運営方針
2話連続投稿の2話目です、どうぞ前話を先にお読み下さい。
「良いか、良く聞け余計な差別意識は商売の邪魔だ、金にならねえから今すぐ捨てろ。稀少で誰もが欲しがる物を売ってくれるのは誰であろうと『取り引き先』、商品を買ってくださる方は『お客様』だ!よその連中が獣人だ、リザードマンだと難癖付けて安値で買い叩いたり、ぼったくるならそれはウチにとっては付け入る隙だ!」
別段間違った事は言ってないのに、悪巧みを聞かされているように感じるのはやはり会長の外見のせいか?
そうつぶやいたら、隣にいた秘書さん(男)も「どう見ても悪徳商人ですよね。」と笑った。
アラマドの勢いに押されて、ザワルはひたすら頷いている。
人の身になってその痛みを考えろ、とか正論で説教をしてもコイツは反発するだけだろうしな。
亜人と差別する一方で、蔑ろに出来ない戦力を有している彼らと波風は起こしたくない。だからこの国では法律で差別を禁じているものの、有名無実で効果は無い。
その中で誰が相手でも誠意を貫く互助会の方針は異彩を放つ。しかしそれによって今まで手付かずの分野を開拓し、独占しているのだ。
もちろんそれに付け込んで裏切られる事もあるが、きっちり報復して、相手は以降の関係を絶たれる。
設立されて、やっと25年の新興組織だが、その人脈は広い、互助会に『干される』と言うことは人族の社会だけでなく、他の種族とも付き合いが難しくなると言うことでもある。
「『寄らば大樹の陰』と言うだろうが、自慢じゃねえがウチは立派な大樹だぞ。寄り掛かりたいなら勝手な事はするな。ガセネタ流して金儲けなんて、もってのほかだ、後の迷惑を考えろ。」
人魚騒動では事件現場になったヨルド市のダイムズ会長がいまだに犯人探しを諦めていない。
「それにな、歴史を調べれば解ることだから教えておくが、この国の6代前の国王様は転生者で、同時期に一緒に活躍した方々もお前さんの言うチートな人達だったそうだ、だから国の上層部は俺達を活用することを諦めてねえ、たまにお調子者がおだてられて魔族との戦いに送り出されているが、だからさっきの話しはそれよりもっとヤバい、よそでするんじゃねえぞ。」
「えっと、さっきの話しって?」
「『転生者の肉を喰えばその力を自分のモノに出来る』とか噂が流れて、勇者病で派手に騒ぎを起こしたお前さんが狙われたらどうする?物は試しで捕まって毎日肉を切り取られる生活がしたいか?」
アラマドのオッサンは話しの締めに入るようだ。
「冗談ですよね?」
まさか自分が被害者の立場になる未来など、欠片も思わなかったらしい。
「冗談だと思うか?庶民の生まれの転生者なんて、お偉い貴族共から見たら好き勝手に出来る弱者でしかねえぞ。」
「調べれば直ぐに俺の肉にそんな効果は無いって解るから、すぐに解放されますよね?」
自分の力の無さを、この数日で実感したザワルが、そこに救いを求める。
だがアラマド会長はその希望を一蹴する。
「ところがそうでもない、転生者は他種族との間に子供をつくれる、6代前の国王様のお妃様はエルフで、今の国王様も寿命が長い。王家のお血筋はどうこう出来ないが、庶民なら話しが別だ。獣人やリザードのスピードと筋力、エルフの寿命と魔力、人族が持ってない力を軍に取り込む為に、お前さんみたいな奴を取っ捕まえて種馬にするなんざ何の痛痒も無いぞ。」




