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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
7話:虫姫様と桃太郎
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その7・Complete the first stage

[クロノ]

レオリー達を追って遺跡の奥に向かって走る。

一本道だから道に迷うことはない。

が、途中から大きな音が奥から聞こえてくる。

時折魔獣のような叫び声も聞こえてくる。

クロノ「まさか戦闘中か?」

レオリーは多分強いだろうが、救援に急いだ方がいいだろう。

ルカを守りながら戦わなくてはいけないだろうし。

(ルカがいても襲ってくる魔獣ってことは…ルカの母親関係なしの魔獣か?)

先ほどのムカデは、ルカの仲間だと分かると自分を見逃してくれた。

つまり、ルカがいればレオリーも襲われないはずである。

それなのに襲われるということは、別のものなのだろう。



数分走ればすぐに着いた。

先ほどの広間と同じぐらいの広さの広間だ。

そこでは、レオリーがルカを庇いながら大きな魔獣と戦っていた。

名付けるならゴーレムだろうか。

二足歩行で大きなゴツい身体。

全身を鎧のように硬そうな甲羅か何かで覆っている。

顔には穴が2つ空いている。

おそらく、覗き穴だろう。

(あそこ弱点そう…)

これぞまさしくゲーム脳というやつか。

クロノ「レオ‼︎ルカ‼︎」

レオリー達の所まで向かう。

レオリー「クロノさん!」

レオリーは軽傷だが、怪我を負っているようだ。

クロノ「下がってろ。俺がやる。」

レオリー達の前に立つ。

レオリー「すみません…」

ルカ「こいつ…攻撃が効かない…剣も魔法も…」

(知ってた。)

そりゃこんな硬そうな甲羅で包まれてたらそうだわ。

レオリー「魔法に至っては、当たる直前にかき消されてしまいます!」

クロノ「そいつは予想外だなぁ…」

何か特殊な魔法を使っているということだろうか。

何か良い案はないか…

(あるじゃん、良い案。)

こんなこともあろうかと、のつもりは無かったが、幸い、魔法を使わずにあの弱点そうな穴に攻撃を加えられそうなものがある。

(これならいけるだろ。)

腰に提げているリボルバーを取る。

魔獣はこちらに向かって威嚇するように吠える。

レオリー「クロノさん、銃も無駄です!魔法は通じません!」

(この銃が魔力を使わずに使えるということを知らない…ってことは子供のレオには言ってないと…)

なんかちょくちょく言ってないことが多い。

クロノ「大丈夫。これ大丈夫なやつなんだよ。」

わずかに空いている目の穴を狙う。

(職人さんが作ってくれたわけだし、精度は高いだろう。)

