第10章 ひらめきから誕生。『自己啓発ポエム』
時刻は午前6時。
7月の朝日が静かに差し込む。
僕は静かに冷蔵庫を開けて、TULLY'Sの紙パックのブラックコーヒーを取り出した。
そして、リビーのジブラルタルに注いで、飲み干した。
note2年目を迎えた僕は、「自己啓発をインフラに」の実現に向けて、早朝から執筆を開始することにした。
今までは、仕事中や夜に書くことがほとんどだった。
でも、「アウトプット大全」や「脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術」を読んで、『起きてからの2時間以内は脳のゴールデンタイム』という記述を見た時、(早朝の執筆にした方がよりいい文章が書けるかも)と思った。
それに、村上春樹やスティーブン・キングも早朝から執筆している。
なら、第一線で活躍している作家達のマネをするのが文章力向上の近道になるはずと思い、早朝の執筆に切り替えた。
僕は、早速筆を走らせた。
相も変わらず、青いフリクションで一本の作品を書き上げていく。
早朝の執筆に切り替えてから、頭の中の情報量が整理され、より自己啓発の内容が洗礼されていく感覚があった。
30分くらいして一本の作品が完成した。
僕は、最終チェックを終え、noteに予約投稿した。
もう一度冷蔵庫へ向かい、TULLY'Sの紙パックのブラックコーヒーを取り出し、リビーのジブラルタルに注いだ。
今度はゆっくりと喉の奥へと流し込んだ。
まるで、コーヒーのソムリエみたいに。
僕は、『自己啓発をインフラに』を実現するためにして来たことを振り返った。
まず、僕は脳の仕組みをもう一度勉強し直した。
村上春樹やエジソンも、脳の仕組みを理解していた上で、様々な偉業を成し遂げたと、本で読んだからだ。
楽しい時に分泌されるドーパミン。
締切があると力を発揮するために分泌されるノルアドレナリン。
RASや海馬の仕組み。
僕は、どうすれば脳の力を120%発揮出来るか?を自分なりに考えた。
そして、自分なりのルーティンを少しずつだが作り上げる行動を取っていた。
まず、ブレインダンプをすることにした。
ブレインダンプとは、Brain(脳)の中身を Dump(吐き出す)ことだ。
頭の中にある悩み、アイデア、タスクなど全ての情報を紙やツールに制限なく書き出して、脳内を整理する手法である。
僕は、ブレインダンプをするために、181のニーモシネのノートを購入した。
そして、学んだことをインターバルタイマーを鳴らしながら、学んだことを全てニーモシネのノートに書いていった。
例えばこんな感じだ。
早朝の執筆がいい
↓
起きてからの2時間は脳のゴールデンタイム
↓
執筆には脳を使う
↓
脳の仕組みでRASというのは…
こんな感じで、時間いっぱいまで書き出していく。
インターバルタイマーがあるのは、締切を作るためだ。
締切があると、ノルアドレナリンが分泌され、高い集中力と質の向上に繋がる。
なので、インターバルタイマーが鳴る度に、一つの知識を書くようにした。
最初は全然上手くいかなかった。
でも、続けていくうちに、少しずつインターバルタイマーが鳴る毎に、知識を一つ書けるようになっていった。
これを毎日やるようにした。
海馬は週に3回使われた知識は記憶される習性がある。
そのおかげで、執筆に必要な知識を忘れずに済むようになった。
次に、カフェイン摂取を12時までにした。
これは、脳の回復に努めるためだ。
「SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術」に感銘を受け、取り入れた習慣だ。
脳は、寝ている時に脳に溜まった老廃物を除去する。
そして、脳の老廃物を除去する物質のアデノシンとカフェインが瓜二つで、寝ている時にカフェインが残っていると、カフェインと本来アデノシンとくっつくはずの受容体がくっつき、脳の老廃物を除去出来ない。
コーヒー1〜2杯分のカフェイン量は約100〜200mg。
カフェイン100mgの分解までに約8時間ほど掛かる。
だから僕は、逆算して午前12時までにコーヒーなどで約100mg程のカフェインを摂取し終われば、仕事終わりで就寝する23時頃には分解し切れていると考え、取り入れた。
