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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
4話:少女純愛応援歌
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その3・A lover

[クロノ]

ハゼットが言うには、最近レオの様子がおかしいのだそうだ。

こっちは約1ヶ月会っていないからレオのことが全く分からない。

というか、俺に想いを寄せているって俺のことが好きだったのかあいつは。

ハゼット「なんだか暗くてな。あいつが明るい性格なのは知っているだろう?なのに、ここ最近あいつの笑顔を見ていないんだ。アリアージュに行っても暗い顔のままだ。」

アリアージュとは、アリアンテにあるスイーツ店だ。

レオはあそこが好きで常連でもある。

クロノ「今レオはどうしてんの?」

ハゼット「ミランダの所だ。」

クロノ「誰かと一緒?」

ハゼット「いや、1人だ。」

ミランダというのは、ハゼットが昔魔界で仲良くなったサキュバスで、今は人間界に住んでいる。

アリアンテから数十キロ離れたところに魔界と人間界を繋ぐ門があり、そこにミランダの屋敷がある。

クロノ「あのサキュバスんとこに1人でねぇ…」

ハゼット「お前がこの世界に来る前からそういうことはよくあった。1ヶ月くらい滞在していたこともある。お前が来てからは少なくなったがな。だから、ある意味不思議なことではないんだが…」

クロノ「だが?」

ハゼット「行くことが少なくなった理由がお前に会えなくなってしまうからだとしたら、リースに行けばいいじゃないかという話だ。会いたかったらお前のとこに行ってもいいと言ってある。」

クロノ「へ〜。」

ハゼット「あいつ、最近部屋でな…。お前の名前を呪文のように呟いてるんだ。暗い声で何度も何度もな。」

クロノ「ヤンデレ?」

ハゼット「なんだそれは?」

クロノ「あーうちの世界の言葉でな。病的に誰かのことが好きな奴の事を指すんだ。色々種類はあるが、代表的なので言えば、殺したくなるほど好きとか、他の女と話してるだけで許せなくなって殺したくなったりとか…そんなの?」

ハゼット「闇みたいなものか………」

クロノ「どした?」

ハゼット「あまり言いたくないことなんだがな…」

クロノ「…なにさ……」

ハゼット「俺は今までにレオのような状態になっている者を何人か見てきた。レオより酷いのもいれば、まだ軽い者も。だが、それらはやがて闇にかかり、闇人になってしまった。」

クロノ「それって…」

ハゼット「もちろん全員ではない。その中の何人かは、って意味だ。だがなった前例がある以上…」

クロノ「お前はどう思うんだ?」

ハゼット「俺は……」

クロノ「かなり昔に俺に言ったよな。俺が闇にかかったらその時は周囲の安全を優先するって。色んな意味にもとれるが、そのまま色んな意味が含まれてたんだよな?」

ハゼット「お前の言いたいことは分かる…でも…分からないんだ……いや、分かりたくないんだ…どうしたらいいのか…」

クロノ「そりゃまあ、実の息子みたいに育ててきたんだもんな。今更殺す殺さないの話になっても分からんだろう。」

ハゼット「お前から見て、レオはどうなってしまうと思う?」

クロノ「どうなってってのは?」

ハゼット「あいつは、お前の為に他人を害するような人間になってしまうのだろうか…」

クロノ「分からない。ヤンデレはヤンデレでも、害のある奴ない奴がいる。ない奴は安心してもいいが、ある奴はむしろ何とかしないと取り返しのつかないことになる可能性があるくらいヤバイ。」

ハゼット「俺は…俺は…」

クロノ「お前はあいつを殺したくないってんだろ?ならそれを突き通せばいい。そんで自分の力でどうしようもなくなったら俺を頼れ。」

ハゼット「何か…アドバイスは…?」

弱気になると本当に子供みたいだな。

小学生を相手にしている気分だ。

クロノ「そうだな…もし誰か他に俺に気でもあるような奴がいたら、少なくともレオの前でそれっぽい発言をさせないことだ。ヤンデレってのはな、心が綱渡りしてるようなもんだ。ちょっとした衝撃で一気に狂っちまう可能性もある。あいつの心を刺激しないのが1番だ。」

