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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
4話:少女純愛応援歌
19/67

その2・Gender conversion

[クロノ]

ハゼットの手紙を受け取り、マキノの研究所に来た。

1人で行くつもりだったが、ミーアがどうしてもついて来たいと言うので、連れて行くことにした。

研究所の扉は壊され、外からでも内装が1度メチャクチャになったんだろうなぁというのが分かる。

一応ある程度掃除はしてある。

クロノ「ほーれ、来たぞー。」

男「あれ?えーと、どちら様でしょうか…?」

出迎えたのは初めて見る青年だった。

青色の髪の美青年でマキノと同じように白衣を着ている。

左腕をギプスで固定している。

骨折しているのだろうか?

クロノ「あれ、新入り君?」

マキノ「あぁ、ビット。私の友人だ。」

マキノが奥からやってくる。

クロノ「あ、マキノ。」

マキノ「来てくれてありがとう。そちらはワーキャットか?」

クロノ「まぁな。どうしてもついていきたいっつーから連れてきちゃったけど、よかった?」

マキノ「あぁ、構わないさ。」

クロノ「メイとサシュは?」

マキノ「サシュはいつも通り、異常は無く、普通に生活している。メイもいつも通り仕事を行なっている。サシュとメイの関係がどうなるかと思っていたが、特に変わったことはなく、いつもの2人に戻ってくれた。彼女たちには迷惑をかけ過ぎてしまったから、今度は私が彼女達に何かしてやろうと思う。」

クロノ「そいつはいい。」

マキノ「さて、来てくれたということは…」

クロノ「ハゼットからの手紙である程度のことは知ってるけど、一応何があったか教えてくれない?」

マキノ「あぁ。まずはこいつの説明からした方が良いのかな。この男はビット・ウィンクだ。ビット、この男はカミヅキ・クロノ。」

ビット「クロノさんと言えば…レギオンの⁉︎」

クロノ「あぁ〜…やっぱりそれ知れ渡ってるか。いや、厳密には俺が退治したわけじゃないしね?」

ビット「そうなんですか?」

クロノ「俺は奴の弱点見つけただけだよ。実際に倒したのは別の奴。」

ビット「それでも十分すごいですよ!あぁ、申し遅れました。ビット・ウィンクといいます。マキノさんのお手伝いをしたくて、ここに入所しました。」

マキノ「まぁ、そういうことだ。入ってきたのは2週間ほど前だ。」

クロノ「へぇ。」

マキノ「それでこの惨事は一昨日のことなんだが…まずは奥に来てくれないか…?」

クロノ「奥に何かあるの?」

マキノ「今回君を呼んだ理由なんだ…その…原因は私なんだが…とにかく助けてほしいというか…」

クロノ「どうした?珍しく弱気じゃん。」

マキノ「いや、君に全く関係ないことなのに君に頼ってばかりで申し訳ないというか…迷惑ばかりかけている気がして…」

クロノ「なーに言ってんの。困ってんだから助けんのは当たり前だよ。いくらでも頼ってくれ。それに、俺がラフに入りたての頃はあんたの剣のおかげで助けられまくったからな。」

マキノ「本当にすまない。あぁ、そうだ。その剣なんだが、一応1本作ってあるんだ。いるか?」

クロノ「あ、まじ?欲しい。」

マキノ「じゃあ後で渡そう。まずは奥だ。」


クロノ「何があったのよ?」

マキノ「一昨日、魔獣の群れがこの研究所を襲ったんだ。それ自体は前からあるのは知ってたろう?だからいつものように、メイに戦闘を任せ、私とサシュ、それからビットは私の部屋に引っ込んでいたんだ。私の部屋の扉はハゼットですら壊すのに苦労するレベルだからな。だが、今回に限って1つマズイことがあったんだ。」

クロノ「マズイこと?」

マキノ「レオにある薬の開発をしてほしいと頼まれてな。何とか試作品は完成。試験はどうやって行おうか考えていた時に襲われたんだ。ある程度片付けてから部屋に逃げ込んだが、私のミスで、完成した試作品とそれの材料や作り方を示した紙をそのまま置いてきてしまったままだったんだ。そしたらビットが代わりに回収してくると言って部屋を出て行ったんだ。」