弾が勿体無くて今まで試し撃ちすらしなかった。

今日が初射撃だ。

クロノ「ふぅ…」

リボルバーを両手でしっかり掴んでハンマーを下ろす。

クロノ「いっけぇ‼︎」

引き金を引く。

ガァン‼︎という轟音と共に、弾丸が発射される。

マグナムなだけあって反動はかなりくる。

放たれた弾丸は綺麗に魔獣の覗き穴にイン、穴の中から血飛沫が噴き出す。

クロノ「お、良い感じに入った。」

目に弾丸をぶちこまれたらさすがの魔獣も痛いだろう。

呻き声を上げながら地面に膝をつく。

クロノ「まだ倒れ切ってないな。まだやるか魔獣さんよ?」

魔獣は立ち上がり、再びこちらに威嚇するように吠える。

今度は目に銃を撃たれるのを警戒するように、腕で顔の辺りを守る。

クロノ「これ(リボルバー)の危険性と常に油断は危険だという精神を学んだところ悪いが、道を開けてもらおう。」

ゴーレムの腹に飛び込み、右手に魔力を込める。

魔力を右腕の肘から放出し、拳をロケットのように撃ち出す。

ゴーレムの体を大きく吹き飛ばし、体勢を崩す。

腕が顔から離れ仰け反った体に走り寄り、顔にしがみつく。

右手にリボルバーを握り、覗き穴に銃口を向ける。

ハンマーを下ろし、引き金を引く。

先ほどと同じように、轟音と共に弾丸が発射される。

1度だけでなく弾が無くなるまで、先ほど撃ったのを除いて5発撃つ。

頭を5発と撃ち抜かれたらさすがの魔獣も無事では済まない。

力の抜けた魔獣が地面に倒れ伏す。



クロノ「とまぁ、これが文明の勝利だ。」

レオリー「いや、銃もすごいですけど…」

ルカ「魔法が通じない魔獣に魔力付けた攻撃がどうして通じたの…?」

クロノ「簡単だよ。あれは自分の右腕に勢いを付けただけだ。殴ったダメージを魔力で増やすんじゃなくて、そもそも与えるダメージを増やせばいいんだよ。あの勢いは魔力で付けたものだけど、あの勢いは魔力でできたわけじゃない。魔法を発動させたことで生じた反動なんだ。ただの物理法則。爆発したら周りの物が吹っ飛ぶのと同じことだ。」

レオリー「それをさらっとやってのけるのが…やっぱりクロノさんなんでしょうね…」

呆れたような声を出す。

クロノ「俺ってそんなに凄い扱いされてる?」

レオリー「その考えには至っても、それで本当に吹っ飛ばせるのはクロノさんくらいなものですよ。」

なんか納得いかない。

クロノ「俺だって魔力湖の水を飲んだだけだし…」

ルカ「魔力を含んだ水を飲んだの…?」

ルカが興味あるように聞いてくる。

クロノ「あぁ。アリアンテって町の近くにそういう湖があるんだ。飲み過ぎると死ぬし、飲む量が足りないと特に何も起きないとかだったかな。」

本当に恐ろしい水だ。

ルカ「魔力を含んだ水…魔力の量にもよるけど、多分常人の魔力より濃い濃度の魔力が染み込んでいたのかな…だったら納得いくかも…」

クロノ「でもなぁ…今更だけど、水飲んだだけで超絶パワーなんて手に入るか?普通。」

ルカ「魔力は身体もそうだけど、精神に結びついてるの。飲んだ水が身体に染み込んで、身体に繋がれている精神にも魔力が行き渡ったんだと思う。飲んだら死んじゃうようなほど魔力を含んだ水なんだから、それはもう凄いパワーになると思う。」

