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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
6話:道化師にも戦場はある
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その2・Blue warlock

[クロノ]

馬車に揺られること十数時間。

東部の北側に位置する剣と力の街、レキュリエテ。

マリア「ここがレキュリエテです!」

闘技大会の開催もあってか、ものすごく人が多い。

街の中央にはコロッセオのような大きい円形の建物があり、そこで闘技大会が開かれる。

ここまで人が集うのを見るのはレギオン討伐、アリアンテを出る時に続いて3回目だ。

クロノ「かなりの人だな…」

マリア「そりゃあ当然!賭け事とか関係なくても、すっごい熱いイベントですからね!あ、仮面はまだ付けない方がいいですよ。」

クロノ「あぁ、付けてないけど…なんで?」

マリア「出場者かどうか分かりやすくするために、出場者以外は仮面の装着を禁止してますからね。付けてたら、あの人は大会の出場者だ!ってなってすごい波が押し寄せてきます。」

クロノ「なるほどな。」

マリア「とりあえず宿を取りたいですけど…空いてるかな…」

空いてるわけねぇよなぁ…

男「それでしたら、我々で手配いたしました。」

横から声をかけられる。

フードで顔を隠しているが、声で若い男だというのは判断できる。

いかにも魔法使いといったようなローブを着ている。

クロノ「あんたは?」

男「招待状をよこした者の関係者、でご理解いただけるでしょうか?」

マリア「招待状ってあれですか?青の…」

男「シーッ!」

マリアの発言を遮る。

男「あまりそれを言わないでください!人が集まってきてしまいます…!」

マリア「あぁ…この町では英雄レベルで有名ですからね…」

男「とりあえずついてきてくださいますか?」

マリア「クロノさん行きましょう?」

(こいつが招待状の男の関係者か…よくわからん詐欺とか観光地の乗ってけタクシーみたいな感じのやつじゃねぇよな…?)

男「どうしました?リースのカミヅキ・クロノさん。」

小声でしっかりと自分の名前を言う。

クロノ「間違いないな。」

男「今の間は、貴方の事を剣士殿、と呼ばせてください。第三者に名前を聞かれることを防ぐためです。何しろ、貴方の名前は広く知られていますから。私のことも、魔導士と呼んでください。」


人混みを抜けて街の中央へ向かう。

クロノ「招待状のことなんだけどさ。」

魔導士「はい。」

クロノ「どうしてキキョウの居場所が分かったんだ?」

魔導士「キキョウ様の所在地が分かったわけではございません。この街にキキョウ様の部下がおられるということが分かっただけです。その方に、キキョウ様へ手紙をお渡ししてくださいとお頼みしただけです。」

クロノ「その部下さんはどうやって見つけたんだ?そいつ曰く、自分がキキョウの部下だってことは誰にも話していないそうだが。」

魔導士「実は、私も知らないのです。」

クロノ「はい?」

魔導士「その方がキキョウ様の部下の方だというのは聞かされていたのですが、どうやってそれが分かったのかは存じ上げておりません。」

クロノ「じゃああんたに部下のこと言ったやつがなんで分かったのかも…」

魔導士「存じ上げておりません。」

クロノ「そいつ何者だよ。」

魔導士「私からはなんとも。こういう職業なわけですし、個人情報というものはなるべく慎重に扱わなくてはなりませんので。」

クロノ「青の魔術師さんとやらも大変だな。」

魔導士「え?」

マリア「青の魔術師って…あの青の魔術師ですか⁉︎三騎士の⁉︎」

クロノ「声でかい。」

魔導士「なぜそう思うので?」

クロノ「あんたがその部下さんに直接渡したような言い振りだったからな。あの部下さん、青の魔術師から直接受け取ったって手紙をついでで送ってきてたんだ。」

魔導士「なんと…口を滑らせましたか…」

クロノ「あ、まじで?」

魔導士「え?」

クロノ「いやさ、あの部下さん確かに青の魔術師から受け取ったって言ってたよ。んでもさ、あんたがさっき言ってた『お頼みした』も『聞かされていた』も、青の魔術師でなくたってあり得る話じゃん。『お頼みした』っつって他人に渡させる言い方もあるわけだし。だから、半分カマかけてたんだよ。」

魔導士「私としたことが…緊張してるからでしょうか…」

クロノ「緊張?」

魔導士「なにせ、レギオン退治で名を馳せたカミヅキ・クロノ様ですから…その方の案内をさせて頂けるというのですからこの上なく光栄なことでして…」

クロノ「そりゃどーも。」


魔導士「そういえば、剣士殿は『剣奴の前戯(マダ・リヴェ)』についてご存知ですか?」

クロノ「『剣奴の前戯(マダ・リヴェ)』?」

魔導士「この闘技大会は本戦の前に前座として、人と魔獣が一対一で戦う催しをします。」

クロノ「あぁ、前座のことならこいつから少し聞いた。」

魔導士「そうでしたか。大会に初出場なさる方はこの前座に出場してもらう決まりとなっておりまして、剣士殿にも出場していただくことになるのですが…」

クロノ「あぁ、出るよ。そっちの方も気になってたしな。」

魔導士「ありがとうございます。」

クロノ「前座なんだろ?やっぱ本気じゃない方がいい?」

魔導士「そうですね、やはり本命は本戦の方ですから。前座でより、本戦で最高のパフォーマンスをしていただけたらと。」

クロノ「なるほどね。」

魔導士「着きました。ここが剣士殿が力を振るわれる場となる、『回禄の剣技場ラムラナ・リパヴォリテ』です。」

遠くからもデカイ建物だと思っていたが、近くで見るとやはりデカイ。

(行ったことないから知らんが、東京ドームってこんな感じか。)