ハゼット「そのヤンデレってのを治す方法は…?」

クロノ「ない。俺のことを好きだって思ってる限り、絶対に治らないし何をどうやっても悪化し続ける。運が悪けりゃ俺がジジイになる前に俺は死んでるかもしれねぇな。」

ハゼット「分かった…」

クロノ「今のは全部最悪のケースの話だ。だが、状況が分からない以上、最低でも最悪と最良の2つのケースを想定しておいた方がいいかもしれんな。」


エントランスに入る。

ミーアが早速飛びついてきて、首が絞められそうになる。

ミーア「クロノ、はなし、おわった?」

クロノ「あぁ、終わったよ。」

マキノ「1泊でもしていくか?こんな建物だが、泊められはするが…」

クロノ「いや、帰るよ。こいつらにもなるべく早めにしなきゃならんこともあるしな。」

マキノ「そうか。すまんな、いろいろと。ほら。」

クロノ「お、剣。」

マキノから先ほど話していた剣を受け取る。

クロノ「そんじゃな。」

来た時と同じように馬車に乗り、リースへと戻る。


クロノ「とまぁ、そんなことなわけよ。」

リースに戻り、ヒーラーのメンバーにあった事を話す。

サクラ「魔獣が人間の女性にですか…」

キキョウ「見た感じは亜人にしか見えんな。」

ジュリ「元に戻るんですか?」

クロノ「分からん。だがまぁ、少なくとも元に戻るまではうちで預かろうと思う。」

ジュリ「戻ったら?」

クロノ「こいつら次第だ。残りたかったら残すし、離れたかったら離す。」

サクラ「そういえば、ハゼットさんのお話って何だったんですか?」

(どうしようか…)

ヤンデレに追われてると話してレオを嫌ってしまわないか不安でもある。

特に高坂さんは、レオの事を短期間とはいえそれなりに知っている。

ハゼットがレオの事を誰にも相談しなかったのは、それによってレオに変なイメージを持たれて欲しくなかったからというのもあった。

(本当のことは言わない方がいいのかな…)

クロノ「こっちでの生活はどうだって。あいつ微妙な所で変な恥ずかしがり屋が入って、手紙では聞きにくいけど話す時は恥ずかしがらないみたいな奴だったりするんだよ。」

サクラ「あぁ〜でもちょっとそういうの分かるかもしれません。」

本当かどうかも分からないのに変なイメージを持たせるわけにはいかないしな。

クロノ「とにかく、3階の部屋をこいつらの部屋にしよう。さ、ついて来てくれ。」


ヒーラー内の案内や紹介を終え、すっかり夜になった。

夕飯も終え、部屋のベッドに入る。

リミは部屋にいない。

朝起きるといつもベッドの上に金縛りみたいに立っているのだが(立っているだけで体が動かなくなるわけではない)、夜はいない。

俺が寝ている間に部屋に入ってくるのだろう。

(レオは大丈夫なんだろうか…)

また今度レオに直接聞くべきだろうか。

いや、そんな直接的な手段では変なことになるかもしれない。

(いや、この際に何をやってもマトモな結末にはならんか…。)

悩みながらも、眠りに落ちていく。


数時間は経ったのだろう。

物音で目が覚めた。

(なんだ?リミか?)

いや、リミは食べ物以外には触れない。つまり、物音を立てる術はないのだ。

音は部屋の中でした。

暗くてよく見えないが、扉が閉まる音がする。

(扉が閉まる音?俺は寝る前に扉は閉めたはず…)

恐怖というより、嫌な予感がしてくる。

何せ昼にあんな話をしたのだから。

(まさかな…)

するといきなり後ろから何者かに口を布で押さえつけられる。

クロノ「むごぉ‼︎」

すぐにやり返そうと体に魔力を長そうとするが、体に力が入らない。

魔力も全く作れず、異様な眠気に襲われる。

(睡眠…薬…なの……か………)

瞼が重いとかではなく、瞼を開けようという意思が消え去っていく感覚がする。

また再び、完全に真っ暗な世界へ落ちていく。

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