元気のないというか、内気な感じの喋り方だったルカが少し前に来るような喋り方だ。

クロノ「なんか元気になったな。」

ルカ「あ……う…」

どうやら好きなことになるとテンション上がっちゃうタイプらしい。

クロノ「さて、それじゃあ石板とやらだ。」

まだ向こうに扉がある。



扉の向こうは小部屋だった。

その真ん中に、石板が台に置かれている。

クロノ「これか。」

その石板は割られていた。

上からハンマーで一撃食らったように綺麗に割れている。

レオリー「本当に綺麗に割れてますね。」

クロノ「どうする?これ。直すのか?」

すると、石板から黒い霧のような物が塊となって出てきた。

クロノ「んー?」

霧は小部屋を出て先ほどのゴーレムの広間の中心で止まる。

クロノ「んー…」

霧は濃くなっていき、やがて人型の虫の形になる。

クロノ「んん⁉︎」

本当に、カマキリとかバッタとかその辺がそのまま人型になったような虫だ。

クロノ「うわー…」

こちらをじっと見つめ、金切り声を上げる。

明らかに威嚇している。

レオリー「僕に任せてください!」

レオリーが刀を抜き、虫に立ち向かう。

クロノ「ルカ、どうにかできる方法は?」

ルカ「…石板の力を吸収する。」

クロノ「誰が?」

ルカ「私が…」

クロノ「できるのか?お前には制御しきれないからって…」

ルカが生まれつき所持している魔力の量が多すぎるから母親がこうして魔力を封印したのだ。

まだ10歳の少女がそんなに成長したというのか…

ルカ「時間はかかるけど、できるはず。」

クロノ「やり方知ってるの?」

ルカ「やりながら学ぶ!」

ルカが台に近寄り、石板に手をかざす。

後ろではレオリーが刀と魔法を駆使して虫を圧倒している。

レオリー「やぁぁぁ‼︎」

刀で斬り、火で燃やして、刀に雷を帯びさせて、また斬って、魔力で殴って…

やりたい放題だ。

しかしこの虫、耐久力だけは無駄にあるようだ。

(でもこんだけ攻撃食らえば…)

虫はもはや立っているのがやっとといった形だ。

レオリー「とどめぇ‼︎」

レオリーが刀を大上段に構え、振り下ろす。

が、振り下ろされる前に虫がレオリーの体を抱きしめて捕まえる。

レオリー「なっ⁉︎」

クロノ「ハッタリか!」

弱ったフリをしていたようだ。

虫は口の部分から何かを伸ばす。

自分の身体の一部だろうそれ(・・)は、チェーンソーのように高速回転をしている。

レオリー「ひぃっ‼︎」

チェーンソーを出した虫は顔を後ろに振り被る。

(あかんやつや‼︎)

魔力で体を一瞬でレオリーの所まで飛ばす。

背中の剣を抜き、チェーンソーでレオリーの首を狙ったところに剣を入れる。

レオリー「クロノさん‼︎」

右手で剣を抑え、左手でもう一丁のリボルバーを取る。

クロノ「最近の虫はグロいな。」

リボルバーを虫の頭に向けて撃つ。

虫はレオリーの体を放して大きく仰け反る。

が、まだ生きている。

クロノ「しぶといなこいつ。」

虫の顔を掴み、地面にうつ伏せに叩きつける。

虫の背中に座り込み、マウントを取って、頭を持つ。

クロノ「そい!」

頭を地面に叩きつける。

虫が痛そうに奇声をあげるが、無視して次の1発、叩きつける。

やはり、死なない。

クロノ「そい!そい!そい!」



虫が声を出さなくなるまで叩きつけまくってたらいつしか虫が声を上げなくなった。

クロノ「さすがに死んだか?」

虫はだんだんと形が崩れていき、また霧になっていく。

(なるほど、死ぬとまた霧に戻ると。)

レオリー「クロノさん、すごいです!」

レオリーが近寄ってくる。

レオリー「申し訳ありません…お手を煩わせてしまって…」

クロノ「いいよ。あれは俺も予想外だったし。次頑張りゃいい。」

レオリー「はい!」

クロノ「さて、ルカだが…」

ルカが小部屋から出てきた。

ルカ「終わった…?」

クロノ「お、ジャストタイミング。そっちは?」

ルカ「終わった…今石板の力を回収し終わったところ…」

終わったのか…

クロノ「ってことは…」

ルカ「お母さんに封印された力は全部回収したから、本来の力が出せるようになった…」

レオリー「すごいですね。」

ルカ「ちょっと待ってて…」

ルカが手を地面につける。

ルカ「………」

レオリー「何をしてるんでしょう?」

クロノ「さぁ?」

しばらくして、ルカが立ち上がる。

ルカ「できた…」

レオリー「何が?」

ルカ「虫を全部還したの…」

レオリー「還した?」

クロノ「還したって、どこに?」

ルカ「私の中に…村や森の中にいる虫はあの石板が壊されたせいで力が暴走して大量に召喚されたの…召喚された時は召喚に使った力は私のものじゃなかったから私に虫を還す権限は無かったけど、今その力を回収したから、むしを還すことができるの…」

レオリー「じゃあ今村は…」

ルカ「元々そこにいた虫以外はいないはずだよ…」

これでひと段落だろう。

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