クロノ「面積どのくらいよ…?」

魔導士「分かりません。とにかく大きく作ろう、とだけ目指してここまでの大きさになりましたので。では、こちらです。」

コロッセオの入り口の一つに向かう。門番が槍を持って立っていたが、魔導士がフードをチラリと上げると、門番が扉を開けた。

マリア「本当に本物だったんですね…」

クロノ「マジだな。」


中に入り、階段を上がって二階に行く。

そこから少し廊下を進んで3番目の扉を開ける。

魔導士「こちらが、御二方が闘技大会開催の間の宿代わりの部屋となります。」

広さと綺麗さ的にはには一般的なお値段高めのマンションの1LDKと言ったところか。

(リビングとベッドとくらいしかないからどっちかってーと1Lか。)

魔導士「前座の開催まで今日を入れて4日あります。この街には娯楽も揃っておりますし、街の中にも静かな時間を過ごせる場所などがありますので、そこで心を落ち着かせるのもいいですね。お好きなようにお過ごしください。4日後の開催日にはこの部屋にいてください。その他何か気になることがございましたら、お近くの召使いにお聞きください。それでは…」

クロノ「あぁ〜、ちょっといいか?」

魔導士「はい。」

クロノ「あんたの名前は…」

魔導士「あぁ、失礼。名乗るのを忘れておりました。私はロナルド・リク・ハルバストロと申します。お見知り置きを。」


マリア「ハルバストロ…」

ロナルドが部屋を出てから数分、マリアが呟いている。

クロノ「どうしたんだ?」

マリア「ハルバストロと言えば、英雄神の1人に、リーマナ・カス・ハルバストロという方がいるんですよ。知恵と魔術の神と言われています。」

クロノ「なに?それの子孫とかいうパターン?」

マリア「でしょうか…」

クロノ「だったら本人に聞きゃあいいだろ?どうする?俺は一旦街に出てみようかと思うが。」

マリア「私はそうですね…この街の酒場を探してみます。どんなのがあるのかなーと。」

クロノ「そ。俺はまぁ、適当にぶらついてくるよ。」


ぶらつくとは言ったものの、人が多い場所はぶらつく暇もない。

ロナルドが言っていた静かな場所を求めて街の外側まで来る。

あんな人混みがあったような街とは思えないほど綺麗な場所に着いた。

ちょっとした花畑ができており、天井を草やツタが這っているが、光の差し込み具合がいい感じだからか、尊い感が出ている。

(これで中央部の騒がしさが完全に0だったら最高の空間なんだけどなぁ…)

心がキュッと締め付けられる。

嫌なことがあったからではなく、ようやく、自分の心が休まった気がするからだろうか。

ここ最近ずっと変な事件があった。

イリヴィから今日までは大したことはなかったが、心を癒せるような出来事はなかった。

そんな荒んだ自分の心が、この風景で癒えていく。

花畑の外側に腰ほどの高さの塀がある。

塀に座って花畑を眺めていると、1人の女性が花畑に入っていった。

白く綺麗なローブで、濡れているわけではないのに、透けているような。

実際透けているわけではないが、それほどまでに透明感のあるというか、まぁそんな天使のような人だ。

見た感じでは20前後といったところだろう。

(花畑に女性が1人座り込み…花を愛でる…)

時間を忘れてしまいそうだ。

その女性がこちらに気づいたようだ。

立ち上がり、花を踏まないように歩いて、こちらに向かってくる。

女性「あなた、旅人の方?ここに人が来るなんて珍しいわ。地元の人間しか知らないような場所なのよ、ここ。」

確かに、周りには人っ子1人いない。

今この場所には、俺とこの女性の2人しかいない。

クロノ「まぁ、旅人っつーか。あんま人に言わないで欲しいんだけど、これでも参加者なのよ。大会の。」

女性「そうなの?見ない顔だけど、初めての参加なの?」

クロノ「まぁな。街の真ん中は騒がしくてなー。別に嫌いじゃないんだけど、たまには静かな所に来たくてここに来たんだ。」

女性「わかるわ。大会の熱気も好きだけど、こういう綺麗な景色も好きなの。しょっちゅうここに来るのよ、私。」

クロノ「余程ここが好きなんだな。」

女性「えぇ!だってここは、この街の唯一の場所なんですもの!」

クロノ「そりゃまぁ確かに。心が洗われる。最近良いこと無かったから、胸にすごく染みるよ。」

女性「何かあったの?」

クロノ「そうだなぁ…追いかけ回されたり、魔獣と戦ったり、魔族に絡まれたり…色々かな。」

女性「……すごい人生送ってるのね。」

クロノ「生きてるのが不思議なくらいにはな。」

女性「ふーん……ねぇ、私のとっておきの場所、教えてあげよっか?」

クロノ「とっておき?」

女性「えぇ!街の外にね、綺麗な場所があるの!道中魔獣はいるけど、ここよりもっと綺麗な景色が見れるのよ‼︎私以外誰も知らない穴場なの!」

クロノ「へぇ〜。そいつは面白そうだな!」

女性「じゃあついてきて!案内してあげるわ!あなた、名前は?」

クロノ「あー、悪いがあんまり名前知られたくない事情があってな。」

女性「ふーん。じゃあ剣士さんって呼ぶね!」

クロノ「あぁ。あんたは…」

女性「私は…私も秘密!でもそうね…リーって呼んで!」

クロノ「リー、か。分かった。それじゃあリー。案内頼むぞ。」

リー「任せて!」

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