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9話「未来人形(ファルコス・パツェリナ)」

Hero9:未来人形ファルコス・パツェリナ


・それはとあるラーメン屋。

真面目ぶって授業に出ているトゥオゥンダとジキルを置いて

零が一人で入ろうとした時だった。

「あん?」

「む?」

「・・・・・・はぁ、」

同時に入ろうとした男が二人いた。

「えっと誰だっけ。何だか記憶回路を妙にくすぐられる。」

今作及び前作主人公:甲斐廉。

「お前は死神か・・・!だがどこか違うような・・・」

前作外伝主人公:矢尻達真。

「・・・出来るだけ他作品とは関わりたくなかったんだがな。」

前々作主人公:伊王野塔矢。

この3人が揃ったのだ。


・3人同じ卓に座りそれぞれがとんこつラーメンを注文する。

「・・・じゃあお前は死神じゃないのか?」

酷似。しかし確かにこの男からは殺気を感じない。

「そんな恥ずかしい名前を名乗る零はいない。」

零が呆れながらもスマホをいじる。

「明らかに俺だけ仲間外れだと思うんだが。帰っていいか?」

この二人と関わっては命がいくつあっても足りない。

「まあ待て待て。せっかく揃ったんだ。

これからもどんどん増えていくことだしあらかじめ慣れておこう。」

店員に追加でワインを頼む零。

「おい死神!お前未成年じゃないのか?」

確かこの男は自分よりも3つほど年上だったはずだ。

つまり今は19前後なはず。

「いや、もう20だが?いい加減お前の世界のとは別人だってこと分かれよ。」

「・・・別にどこの世界の死神とも酒を酌み交わす気はない。」

「・・・1つ聞きたいが、」

「何だ?」

「・・・お前どの時間軸から来た?」

「・・・一応言っとくが俺もこの世界の住人だ。」

多くを語る性分ではない。特に相手は油断ならない男だ。

「・・・まあ、赤羽やらリッツやらがいるから大体想像はついてたが。

じゃあ、火咲は?」

「・・・・・・・・」

火咲・・・最上火咲。あの脂肪女の事か。

思い出したくもない狂人だ。それにリッツと言うのは

あの外国人だろう。確かにこの手で殺したはずだ。

それはこの世界でも変わりないはず。なのに何故・・・?

「あまり難しく考える必要ないんじゃないのか?」

「あんたに何が分かる人形師?」

「お前はまだ若い。あまり難しく考えずに欲しいものを

手に入れればいいだろう。自分に素直になってな。

・・・無くしてからじゃもう遅いんだ。」

この少年はいろんな意味で俺にそっくりだ。

無くしたもののために自分を殺して自分からも他人からも逃げていた。

そしてそれ故にいつか必ず崩壊を招いてしまうかもしれない。

「そこまでにしとけよお前ら。ラーメンが届いたぞ。」

二人の間を制すように零がラーメンを受け取る。

仕方なく他二人も無言のままラーメンを食する。

が、窓の外に視線をやってその光景に思わず吹き出してしまった。

「こんな再会はしたくありませんでしたね。」

「な、何ですかこの人は・・・!?」

「It's cragy monster.」

「動きが・・・凄まじすぎる・・・!」

「わぁい!!可愛い子ばっかいるぅぅぅ!!!」

噂に出した妖怪レズ女が車の上を飛び回りながら

赤羽、リッツ、メア、シフルを追い回していた。

そして、5人の視線が全て自分達3人と合った。

「甲斐さん!」

「あの男は・・・」

「・・・・・・」

「塔矢さん!!」

「また邪魔をしようって言うの?」

「・・・さて、どうするご両人?」

零がわざとらしく視線を送る。

「・・・まず関わりたくないが俺の関係者が一番多いようだ。」

どうしてあの外国人が二人いるのかは分からないが

やることは変わらないようだ。

「メア・・・。なるべく命令しないように助けてやるか。」

もうメアに誰も壊させはしない。俺があの子を人間にしてやらなければ・・・!

「決まりだな。さあ勝利という名の侵略の采配を奏でん!!」

突如ラーメン屋が大爆発して3人が飛んだ。

「メア!俺を抱えて全速力で逃げろ!!」

「はい!塔矢さん!」

メアが俺を空中でキャッチするとそのままものすごい速度で離脱する。

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・結局こうなるわけね。」

「・・・・・・・・・・・・・」

自分は最上火咲とあの外国人の間に着地した。

状況は圧倒的に不利だがしかし退く理由はない。

既に自分に未来はないことに変わりがないからだ。

「甲斐さん!」

「学校サボって何をしているんだ君は。」

「どこかの誰かさんが私を拉致った翌日なので

今日は休校になったんですよ・・・!

それより・・・」

「ああ。あのふたりの殺気は尋常じゃない。

止めなければ死者が出かねない。やるぞ、赤羽!」

「はい!」

零と赤羽は達真と火咲の間に立った。

「何の真似だ死神。」

「ここは実戦の場所じゃない。

闘志こそ必要かもしれないがその殺気は必要ない。」

「あなたもですよ。過ぎた力はいつだって自滅しか産みません。」

「まあ、そうかもね。でも私は自分含めてあらゆる破壊を楽しんでいたから。

と言うか死神さんだっけ?

あの時はよくも私をトイレに叩き込んでくれたよね。」

「別人だ。頭の中にしまっておけ。」

「で、やるのかやらないのかどっちなんだ?」

「・・・・・・・行こう、シフル。」

リッツが踵を返しシフルがそれに侍る。

「・・・」

「りっちゃん、どしたの?」

「あなた方が無事だと分かったのなら私はそれでいい。

・・・私はもう戦わないから。」

「ああもう!可愛いな!りっちゃんは!」

そうして火咲は二人の跡を追いかけていった。

「・・・何なんだ・・・?」

「いつまでも気張っていたのはお前だけってことだよ。

女の子二人はもうとっくにお前と争う必要性を失っている。

お前の大事なあの子がどうして最後の夢見枕に現れたのか、

その意味を理解しろってことさ。」

零と赤羽が踵を返すと前方の歩道にトゥオゥンダとジキルを発見したため

全速力で向かっていった。

「・・・・陽翼、俺は・・・・」

独り残された。

あの女もあの外国人も死神ももういない。

それにあの人形師が言っていた言葉。

「・・・なくしてからじゃもう遅い、か。」

それだけつぶやきその場を消えるように後にした。

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