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第23話 王国の激怒と、一夜の宴(その5)

「……貴方お一人になりましたね」

「くっ……!」


仲間たちが次々と無惨に葬られる中、残された『剣聖』ガルシアは、目の前に佇む黒フードの少女――死神ネクロアを睨みつけながら冷や汗を拭った。


「……どうやら貴方からは死の匂いがします」

「フンッ! ぬかせ! 我が聖剣から放たれる聖なる属性によって、お前を消滅させることができるうえに、ブラッドの神速よりも早い我が居合――お前にかわせるかッ!」


剣聖ガルシア、またの名を『アンデッド殺し』。

彼は聖剣から迸る聖なる属性の光によって、数多のアンデッドや魔物をその身に触れずとも葬ってきた。それはもはや直接剣を当てる必要すらなく、万が一空振りしたとて、周囲の聖気だけで相手を消滅させることができる破格の能力である。


「行くぞ、死神の小娘……!」

「……どうぞ」

「秘技――『閃光抜刀・浄土の裁き(セイント・ジャッジメント)』!!」


眩い聖なる光に包まれた聖剣が、目にも止まらぬ超高速の抜刀術でネクロアの喉元を狙い撃つ。


――キィイイイインンッ!!


だが、ガルシアの剣はネクロアの首を捉えるどころか、静かに構えられた巨大な大鎌の柄によって完璧に防がれていた。


「……どれほど早くても、狙いが分かれば防ぐのは簡単です」


冷徹に告げるネクロア。しかし、ガルシアの顔には焦の色など微塵もなく、むしろ余裕の笑みが浮かんでいた。


ガルシアの聖剣がネクロアの大鎌に押し当てられたまま、ギギギと不気味な摩擦音が響く。


「バカなやつめ! このまま貴様の身体を我が聖剣から溢れる聖なる光が侵食し、一瞬で消滅させてくれるわ!!」

「……消滅?」

「フハハハ! そうだ! 天に召されよ……いや、お前はそのまま地獄行きだッ!!」

「……いつ消滅するのですか?」

「なっ……!?」

「……聞こえていませんか?」

「バカな! 貴様のようなアンデッドであれば、今頃すでに跡形もなく消えているハズ……!」

「……ハァ」


――キィンッ!!


ネクロアが軽く息を吐き、大鎌を押し戻すと同時に、ガルシアの聖剣が激しく弾き飛ばされた。ガルシアはたまらず後方へと大きく宙返りで飛び退く。


「くうっ……!?」

「……剣の腕は良いみたいですが、頭が良くありませんね」

「な、なにっ……!?」

「……私はアンデットではありません。……私は死神……死を司る神です」


静かに告げると、ネクロアは空いた左手をそっと差し出した。その黒い掌の上には、赤くドクン、ドクンと脈打つ『心臓の形をした光の塊』が浮かび上がる。

それは不気味なリズムで伸縮し、まるでガルシア自身の心臓の鼓動と完全に連動しているかのように動いていた。


「……さようなら、剣聖様」


ネクロアが冷たく言い放ち、手にした大鎌でその心臓を迷いなく真っ二つに両断する。


「がっ……あ……!?」


直後、ガルシアは白目を剥き、その眼球や鼻、口、耳といったすべての穴から一斉に鮮血を噴き出しながら、糸が切れた操り人形のように崩れ落ちて――二度と動かなくなった。


こうして、王国軍が誇る精鋭三千と猛者隊長三名の襲撃は、魔王軍幹部三名による圧倒的すぎる蹂躙によって、わずか数分で幕を閉じるのだった。

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