クロノ「その怪我はその時の?」

ビット「はい。部屋を出て、薬とレシピを回収できたまでは良かったんですけど、僕が部屋に入ったところを魔獣達に見られ、そこを襲いに来たんです。レシピは死守することが出来たのですが、薬を魔獣に壊されてしまいました。それでこの怪我です。利き手じゃなくて助かりましたけど。」

クロノ「メイが対応できなかったのか?」

マキノ「メイは相手のパターンから行動を予測して先手を打つという戦い方なんだ。だからビットを見つけたことで急に動きを変えた魔獣に追いつけなかったんだろう。人間らしい戦いというのができないというのが彼女の欠点だ。」

クロノ「ほー。それでその薬ってのは?」

レオがマキノに頼んでまで欲しがった薬とは…

マキノ「見れば分かると思う。」


実験室の扉がいくつか壊されている。

そのうちの1つ、薬を扱う実験室に入る。

中にはハゼットとそれから…

クロノ「え、なにこれ。」

ハゼット「来たか。」

クロノ「ハゼットさん、なにこれ。」

4人の女性が縛られている。

その上から頭だけ出して布を被せられている。

その全員がハゼットやマキノ、自分にも犬が唸るようにグルルルルと声を出している。

クロノ「俺にはなぜ女性が縛られているのかわからないんだが?そういう趣味があったとか?」

ハゼット「おいおい。俺にもそんな趣味はない。今回はそうせざるをえなかっただけだし、彼女達は人間ではない。」

クロノ「え、じゃあ亜人とか?」

確かに頭から耳が生えている。

耳の形と唸り方的に犬か狼といったところだろう。

ハゼット「亜人でもないのだ。ついでに言うと獣人でもない。」

クロノ「え、じゃあ…」

ということは残された選択肢は…

クロノ「薬を壊した魔獣って退治できたの?」

マキノ「いいや。できなかった。」

クロノ「へー。ってことはさ…この人達って…魔獣?」

マキノ「…あぁ。」

この4人の女性達は魔獣なのか⁉︎

クロノ「ってことはその薬って、魔獣を人間に変える薬ってこと⁉︎」

マキノ「いや、そうではない。正しくは、『肉体を女性のものへと変える薬』だ。」

クロノ「女体化薬…?まじで言ってんの…?」

マキノ「人間の女性の姿になったのは説明できると思う。体の構成を1度作り変え、人間の女性のものへと変わるようにしているんだ。魔獣とはいえ、体の構成を『人間の』女性に変えているのだから人間になったのだろう。」

クロノ「さらっと書き換えてとか言うなよ。」

マキノ「実はな。あの闇の事件以来、頻繁に望み壊す改定の境界(ワールドブレイク)が使えるようになってな。」

クロノ「はい?」

マキノ「いや、普通に使うのではなく、その片鱗というか、能力の一部が使えるんだ。」

クロノ「なんで…」

ハゼット「マキノが研究好きだからだろう。詠唱魔法は心の中の本音、決意、想いを吐き出し、表すことで発動される。研究に対する熱い想いと情熱が、一部とはいえ詠唱魔法を発動させる条件になったんだ。と、俺は思う。」

