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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
5話:薔薇の女王のプロポーズ
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その3・Sneaking

[クロノ]

モニカ「それで、どうやって対抗するっていうの?」

再びモニカのいる魔王の間に戻る。

作戦会議だ。

クロノ「案なら3つほどあるかな。」

モニカ「とりあえず全部聞こうかしら。」

クロノ「その1、正面から殴りにいく。その2、俺をイリヴィの標的にして招かれて潜入。その3、モニカが誘われて向こうに行ったフリに紛れて俺が潜入。」

ミランダ「どれも不安になる作戦ばかりね。」

モニカ「他にはないの…?」

クロノ「爆撃とか?」

モニカ「それは…できればやりたくないわね…」

ミランダ「あら、魔王らしくない。」

モニカ「それは先代に言いなさい。イリヴィは確かに変態だけど、悪人ではないわ。」

クロノ「悪人じゃない?」

モニカ「あんなでも民に慕われているの。性癖以外はね。魔界で善政を敷く者の中でもかなり上位よ。」

クロノ「悪人ではない…か。なら、殺しはダメだな。」

モニカ「?」

ミランダ「この子ね、悪人は殺す以外考えないけど悪人以外は殺しだけは考えないの。」

モニカ「厄介ね。」

クロノ「シンプルだよ。」

シンプルに厄介だとは思うが。

モニカ「そう。私が殺しを嫌がる理由は分かるわよね。」

クロノ「良い奴には人は従うからな。」

モニカ「そう。魔界の安定した統治には大事な事よ。」

ミランダ「ねぇ。」

モニカ「何よ。」

ミランダ「あなた本当にサキュバス?」

モニカ「どういう意味よ。」

ミランダ「そんな真面目になっちゃって…男は足りてるの?」

確かに、忘れそうになるな。

俺の横にミランダとかいう例がいるから、サキュバスというのはみんな男を襲おうと常に目を開きまくっている生き物かと思っていたが、モニカはまるで別の種族なのかのように真面目だ。

モニカ「足りてないわよ。まさかここまで忙しいものだとは思ってなかったわ。かといって、ここで私が怠けたり悪政に走ると、キュリーの時と同じになるわ。心でなく、力で統治する時代。そんなこと絶対にさせないんだから。」

ミランダ「それはそうだけど、いつもいつも忙しいわけではないでしょ?ねぇ?」

ステラ「そうですね。暇な時間ができるとクロ…」

モニカ「余計な事は言わなくていいの‼︎確かに暇な時間はあるけどそんなこと考えてないんだから‼︎」

ステラ「これはこれは余計なことを。」

モニカ「ったく…ステラはこういう時にいつもちょっかい出して…」

ステラは昔からこんな調子なのか?

ミランダ「まぁまぁ。でも今回は丁度いいじゃない?」

モニカ「ばっ⁉︎何が丁度いいよ⁉︎」

ミランダ「何ってそりゃサキュバスだもの?」

モニカ「今はそれより作戦会議でしょ‼︎」

ミランダ「ちぇ、思い出しちゃった。」

モニカ「で⁉︎どうするの⁉︎」

クロノ「俺的には案1と案3はやめときたいかな。」

ミランダ「でも案2だとまたあなたが1人で色々背負う羽目になるのよ?魔界に来たのはそれが目的じゃないでしょ?」

クロノ「だがモニカが危険な目に…」

モニカ「1番やりやすい方法はなんなの?」

クロノ「それは…3つ目だ。あんたがいい感じに気を引いてくれれば、俺が隠れて色々するのにやりやすくなる。」

モニカ「ならそれでいきましょう。」

クロノ「だがなぁ…」

ミランダ「クロノ。」

クロノ「ん?」

ミランダ「あなたは他の人のことを考えるってことを覚えたほうがいいわ。」

クロノ「え?」

ミランダ「あなたのそれは自己犠牲の精神で他人を助けようとしてるのかもしれないけどね、そればかりがいい方法じゃないわ。苦労や危険を共有してこそその人の為になることもあるの。」

…そういうものなのか…?

