁師「沖にちっさい船が漂流してる‼︎」

カンザー「船員はいるのか⁉︎」

漁師「2人いるけど倒れてるんだ‼︎衰弱してるかもしれない‼︎」

カンザー「なんてこった!すぐに救助の船を…」

クロノ「俺が行く!」

漁師の足元に向かって魔力を伸ばし、地面に引っ掛ける。

引っ掛けた魔力で自分の体を引っ張り、漁師の側へ移動する。

クロノ「おい、どの方角だ!」

漁師「あっちだ!あっちの方!」

漁師から単眼鏡を渡される。

指示された方向を見ると、確かに小舟が漂流していた。

クロノ「あっちか!よし!」

右手で魔力を船のある方角へ投げる。

魔力は船には触れていないが、船の近くの水面に着水した。

魔力で水面を掴み、自分の体を引っ張る。



小舟のすぐ近くに到達し、舟に乗り込む。

2,3人で満員になりそうな小さなボート。

カヌーなんかで使いそうなサイズの舟だ。

その舟の中で、女が2人倒れている。

クロノ「おい‼︎大丈夫か‼︎」

1人は下着姿、1人はどこぞの国のお姫様のような服を着ている。

そのお姫様の方は意識があった。

姫「うぅ…」

クロノ「今近場の港に舟を動かす!もう少しの辛抱だ!」

姫「ごめ…な…さ……」

クロノ「大丈夫だ!すぐだから!」

魔力を今度は港の方に向かって投げ、自分の体をまた引っ張る。

舟をしっかりと握って、自分の体ごと舟を移動させる。



数分とかからぬ内に港に着いた。

港では、毛布や食料などの用意が出来ていた。

クロノ「かなり弱ってる!後は頼むぞ!」

医者や漁師が束になって協力する。

カンザー「すまん!面倒をかけてしまって…」

クロノ「人助けだ、気にすんな。たまたまだよ。」

カンザー「お主がおってくれなんだら何倍も時間がかかっておったろう。」

クロノ「そういうのはあいつらが助かってから言ってくれ。」



それから一晩過ぎて朝。

リースには手紙を送ってアウストールで1泊することにした。

カンザーと共に漂流していた2人を看ている診療所に向かう。

カンザー「どうじゃ?容体は。」

医者「姫さんみたいな服の方は、体を動かすのはまだ難しいかもしれませんが、話せるくらいには回復してます。もう1人の方もまだ気を失ったままですが、命に別状はないかと。今、治癒の魔法で何とか体力を回復させているところですね。」

クロノ「面会は?」

医者「面会ですか?」

クロノ「一応話とか聞きたいな〜って。あんな小さい舟で死にかけの状態で漂流してたんだからさ。」

カンザー「魔獣に襲われただとしたら、危険だから何とかせねばならん。そうでなくとも、何か困ったことがあれば助けてやれる。その為に話を聞きたいのじゃが…」

医者「そうですね…体調的には目を覚ましている方は問題無いと思われますが…本人に面会できるかどうか聞いてみますね。」

医者が奥に消えていく。

カンザー「どう思う?お主は。」

クロノ「分からんが、魔獣ではないと思う。海上で魔獣に襲われて逃げ切れるわけがない。あいつらが超強いってんなら別かもしれんが。」

カンザー「ワシもそう思う。あの者らはどこかから逃げてきたんじゃないかと思うんじゃ。」

クロノ「どこか、ね。」

医者が戻ってきた。

医者「確認してきました。是非とも、話がしたいとのことです。」



病室に入る。

1人はベッドに仰向けで寝て、目を閉じている。

もう1人は仰向けのまま目を開けていた。

こっちが姫の方だ。

クロノ「大丈夫か?」

姫「あなたは…助けてくれた…」

クロノ「覚えてたか。海の上でそっちの寝てるのと一緒に漂流してたのを見つけたんだ。運が良かったな。俺はカミヅキ・クロノ。こっちはこの診療所がある町の地元民のカンザー。あんたは?」

姫「リディア王国王女…カステロ・フィン・モルガンと言います。」

本物のお姫様だった。

クロノ「マジモンの王女様かよ…そっちの倒れてる方は…」

カステロ「従者のマールです。」

クロノ「リディアってのはどこにあるんだ?」

カステロ「大陸の西端に位置する王国で…他の国と小さな争いが続いておりました。」

ここで引っかかる。

自分が知っている西に王国は無い。

王政に近い政治はどこの町でもやっているが、王国と名乗っている町は無い。

そして、戦争と言えるような争いは一切起きていない。

町同士軍同士の争いは起きていない。

カンザー「リディア…聞いたことない町じゃな…小さい町か?」

カステロ「大陸で最も大きな国なのですが…」

カンザー「最も大きな?ベルージアではなく?」

カステロ「ベルージア…?」

町の名前に食い違いがあるようだ。

クロノ「よし、分かった。理解した。何であんたらがハテナ浮かべてるか分かった。」

カンザー「なんじゃ?」

クロノ「俺らと王女様は、別の大陸の住人だ。広〜い海の上を小さな舟で漂流してこの町に流れ着いてきたんだ。」

カンザー「別の大陸?」

カステロ「どういう意味です?」

どうやらこの世界の住人は、この世には自分達の住んでいる大陸しかないと思っているらしい。

海を越えた先に別の土地があるとは考えなかったらしい。

クロノ「いいか。世界ってのはな、めちゃくちゃ広い海がある。あんたらが想像してるのより何億倍だ。一周するのに何年かかるか分からないほどにな。例えば、俺が初めてこの町に来た時にデカいイカと戦ったことがあっただろ?」