クロノ「そんな頻繁に世界壊されたらたまったもんじゃねぇぜ…。」

マキノ「だからできたことなのだろう。」

魔獣「ガルルルルルァァァァ‼︎」

縛っていた魔獣の1人が縄を無理やり引きちぎる。

ハゼット「な⁉︎」

自分の方へと飛びかかってくる。

魔獣なので服はなく、かといって着せる余裕もなかったようで、絵的には裸の女性が飛びかかってきている。

するとミーアが前に飛び出て、魔獣の邪魔をする。

魔獣「グゥゥゥ…」

ミーア「クロノ!たべる!だめ!」

ハゼット「彼女は?」

クロノ「仲間になったワーキャット。懐かれたんだよ。さて、できれば戦わずに済ませたいから…」

右手の力を解放し、自らの体を魔獣化させ黒くする。

魔獣はこちらの存在を改めて敵と認識したらしく、吠えて威嚇する。

魔獣にゆっくりと近づく。

魔獣は吠えるだけで、飛びかかって来ない。

それどころか、だんだん吠え方に強みが無くなり、だんだん顔が恐怖に引きつっているのが分かる。

ある程度まで近づいたところでまた声が大きくなるが、こちらへ来るなという意思表示にも見える。

クロノ「暴れるな。大人しくしているんだ。俺たちはお前に危害は加えない。分かったな?」

魔獣の耳の横で優しく囁く。

クロノ「大丈夫だ。俺はお前の敵じゃない。」

魔獣を優しく抱きしめ、敵意がない事を表す。

背中をポンポンと叩き、離れる。

クロノ「いいな?」

魔獣がうんと頷く。

それを見た他の魔獣達も大人しくなった。

どうやら群れのリーダー格らしい。

クロノ「そいつらの縄も解いてやってくんない?もう暴れないだろ。」

ハゼットが他3人の縄を解く。

予想通り、暴れなかった。

クロノ「魔獣って人間の言葉分かるの?」

マキノ「人間の言葉を知っているかどうかは別の話として、頭脳としては人間並に賢く、人間の言葉を理解できる魔獣はいる。体の構成や発声器官の影響で喋れないだけ、という魔獣もいる。彼女達はウルフという魔獣だが、人間と接することが最も多い魔獣の1つだ。人間の言葉が理解できるようにもなるだろう。」

クロノ「へー。」

魔獣の方を見る。

クロノ「これって、元に戻るの?」

マキノ「分からない…何せ試作段階だからな。」

クロノ「レオもなんで女体化薬なんぞ…」

マキノ「女の子の格好している自分だから少し気になって、と言っていた。私も、そういう考えもあるものなのだろうなぁと思って引き受けたんだ。まぁ、素晴らしい研究だと思っていたところもあったわけだが…こうなるとは…」

ハゼット「まぁなんにせよ、クロノが来てくれて助かった。俺たちだったらこいつらを大人しくさせようだなんて考えもしなかった。」

クロノ「そりゃまぁね。魔獣からしたら俺らなんて自分達を縛る悪い奴らだからね。ちょい同情。だからなるべく穏便にことを済まそうと思ったんだよ。」

ハゼット「普通はそういうことを考える人間はいない方が多いんだがな。魔獣を忌み嫌う人間は多い。俺も少しそういう部分はある。」

クロノ「魔獣なんて言っても、人間も魔獣みたいなものだぞ?魔獣からしたら、自分らを住処から追い出す悪魔のような存在だからな。むしろ、魔獣ってのは俺たち人間のことだけかもしれんぜ?」

ハゼット「…人間こそが魔獣……俺たちも……」

ビット「すごいこと言いますね…魔獣嫌いが聞いたらすごい顔しますよ…。」

クロノ「俺には関係ないねそんなやつらなんて。」

マキノ「とりあえず、どうしようか。この魔獣達は。」

クロノ「うちで引き受け…られるはずだ。うん。」

マキノ「本当なのか?」

ミーア「クロノ、むり、だめ…」

クロノ「いや無理はしてないよ。ヒーラーハウスもまだ3階が空いてたはずだし。」

マキノ「すまないが、今の研究所で彼女達を住まわせる余裕はない。」

ハゼット「ラフも厳しいだろうな。レオがこの失敗のことを知ったら責任を感じてしまうだろう。迷惑をかけることになってしまうが、そうしてくれるか?」

クロノ「あぁ、任せろ。それで…」

ハゼット「そうだな。クロノ、少し話があるんだ。いいか?」

クロノ「あぁ。」


ハゼットから貰った手紙の内容はこの事件のことともう一つ。

俺に知っておいてほしいことがあるとのことだ。

その内容はなるべく他の者に知られて欲しくないことらしく、事件の手伝いのついでに来てほしいと書いてあった。

クロノ「まさかとは思うけどレオのこと?」

ハゼット「なんで分かったんだ?」

クロノ「何かあったら、マキノなら何が起きたか詳しくハゼットに教えるだろう。そんでそのハゼットが何も説明なくマキノを助けに行ってくるってラフの連中って言うはずがない。だからラフの連中もこの女体化云々の事は知ってるはず。それなのにさっきのハゼットはレオがこの事を知らないかのように話した。何かあるんじゃないのかな〜って。」

ハゼット「その通りだよ。」

クロノ「何かあったの?」

ハゼット「俺も確証が掴めない。だから、エリーにも話していない。だがレオが想いを寄せているお前には、話しておいた方がいいと思ってな。」

クロノ「なんか、ヤバイ話の雰囲気だけど…」

ハゼット「分からない。そうであって欲しくはないんだがな。実はな。レオの様子が最近おかしいんだ。」

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