カフェイン摂取に期限を設けたことで、起きた時の身体の調子が良くなった。
頭も冴え渡る日が増えた。
全ては早朝の執筆に力を120%発揮するため。
僕は、TULLY'Sのコーヒーを飲み終え、今までやって来たことを振り返り、自分のしてきたことに誇りを持った。
時刻は7時30分。
2階の寝室のドアが開き、カーテンを開ける音が聞こえた。
僕は、リビングの机に広げた執筆道具を片付け始める。
階段を降りてくる音が聞こえた。
千聖は、佳くんを抱っこしていた。
佳くんはまだ眠いらしく、千聖の肩に頬を付けて寝ていた。
佳くんが生まれてから約1年半が経過していた。
一人歩きが安定し、手先が器用になってきた。
最近の僕は、佳くんとアンパンマンのブロック遊びにハマっていた。
千聖が僕の顔を見て微笑みながら言った。
「おはよう。パパ」
僕は、この微笑みを毎日見れることが幸せだった。
千聖に微笑み返しながら言った。
「うん。おはよう。千聖」
千聖が食パンを焼いている間、僕は佳くんを抱っこしながら明日書く執筆の内容について考えた。
(脳科学でもいいし、手書きについてでも…なんなら偉人の言葉にしようかな…)
この時実は、僕はあることに悩みを抱えていた。
それは、「『自己啓発をインフラに』するためには、今のような内容を投稿し続けていいのだろうか?」ということだ。
僕は、自己啓発書のように、実用的な内容を引用を交えて投稿していた。
でも、もし仮に他の人が自己啓発の内容を投稿した時、プロフィールに「東大式」や「ハーバード式」などの文字があれば、そっちを見るんじゃないかな?
僕だってそうだ。
それに、『自己啓発をインフラに』するためには、楽しく学べる自己啓発の方がいい。
人は楽しいことが好きだし、インフラになるなら尚更そう思う。
僕は、考えても考えてもアイデアが浮かばない頭に少しイライラした。
でも、佳くんの可愛い寝顔を見たら、そんなイライラは何処かへと消え去ってしまった。
チンッ
やがて、オーブントースターのパンが焼き上がった音で、僕の思考は中断された。
家族3人で食パンを食べ、洗濯物を畳んで、3人で散歩に出掛けた。
7月と地球温暖化の影響もあり、気温は30℃以上になっていた。
千聖が、手に持っていたOS-1を一口飲んだ。
僕は、佳くんを抱っこしながら歩き、汗だくになっていた。
蝉の鳴き声が聞こえる。
空は雲ひとつなく晴れ渡り、思わず写真でも撮りたくなるような景色が目の前に広がっていた。
そして、時刻は11時。
僕は仕事場へ行く準備を終え、青いMOVEへと乗り込んだ。
平塚の店舗まで約1時間。
僕は、店長になった1周年記念にSUIT SELECTで購入したギンガムチェックのポロシャツに黒のスラックスを履いていた。
ドライブのBGMには、映画「新宿スワン」の主題歌にもなったMAN WITH A MISSIONのDiveを選んだ。
車のエアコンの冷風が半袖姿の僕の腕に当たる。
赤信号になり、運転席側のドリンクホルダーに入っている三ツ矢サイダーの蓋を開けて飲んだ。
そして、ドラマ「ラジエーション・ハウス」の主題歌のRemember Meが再生され、国道1号線を走っている時には、Emotionsを再生しながら大声でサビを歌っていた。
歌って楽しいよな。
なんかこう、歌詞が心に響くというか。
聞いている人に勇気を与えるというか。
その時僕は、歌声をストップし、左手には駐車場の広いセブン、右手にはラーメン店がある十字路の赤信号で停止した。
僕は赤信号を見上げ、少し下を向く。
ハンドルに掛けた右手の人差し指をトントンっと叩き、思考をフル回転させ、自分のアイデアに熱いものを感じた。
(そうだ!歌詞、つまり詩と自己啓発を組み合わせたら面白いかもしれない!!)
僕は、この組み合わせに可能性を感じていた。
実用書は、実用書が故に内容が堅い。
そして、テンポが損なわれる。
これに詩の持つテンポや柔らかさを組み合わせたら、面白いかもしれない。
僕は、興奮していた。
まるで、アクセルとブレーキを踏み間違えそうになるほどに。
そして、この作品が後にKindle2冊連続1位を記録し、作家人生を踏み出すきっかけになるのである。




