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第42話:「不老不死のスーパーケモ耳天使に成り上るのだッ♪」

「「指切りげんまん、半年後に迎えに行くよ(来てください)♪ 指切った♪ 迎えに行くよ(来てください)っ♪」」

 指切りをし終えると、俺達は再び笑顔になっていた。


 子どもみたいな行為だけれど、ここは魔法のある世界だ。俺達に、『魔法と運命の神様』の加護がありますように。


 ◇


 鹿島さんと2人きりの話を終えた後、俺とエゼル、そして鹿島さんと騎士達はダンジョンの入り口が見える場所へとやって来ていた。

 ダンジョンの外にある滝の音が、かなり大きく響いている中。ご機嫌そうな顔でエゼルが口を開く。

「それじゃ、ここでお別れだな♪ エゼル達は、もう一度ダンジョンの奥を探索するのだ(≡ω)b」

 エゼルの言葉に、俺は補足をする。

「契約は守ってもらえると思いますが……大丈夫ですよね?」

 その問いかけに、サフランさんとオジサン騎士と鹿島さんが首を縦に振る。

 残念イケメン騎士は俺を軽くにらむだけだけれど。


「はい。流石に約束を破った時の代償が大きすぎますからね、絶対に話しませんよ」

「俺も同じだ。リカルドは今は不貞腐れているが、俺の方から約束を守るように言い含めておく」

「もちろん、私もこのダンジョンで起こったことは話しません!」

 3人の言葉を聞いて、俺も首を縦に振る。

「そうしてもらえると助かります」


「それじゃ、そろそろ行くか。今、出発すれば夕方までにはテトラ村に戻れる」

 オジサン騎士の言葉に、サフランさんと残念イケメンが首を縦に振る。

「はい、野宿は出来るだけ避けたいですからね」

「早く、こんなダンジョンからは出ましょう。気が滅入りますから」


 さりげなく当てこすってくる残念さんは放置して、俺は営業スマイルで騎士達に別れの言葉を投げかける。

「それでは、また機会がありましたら、その時にはよろしくお願いします」

『今度会う時には、鹿島さん以外は敵同士だけれどな(≡ω)b』

 思考加速状態で、ポツリとエゼルが言ったけれど返事はしないでおく。殺気が表情に出るといけないから。


「よし、では出発するぞ!」

「「「はいっ!」」」

 オジサン騎士の声に、鹿島さんとサフランさんと残念さんの声が重なったのを聞いて――俺とエゼルは、そのまま4人を見送った。

 そしてダンジョンの入り口から4人が出ていった直後、ディルからテレパシーが飛んで来た。

『おにーさん、出入口を取りあえず塞いじゃいますね。今回の件を、あの中の誰かが話したら厄介なことになりますから』

『了解。4人の姿が遠くに行って見えなくなったら、そっと出入口を閉じておいて』

『はい♪ ダンジョンは出入口を完全に閉じてはいけないことになっているので、どこか目立たない場所に新しい出入口を作ってから、こっちの方は閉じちゃいますね』


 ダンジョンの入り口を閉じると言ったディルに、エゼルが不思議そうな声色でテレパシーを飛ばしてくる。

『……なぁ、ディル。素朴な疑問なんだが……ダンジョンって「出入口を1つもない状態にする(無くす)」ことは出来ないのか? 出入口を完全に閉じて短期間引きこもったり、防衛力を高めたりとかできないのか?』

 それが出来たら、しばらくの間はダンジョンの再構築や防衛力アップに専念することが出来る。

 でも、ディルから返ってきた言葉は芳しくなかった。

『ん~、入り口を消すことが出来たらとても便利なのですが、残念ながら実行するのはかなり難しいですよ。……というか、私ちゃんは実行したくありません』

 そう言うと、かなり真面目な口調でディルが言葉を続ける。


『なぜなら、ダンジョンは異空間に作られていると言われています。なので出入口を完全に閉じてしまうと――異空間に飲み込まれて、元の世界に帰ってこれなくなってしまうのです。知っていますか? こういう話』

 そしてディルが語ってくれたのは、異空間に飲み込まれても『返ってくることができた』DC達の物語。こっちの次元では1年間も時間は経っていなかったのに、戻ってこれた数少ない生還者達の証言では、50年とか100年も奇怪な世界を彷徨ってしまっていたという――浦島物語の異世界バージョンだった。


『ぉぅふ……それは怖いな(Tω)』

『ええ。しかもDMやDC、そして彼らが認めた眷属は不老不死の力を得ることができますから。下手したら、文字通り「永遠に」異空間を彷徨うことになります』

『ブルブルブル! ガチで怖いじゃないか!!――っていうか、ん? あれ?』

 エゼルが何かを言いかけて、不思議そうな表情を浮かべた。そして、言葉を続ける。


『なぁ、DMの眷属も不老不死になるのか? もしかして、エゼルもか? エゼルもなのかっ!?』

 さっきまで怖がっていたのに……尻尾をフリフリしながら、キラキラと目を輝かせているエゼル。中二病に罹患しているから、きっと『不老不死』が心の琴線に触れたのだろう。


 ――でもさ、俺が本人の同意なしに不老不死にする訳が無いよね? それに、そもそも今の俺には眷属の不老不死化は無理なのだ。

『ごめん、エゼル。まだエゼルは不老不死じゃないよ? 俺のDMとしての【職業レベル】みたいなものが足りないみたいで、眷属の不老不死化はまだ出来ないんだ』

『えぇ~っ! 不老不死、不老不死なのにか(Tω)!!』


 尻尾の動きがピタッと止まって、残念そうな表情を浮かべるエゼル。

 でも、そんな彼女をディルがフォローし始める。

『エゼルさん。おにーさんなら遠くない未来に、眷属の不老不死化を習得することができると思います。そんなに落ち込まないで下さい』

『そうだよ、そうだよな! エゼルは不老不死のスーパーケモ耳天使に成り上るのだ♪』

 そう言ってすぐに狼耳をピンと立てて元気になるエゼルだったけれど――スーパーケモ耳天使は、ちょっと違うと思うんだ。絶対に、10年後の黒歴史になるだろうから、その名称だけは全力で止めてあげようと思う。


『そう! エゼルは不老不死のスーパーケモ耳天使に成り上るのだッ♪』

 ……いや、止めとこう。エゼルがなんか、幸せそうだから。



(次回に続く)

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