第14話 微力な有志と泣き虫幹部(前半)
ヴェルダン城主アルベルトが討たれてから、二日が経過した。
冒険者ギルドの酒場は、ここから数十キロ西に位置するヴェルダン城が王国軍と本格的な戦争状態に突入したという噂でもちきりであった。
「あのアルベルト様が討ち取られたらしいぞ……」
「王国軍は2000の大軍だってよ。ヴェルダン城も時間の問題だな……」
不穏な空気が漂う中、ロッシュはギルド長から奥の部屋へと呼び出されていた。
「……ヴェルダン城の惨状は知っておるな?」
「はぁ、ギルド内でもその話題でもちきりですし……」
「実は……ヴェルダン城の王女(セリア姫)から、我がギルドへ緊急の援軍要請が届いたのだ。しかし、この街は正規の軍隊を持たん。動かせるのはせいぜい100人ほどの冒険者のみ……」
神妙な顔で語るギルド長に対し、ロッシュは首をかしげた。
「……は? えっ? なんでそれを俺に……?」
「……どうしたらいいものかと……」
「い、いやいやいや! 俺はただの下級冒険者ですよ!? 一介のモブにそんな重い相談されても困りますって!」
必死に手を振るロッシュに対し、ギルド長はちらりと上目遣いで、意を決したように声をひそめた。
「……あの……ま……魔王様に……頼めないかな……?」
「いやいや!! そんな人間同士の争いに彼女たち……魔王軍を頼れるわけないでしょう!!」
ロッシュが即座に一蹴すると、ギルド長は気まずそうに黙り込んでしまった。
当のロッシュは深いため息をつきながら、腕を組んで言った。
「とにかく、ここは助け合い精神ですよ! ギルドで有志を募って、少しでも援軍として駆けつけましょう……!」
――数時間後。ヴェルダン城へと続く街道。
「うーん……やっぱり急だったし、厳しかったか……」
ロッシュの後ろについてきたのは、結局のところギルドで友人になったラージとエル、そして声をかけて集まった志ある冒険者25名――合わせてわずか28名であった。
「ロッシュ。前衛は俺たち『通称 盗賊狩り』に任せろ!」
剣をたたき叩きながら頼もしく笑うラージ。
「ロッシュ君は後方支援を頼むわね。無理しちゃダメよ」
杖を握り直し、柔らかく笑いかけるエル。
「い、いいのか? もしピンチなら俺も下級魔法で手伝うぞ?」
「ははは、ピンチが来たらもうそれは全滅って結末しか残ってないよ!」
ラージの冗談にみんなで軽く笑い合いながら、28人のささやかな援軍は、2000の王国軍が待つ絶望の戦場へと足を進めるのだった。
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ネクロアのセリフとやり取りの微調整、承知いたしました!
ネクロアの淡々としたプレッシャーと、泣き虫な幹部のやり取りがより引き締まりましたね。
それでは、ご指定の変更を反映させた**第14話の完全版**を出力します!
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### 第14話『微力な有志と、動き出す海の脅威』
#### 【前編:28人の援軍と、モブの決意】
ヴェルダン城主アルベルトが討たれてから、二日が経過した。
冒険者ギルドの酒場は、ここから数十キロ西に位置するヴェルダン城が王国軍と本格的な戦争状態に突入したという噂でもちきりであった。
「あのアルベルト様が討ち取られたらしいぞ……」
「王国軍は2000の大軍だってよ。ヴェルダン城も時間の問題だな……」
不穏な空気が漂う中、ロッシュはギルド長から奥の部屋へと呼び出されていた。
「……ヴェルダン城の惨状は知っておるな?」
「はぁ、ギルド内でもその話題でもちきりですし……」
「実は……ヴェルダン城の王女(セリア姫)から、我がギルドへ緊急の援軍要請が届いたのだ。しかし、この街は正規の軍隊を持たん。動かせるのはせいぜい100人ほどの冒険者のみ……」
神妙な顔で語るギルド長に対し、ロッシュは首をかしげた。
「……は? えっ? なんでそれを俺に……?」
「……どうしたらいいものかと……」
「い、いやいやいや! 俺はただの下級冒険者ですよ!? 一介のモブにそんな重い相談されても困りますって!」
必死に手を振るギルド長に対し、ギルド長はちらりと上目遣いで、意を決したように声をひそめた。
「……あの……ま……魔王様に……頼めないかな……?」
「いやいや!! そんな人間同士の争いに彼女たち……魔王軍を頼れるわけないでしょう!!」
ロッシュが即座に一蹴すると、ギルド長は気まずそうに黙り込んでしまった。
当のロッシュは深いため息をつきながら、腕を組んで言った。
「とにかく、ここは助け合い精神ですよ! ギルドで有志を募って、少しでも援軍として駆けつけましょう……!」
――数時間後。ヴェルダン城へと続く街道。
「うーん……やっぱり急だったし、厳しかったか……」
ロッシュの後ろについてきたのは、結局のところパーティメンバーであるラージとエル、そして声をかけて集まった志ある冒険者25名――合わせてわずか**28名**であった。
「ロッシュ。前衛は俺たち『通称 盗賊狩り』に任せろ!」
剣をたたき叩きながら頼もしく笑うラージ。
「ロッシュ君は後方支援を頼むわね。無理しちゃダメよ」
杖を握り直し、柔らかく笑いかけるエル。
「い、いいのか? もしピンチなら俺も下級魔法で手伝うぞ?」
「ははは、ピンチが来たらもうそれは全滅って結末しか残ってないよ!」
ラージの冗談にみんなで軽く笑い合いながら、28人のささやかな援軍は、2000の王国軍が待つ絶望の戦場へと足を進めるのだった。
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――時を同じくして、魔王城。
「なに!? ロッシュがヴェルダン城の援軍に!?」
報せを聞いた魔王アストラゼノスは、玉座から飛び起き、激しい衝撃波で部屋の調度品をガタガタと震わせた。
「……はい。どうやら勝ち目のない戦いに身を投じるようです」
無表情のまま報告する死神ネクロア。
「ダメダメダメ! 今から私が直接行って全員消し飛ばす!!」
「……お待ちください、魔王様。行方知らずとなっている『北の勇者』の動向も気になります。魔王様が直接動けば、奴らに付け入る隙を与えかねません。ここは私たち幹部でロッシュ様の支援に向かいます」
「……絶対よ! ダーリンに『1ミリ』も触れさせないで!! 一傷でも負わせたら、世界ごと滅ぼすから!!」
「……承知しました」
深く一礼したネクロアは、静かに漆黒の部屋へと移動すると、遠話魔法を展開して『とある幹部』へと意識を繋いだ。
『……ネクロアです。ロッシュ様の支援を行う。至急準備をして下さい。』
通信の向こうから、何やらガタガタと慌てるような情けない声が響いてくる。
『ちょ、ちょっと待ってネクロアちゃん!? なんで私なのー! えーん、えーん! 戦うの怖いよぉ~!』
『……いいですね? そこからの支援ができるのは、貴女しかいないのです』
『そんなぁ~! えーん、えーん!!』
シクシクと泣きじゃくる通信を容赦なくブチッと切ったネクロア。
こうして、当のロッシュたちが「28人の決死隊」として真面目に街道を進む裏で、魔王軍による過保護極まりない「裏・救援作戦」がひっそりと動き出していたのだった――。