ミランダ「今回はその練習ってことで、モニカに泣いてもらいなさい。」

クロノ「いいのか?」

モニカ「えぇ。言ったでしょ?何でも協力するって。何でもかんでも1人で背負わないで。人間界(あっち)にいるギルドの人間達もみんなそう思ってるはずよ。」

クロノ「そうか…ならお願いするよ。」


魔界の馬車でイリヴィの屋敷へ向かう。

馬ではなく、角の生えた大きなイノシシのような生き物が車を引く。

ステラ、ミランダ、モニカ、そして俺が車の中に入り、御者の魔族が馬を操る。

御者「モニカ様、もうそろそろ街が見えて来ますぜ。」

モニカ「ありがとう。それじゃあ…」

クロノ「おう、分かった。」

馬車を一旦止める。

街に入る前に俺だけ馬車の下の地面との隙間に入り込み、そこに掴まって中に侵入する。


外が騒がしくなり、車の下から人々の足が見える。

足の形も様々で、赤い肌の者、指が無い者、触手のような物が足になっている者、様々である。

そのうち、外の声が遠くなっていく。

下から外の状況はよく分からない。

御者が今何か言った気がするが、車輪のガラガラ転がる音がうるさくて分からない。


やがて車が止まる。

御者が何者かと話し、門が開く音がする。

(着いたのかな…?)

車がまた動き出し、何処かに駐車する。

横にはいくつか馬車が停まっている。

上で3人が外に降りていく音がする。

案内担当の魔族が来て、3人を案内していく。


(さて…そろそろかな。)

手を放し、馬車の下から這い出る。

屋敷がようやく見えた。

3階建てで横にとても広い屋敷だ。

(屋敷に潜入するには…)

馬車が停められた場所は屋敷からそんなに離れてはいない。

100mってところだろう。

見張りの魔族が何体かいるが、そこまで厳重ではないのだろうか。

景観の為に設置された植物に隠れながら少しずつ前進しようとすると、

女「ちょっとそこのあなた。いったい何をしているんです?」

(ヤベェ、見つかった‼︎)

声のする方を振り向く。

そこには長いスカート丈のメイド服を着た人間の女性が立っていた。

右目と左目で色が違う。オッドアイというやつだ。

群青の短い髪が印象的だが、どこかで会ったことあるようなないような…

女「侵入者だとばれたらひどいことになりますよ…ってあれ?あなたいつぞやの…」

クロノ「え?」

(いつぞやの?やっぱり会ったことが…?)

クロノ「俺、あんたに会ったことあるっけ?」

女「あるはず…いや、ありますよ!ほら、レギオンの時の!覚えてません?」

(レギオンの時のって言われても…)

女「ほら、アレですよ!なんか弓使いの方がいたじゃないですか!お仲間に!その人の止血をした…」

クロノ「止血…あぁ!思い出した‼︎」

レギオンを倒した後にアクアが怪我をしたと聞いて、周りに怪我の治癒魔法が使える者はいないかと問いかけたら応えてくれた僧侶がいた。

その時の女だ。

クロノ「なんであんたがここに⁉︎」

僧侶「いや〜ははは…ちょっと賭け事してて、その…大負けしちゃいまして……その相手が魔族でして、借金を返す方法がこれしかなくて…」

こいつ本当に僧侶かよ。

クロノ「これって、屋敷の見回り?」

僧侶「それだけって聞いてたんですよ。でもそうじゃなくて、知ってます?ここの領主がどれだけ凄い人か。良い意味ではなくてですよ。」

クロノ「あぁ、話には聞いてるよ。」

僧侶「餌食にされない為に無理やり仕事を増やして色々やってるんですよ。魔界では貴重な、人間の視点から見た意見を述べる係とかいってね。」

クロノ「そこまでか。」

僧侶「や、本当に凄いですよ。私は別に女同士だろうとどうでもいいんですけどね。これまで侵入者や脱走者が捕まったのを何回か見たんですが、それはもうひどいのなんの…」

クロノ「ひどいって?」

僧侶「徹底的に愛されます。イリヴィ様に。」

クロノ「様?」

僧侶「って言っとかないと癖で呼び捨てにしちゃうんですよ。」

クロノ「呼び捨てもマズイのか?」

僧侶「そこは知りませんけど、しなかったらダメなパターンとかだったら困りますからね。」

クロノ「思ったよりキツそうだな…」

僧侶「とにかく、引き返した方がいいですよ。私はあと1ヶ月も働けば帰してもらますけど、あなたは多分マズイと思いますよ?」

帰されるか?本当に?

