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雨降ってきたな
「おっ、雨降ってきたな」
角のとがったデビルの少女が言った。
「マジ? 傘ねーわ、貸せ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「開幕から民度悪すぎだろ。お前何様だ?」
「お疲れ様」
「はい、しょーもない。不様だな」
「どうかしら? 人によって意見は様々よ」
「様々うるせぇな貴様」
「それはお互い様ね」
「もーやめやめ。雨の話だよ、傘ないの?」
「ないわよ。あると思いたいけどないわよ」
「勝手に思ってろ。えーアタシも一本しかねぇぞ」
「じゃんけんね」
「なんでだよ。アタシのだぞ」
「……一緒に入れと」
「それしかねぇだろ。やなら、ずぶ濡れだ」
「じゃずぶ濡れで」
「早いな。そんな一緒に入るの嫌か」
「嫌ね。一緒の傘に入るくらいなら、雨の中で踊るわ」
「じゃあ、風邪ひくまで踊ってろ」
「残念、なんとかは風邪ひかないのよ」
「自分で言ってる」
「誰がバカじゃ」
「言ってねぇだろ。伏せた意味よ」
「身バレってやつね」
「何も隠してないだろお前は」
「嘘つけないタイプなのよね」
「それが嘘だろ。秒で嘘つくな」
「まあ、そんな話してる間に雨が止んだわね」
「え? マジで!」
「いや嘘」
「もう大泥棒だな。捕まれ」
二人は喫茶店をあとにした。