カンザー「あったな。かなり遠海まで行ったか。」

クロノ「あんな程度、世界に比べたら親指程ですらない。」

カンザー「なんと⁉︎」

クロノ「そっちの王女様も、デカい船に乗って沖まで行ったことあるか?」

カステロ「あります。大陸が見えなくなるまで行ったことも。」

クロノ「それだって指程でしかない。」

カステロ「本当ですか⁉︎」

クロノ「あぁ。あんたの大陸に、アウストールだとか、アリアンテだとかいう国や町はあったか?」

カステロ「聞いたことありません。王女ですので、地理には詳しい自信がありますが、そのような名前の町は一切…」

クロノ「なら間違いない、だだっ広い海に、そこそこデカイ大陸がいくつかあるんだ。俺らが住んでる、アウストールやアリアンテがある大陸が1つあり、王女様が住んでる、リディアって町がある大陸が1つあり、どっかに名前も知らない不思議な文化を持った町がある大陸が1つあり、って感じにな。」

カンザーが驚いた顔のまま腕を組む。

カンザー「海の向こう…」

カステロ「そして、私達は運良くその大陸の1つの近くにいたと…」

クロノ「本当にな。沖の方は魔獣もいる。餓死する前に魔獣に襲われて死ぬ可能性もあった。本当にラッキーだよ、あんたらは。何でわざわざあんな舟で?」

カンザー「確かに。旅のつもりで出たのなら、あんな小さい舟に乗るわけがなかろうに。」

カステロ「…あまり関係のない方々にお話しするようなことではないのですが…」

クロノ「んじゃあアレだ。助けたお礼ってことで。教えて。」

こういうつけ込み方をするのは少し好きだったりする。

カステロ「分かりました。実は、私の国で反乱が起きたのです。私の国リディアは、平和の為に他国と争わず、手を取り合って生きていくという方針でした。しかし、他国は領土や資源を得るために、他の国に戦争をしかけたりしていました。幸いと言っていいのかは分かりませんが、中立的な立場である我が国に戦火が及ぶことはありませんでした。我が国の民は、戦争で苦しむということはありませんでした。民を戦争に巻き込まない為にも、他国に挑発をせず、また他国と戦争をしないようにと語りかけ続けました。しかし、人は様々。リディアの中にも、戦争をして他国を倒し、資源と領土を手に入れるべきだという考えを持つ者たちもいました。そんな者たちによるクーデターで、我々王族は城を追われ、他の国へ逃げることができず、仕方なく船に乗って他の国に亡命をしようということになりました。しかし、反対勢力は船に乗って沖に出た私達に追い打ちをかけ、船を沈めようとしました。私だけでも逃げろ、と臣下達は船に乗せていた脱出用の小舟に私と、私と最も親しかった従者のマールを乗せ、反対勢力達に気付かれぬよう逃してくれました。」

クロノ「今…その船ってのは…」

カステロ「逃げ場などありません。彼らは運が良くても、囚われたでしょう…」

カステロ「マールは自分の食糧は最小限にして、私を飢えさせないようにしてくれました。」

カンザー「お主より弱っているわけだ。何と優しき人間か…」

クロノ「だいたい事情は察した…」

戦争で追われ、行き場をなくした王族とそのお供。

クロノ「んで、どうするんだ?これから。」

カステロ「え?」

クロノ「これから先さ。こっちの大陸で暮らすことになるんだぞ?」

カステロ「リディアに戻るのは……難しいでしょうか。」

クロノ「まぁな。道中の海を越えられるかの話じゃない。現在のリディアの話だ。そんな過激な奴らが治める国なら間違いなく、他所と戦争しまくりのかなりキツイ国になるだろうよ。しかもデカい国なんだろ?力はあるってことだ。そんな修羅の国にわざわざ戻るか?戻ってもすぐに殺されるぜ?」

カステロ「でも…民が戦争に巻き込まれてしまいます!」

体が弱っているにも関わらず、大きな声で訴える。

クロノ「民思いだね〜。」

カステロ「国を治める者として当然です。」

真っ直ぐに見つめる。

クロノ「分かった。できる限り全力で協力しよう。」

カステロ「協力?」

クロノ「海を越えられる方法がないか、友人に聞いてみる。それから、ついでにあんたの国を取り戻すのも手伝ってやるよ。」

カステロ「いいのですか⁉︎」

クロノ「あぁ。その代わりだがな、俺はこういう傭兵みたいなことを仕事にしてるんだ。もし成功したら、報酬は弾んでほしいっつーお願いはある。多少の下心くらいは許してもらってもいいかね?」

カステロ「はい!お願いします!」

深々と頭を下げる。

カステロ「ところで…」

クロノ「どうした?」

カステロ「魔獣、というのは…?」

クロノ「人間に向かって襲ってくる異形の化け物とか…」

カステロ「確かに、海を漂流してる時にいくらか見かけましたね。」

もしかして…

クロノ「リディアの周辺は…?」

カステロ「いませんでしたね。ペットとなるような犬や猫は普通にいますが、人間に襲いかかるようなあのような生き物は…」

魔獣のいない大陸。

だからこそ、人間同士で戦争をするのが普通なのだろう。

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