絶対に帰らせてくれないと思う。

クロノ「いや、知り合いがこん中に入っていってな。何とかイリヴィを倒さなくちゃいけない。」

僧侶「知り合いってさっき入ってきた3人ですか⁉︎」

クロノ「どした?」

僧侶「あの3人なら捕まっちゃいましたよ!今頃イリヴィの…様の手による洗脳の準備を始めてる頃ですよ!」

クロノ「なに⁉︎」

早すぎだろ⁉︎あの3人だぞ⁉︎

僧侶「玄関を入った瞬間に睡眠霧がばら撒かれて吸わされるんですよ。あれ、恐ろしいことに防御の魔法が効かないんです。それで眠らされているところをこの目で見ました。」

クロノ「おいおい嘘だろ…?」

僧侶「残念ながら本当ですね…」

マジでマズイ状況だな…やっぱ俺が単独で来るべきだったのか…

僧侶「諦めて帰るべきだと思いますよ。あなたまで捕まったらヤバイです。運が良ければイリヴィ様に愛でられて男と色々やらされるで済むでしょうけど、悪ければそのまま死刑コースですよ!」

クロノ「いや、助ける。最低でも助けるだけ助けてここから逃げる。」

僧侶「本当に言ってるんですか⁉︎」

クロノ「置いてけるわけないだろ‼︎」

僧侶「捕まったら男に掘られるんですよ⁉︎あなたそういう趣味あるんですか⁉︎」

クロノ「ねぇよ!でも助けないと‼︎」

僧侶「1人でどうやってですか⁉︎」

クロノ「だから助けてくれ。」

僧侶「い?」

クロノ「お願いだ。捕まった奴らが連れてかれる場所を教えてくれ。中にばれずに入る方法だけでもいい。頼む。」

僧侶「いや、それがバレたら私もタダでは済まないっていうか…」

クロノ「だよな…でもこのことを誰にも話さないくらいは頼む!」

僧侶「うぅ〜…仕方ないですね。あの扉見えますか?」

僧侶が指差した方向は、屋敷の正面ではなく側面にある勝手口のような扉だ。

僧侶「あそこの内側は倉庫なんです。誰も立ち入らない場所ですから、侵入できるはずです。さらに倉庫から屋敷の中へ入る扉を開けても、普段誰も通らない通路ですから、埃っぽいですが、安全なはずです。捕まった人がどこに連れて行かれるかは分かりません…」

クロノ「すまない、ありがとう。」

僧侶「いえいえ、礼には及びませんよ。私も賭けをしたくなっただけですから。その代わり絶対に成功させて

私も連れ出してくれませんか?ここだといつ私も襲われるか…」

クロノ「あぁ、約束する。えーと、名前は?」

僧侶「マリア・カジナーです。」

クロノ「俺はカミヅキ・クロノだ。それじゃあな。」

マリア「クロノ⁉︎あのクロノですか⁉︎」

クロノ「まぁ、多分あのだな。多少の誤解はあるが。」

マリア「いや、ちょっと知ってますよ!弱点を発見しただけでもかなりの貢献ですよ‼︎」

知ってたのか。

だがちょっと悲しい感はあるな。

マリア「お願いしますクロノ‼︎助けてくれたら何でもしますよ‼︎」

クロノ「何でもってあんまり言わない方がいいぞ。」

マリア「何言ってるんですか。そこまで変な意味は込めてませんよ。もしかして、狙ってます⁉︎」

クロノ「雑談してる場合じゃないぞ。」

マリア「緊張をほぐそうとしてるんですよ〜。それじゃあ、私も出来る限りの支援はします。お気をつけて!」

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