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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
4話:少女純愛応援歌
22/67

その5・Whatever I choose

[クロノ]

また目が覚める。

覚めたはずだが、目の前が暗い。

どうやら目隠しをされているようだ。

なんだか美味しそうな匂いがする。

あと何かを沸かせている音がする。

(誰かが料理を…?)

まぁこの状況で料理をするのはレオくらいしかいないが。

レオ「あ、お兄ちゃん目が覚めたんだね。」

クロノ「レオ、この目隠し取ってくんないかな?」

レオ「僕がいいって言うまでダーメ。あ、そうだ。」

レオがこちらに近づいてくる。

レオ「お兄ちゃん、これ飲んで。」

何かを口に当てる。

クロノ「なにこれ?」

レオ「ただのお水だよ。寝起きで喉渇いちゃったでしょ?」

この状況でレオがただの水を勧めてくるだろうか?

絶対違う。

多分また睡眠薬か、それか魔力が使えなくなるやつだろう。

普通に考えて一回飲んだら永遠に魔力が使えなくなる薬なんてありえない。

いや、だが俺が魔力を持つことができたのも魔力を含んだ水をたまたま適切な量飲んだからで、そこからずっと魔力を使い放題なわけだし、ありえなくもないか?

飲んでも大丈夫か?確かに喉は渇いているし…

他に可能性は…

声出させないように硫酸の類というパターンもあるか…

レオ「もー。えい!」

考え事をしていたら無理やり口に入れられた。

渇いていた喉がつい勝手に口に入れられた液体を飲み込んでしまう。

すると体から力が抜けていくのを感じた。

自分の体から何かが消え落ちていく感覚。

クロノ「やっぱり薬か!」

レオ「えへへ〜。逃げられちゃったら困るもん。」

マジでヤバイな。

どうする、この状況をなんとかするには。

レオからの愛を受け止めるか、突っぱねるか…

どちらに転んでもロクな結果にはならんな。

受け止めたところでここから出られる保証はないし、拒否ったらレオがただでさえヤバイのにさらにヤバイことになる。

そもそも、俺はレオに対して特別な感情を抱いたことはない。

好きには好きだったがそれはあくまで友達として仲間としてだったし、多少エロい目で見ることはあったが、そんな恋心でもなかった。

俺がレオのことを好きになってしまえば解決するのだろうか。

でもそれではラフやヒーラーのみんなとは会えなくなってしまうということになる。そんなのは嫌だ。

じゃあここから逃げるにはレオを………殺す?

そんなの天変地異が起こっても絶対にしねぇぞ。

そんなことするくらいなら清水の舞台からパラシュート無しでHALO降下して頭のてっぺんでコンクリに着地して血ィぶちまけてやる。

そもそも魔力が使えないんじゃ何もできない。

逃げだせた所ですぐに捕まるだろう。

こういう時のヤンデレを舐めちゃいけない。

レオ「ちょっと外行ってくるね。大人しくしててね。」

と言って重たそうなドアを開けて出て行った音がした。


数分経つ。

多分数分だろう。

何も見えないし動かないから時間の感覚が分からない。

(何も見えないって状況で数分って死にそうになるな…)

そうでなくとも、自分はテスト勉強をする時も作業用BGMがないと勉強できない派だ。

何も聞こえない何も見えないという状況がただでさえ苦なのに、こんな状況で目隠しじゃあ本当に狂っちまいそうだ。

(もう狂ってるんだけどね。)

こういう時、自分のこの軽めの性格が救いになる。

こんなジョークで笑えそうなのだから。

それはそれで追い詰められてる証拠か。

すると、ドアが開く音がする。

(もう帰ってきたのか。何をしにいってたんだ?)

女「ホントにいたよ。でかしたぞワン公。」

犬「ウォフ‼︎」

女と犬の声がする。

クロノ「誰?どちら様?」

女「おいおい、あたしの声忘れたのか?雇い主だってのにそれはひどくないかねぇ。」

雇い主?まさか…

クロノ「カサンド?」

カサンド「正解。ほら。」

目隠しが外される。

カサンドが犬、じゃない。これは狼だ。

狼と一緒に立っている。

手には俺がマキノから受け取った剣を持っている。

カサンド「ほらこれ。武器くらいちゃんと持ち歩いとかなきゃダメだぞ?」

クロノ「どうやってここが…」

カサンド「こいつがあんたを見つけたのさ。」

カサンドが狼の頭を撫でる。

クロノ「何者だよ?」

カサンド「あんたが連れてきたんじゃないのか?」

クロノ「俺が?俺は狼なんて………あぁ〜そういうことか?」

カサンド「サクラ達からちょっと聞いたが、女体化薬だったっけ?なかなか面白そうな薬じゃないか。」

(こいつマキノ研究所から連れてきた女体化ウルフか。)

俺がこうしている間に薬の効果が切れたということなんだろう。

クロノ「なんか宗教に入ってたら神様に感謝しときたいな。」

カサンド「やめとけ。ガラでもないくせに。それで、このロープを切りゃいいんだな?」

クロノ「いや待て、嫌な予感がする。」

レオは錠に魔力を流すと魔法が作動すると言った。

それなら錠に手を出さずに誰かがロープを切ればいい。

そんなこと誰だって考える。

俺がレオなら絶対にそうさせないためにロープを無理やり切った時にも何か魔法を作動させるよう何かセットする。

カサンド「だよねぇ。この錠があるんだものな。」

クロノ「知ってるのか?」

カサンド「あたしはこれでも盗賊だよ。これがどんな錠なのかは知ってる。」

そう言うと、針金のようなものを取り出す。

クロノ「ピッキングで開けられるものなのか?」

カサンド「魔法が使えなくなった時の為に、こういう物理的な手段を残してるのさ。本当は専用の鍵があんだけど、どうせこれを付けた本人が持ってってるだろ。」


カサンド「あっ。」

クロノ「なに⁉︎どうした⁉︎やらかした⁉︎」

カサンド「失敗した…」

クロノ「うそぉ⁉︎」

カサンド「うそ。」

カサンドが錠を外し、ロープをばらす。

クロノ「お前なぁ…」

カサンド「助かったんだからいいだろ?」

クロノ「まぁいいけどさ。」

カサンド「いやー来たのがあたしで助かったねー。」

クロノ「ホントだよ。ってか、お前が来るとは思ってなかった。」

カサンド「やだねぇ、あたしだってそれなりにあんたに感謝はしてるさ。無理やりではあったけどね。さぁ、帰…」

ドアの方を向こうとすると、ドアが開く音がする。

カサンド「あ〜。」

クロノ「他に仲間は?」

カサンド「いないよ。あたしだけ。」

クロノ「マジかよ…」

カサンド「戦えるかい?」

クロノ「無理。魔力が使えなくなる薬飲まされた。」

カサンド「じゃあ下がってな。あたしがやる。」

クロノ「やるって…」

カサンド「安心しな、殺しはしないよ。雇い主の機嫌を損ねるようなことはしないさ。」

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