5-2-1 文化祭の後始末が終わった直後俺は姉と遠出することになる
「野郎ども、片付けにかかれ!」
「うぉおおおおおおおおおおおおお!」
文化祭の終了が宣言され、実行委員長の掛け声とともに生徒たちがすごい勢いで自分のクラスへと帰っていく。
うちの学校自由過ぎないか?
教師たちもそれにとくに何も言わないし。
「俺もクラスの片づけに行くか」
俺も自分のクラスに戻る。
俺が教室に入った瞬間
「・・・・・・・・・・・・・」
クラスのほぼ全員から鋭い視線を向けられる。
俺はそれを全く意に介さず教室の片づけをしていく。
その間クラスのやつらは俺に一切近づこうとはせず俺を手伝うこともしなかった。
俺はいつものことだしと思いながら片付けていく。
その間もクラスのやつがこちらを見ては何か話してるが全く気にも留めずに作業をする。
「今日はみんなお疲れ様!さ、今日はもう帰って疲れを癒してくれ」
「「「「「お疲れーーーー!」」」」」
茜色に空が染まっている中クラス連中が実行委員の片付け終了の挨拶とともに帰っていく。
俺も帰ろうと思い駐輪場に向かう。
駐輪場につくとスマホが振動したので画面を見ると姉から電話が来ている。
「もしもし健くん、今いい?」
「ええ。どうしましたか?」
「今どこにいる?」
姉が電話をとってすぐ俺の居場所を聞いてくる。
「今学校の駐輪場ですが」
「よかった~。今日はバイクを学校に置いてね。で、すぐ校門に来て」
「へ?あ、え」
「すぐに来てね。じゃ」
姉に俺の居場所を言った瞬間そう言って電話が切れる。
一体なんだ?
姉の言う通り校門に行くと1台のスポーツカーが止まっていた。
この独特の排気音・・・・・・ロータリーエンジンの音だ。
そして美しい流線形のスタイリング、この車は
「健くん、こっち!」
姉がその車の運転席の窓を開けて俺を呼ぶ。
その呼びかけを聞いて助手席のドアの前まで行く。
「健くん、乗って」
姉に促され助手席に乗る。
「この車、どうしたんですか?」
「お父さんのお客さんの車だよ」
「えっ」
俺が驚くと姉は
「うん、言いたいことはわかる。お客さんの車を勝手に乗っていいのかってことだよね。
大丈夫、わたしも聞いたけどお父さんがお客さんから許可貰ってるからって」
と姉が俺が質問する前に答えを言う。
姉もそう思ったんだな。
本当にいいのか父よ。
「そ、そうですか。
で、俺にバイクを学校に置いてこさせたのは俺をこの車に乗せて家まで帰るために、ですか?」
「そう。ただしかなーり遠回りしてね」
「え?」
「今から海に行くよ」
姉がそう言ってセルフのガソリンスタンドに車を止める。
「この時間から高速道路に乗って海に?まさか日本海に行くなんて言いませんよね?」
「その通り!」
「待ってください。着くころには深夜ですよ?どこに泊まるんですか?」
ハイオクを給油しながら姉はふふん、と鼻を鳴らし
「大丈夫、すでにホテルは予約済み。
深夜チェックインOKのビジホだから連絡すれば少々遅くなっても大丈夫!
明日明後日は健くん休みでしょ?
だからこの2日間わたしとドライブデートだよ!」
うん、姉よ。
もはやそれはドライブデートじゃない。言うならお泊りデートだ。
それに大学はどうしたんだ大学は。
「姉さん、大学はどうするつもりですか」
「月曜の講義のこと?全部の講義が教授の出張で休講になったんだ」
え、そんな偶然あるのか?
よほど低い確率でないとそんなこと起こり得ないだろ。
「さて、給油も終わったことだし車に乗って。
まずはホテルを目指して走るよ」
給油が終わり給油口のふたを閉めた姉が俺に車に乗るように言うので助手席へ。
そして車は高速に入り日本海を目指して走っていく。
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