5-1-5 急遽全員で文化祭を回る羽目になった
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「まずは改めて訊きますが、今回の騒動の発端は何なのでしょうか、静さん」
綾瀬先輩が二人にそう問いかける。
「簡単に言うとね、わたしが健くんのことを彼氏だってみんなに紹介したら栗栖さんが違うでしょ、うと指摘したところから口論になったんだ」
「そう。で、口論の中身は伊良湖と付き合ってるのは誰なのか、よ」
「・・・・・・・・・なんともくだらないことで言い争っていたのね」
綾瀬先輩が騒ぎの概略を聞き、その原因となった口論の中身を聞いてため息を零す。
「健一郎くんは私と付き合ってるというのに」
と綾瀬先輩が二人の言い分にいきなり私が彼女だと反論する。
いやだから
「何言ってるのかな?綾瀬さん」
「アタシが健一郎の彼女だし!」
ああ、今度は言い争いが3人で始まった。
綾瀬先輩、止める側の人間が自分で口論を起こしたうえにその火力を上げてどうするんですか。
それとも口論はここでしろということ?
それにそもそも俺は誰とも付き合ってない。
そう思いながらふと時計を見ると次の時間が迫っている。
「そろそろ次の時間も迫ってますし口論をやめる気がないならもう出て行っていいですか」
俺は3人にそう言って生徒会室を出ようとする。
すると3人は口論をピタっと止め、こちらを向く。
その後綾瀬先輩がまた姉に質問する。
「そういえばそもそも静さん、あなたがここに来た理由は?」
「健くんと文化祭を回るためにね」
「文化祭を一緒に回る?私ですら断られたのに姉であるあなたの誘いに健一郎くんが承諾するわけ」
「そうだよ」
姉の言葉に栗栖と綾瀬先輩が反論する。
いや俺姉を含めて全員の誘いを断ったんだが。
「健くんはわたしとは絶対に行ってくれるからね」
と姉は二人に余裕の表情を向ける。
いや俺断ったよね?
というか俺来ないでくれとまで言ったんだぞ。
「・・・・・・・お姉さんだけOKなんてずるい!
お姉さんがいいならアタシとも行ってよ!」
栗栖が堰を切ったように俺に言い寄る。
が
「待って」
と綾瀬先輩が栗栖を止める。
「止めないで」
「とにかく待ちなさい。
どうせこうなるならもういっそ全員で健一郎くんと一緒に回りましょう」
綾瀬先輩が唐突に妥協案、というようにそんなとんでもない案を出してくる。
「全員が全員の望みを同時に叶えようとしたって健一郎くんは一人しかいないわけでしょう?
ならそうするしかないわ」
いや確かに物理的にはそうなんだが・・・・・・・・・・・・・・
姉に栗栖に綾瀬先輩、俺に好意を抱いてるらしい女性3人と同時に文化祭を回る。
しかしそんなことをすれば周囲がどうなるか、周囲の人間がどう思うか。
そんなの誰だって想像がつく。
「わかった。みんなで文化祭を回ろう」
「・・・・・・・・わかった。生徒会長の案に乗ってここにいる全員で回ろう」
姉と栗栖が予想外に綾瀬先輩の提案に乗る。
だが俺がうなづかなければこの案はなしになるはず。
なら
「決定ね。それじゃ、これから全員で健一郎くんと一緒に回りましょう」
えぇ・・・・・・・・・・・待ってくれ、俺に拒否権は?
「でもアタシのクラスのフィーリングカップルの次の時間が迫ってる。
だからそれは次の休憩時間からにしてほしい」
「そう、わかったわ」
「わかった~」
栗栖の言葉に綾瀬先輩と姉が同意する。
俺の意志は無視されたまま急遽全員で回ることになった。
どうしてそこまでして俺とそういうことをしたがるのか・・・・・・・
わからない。
これが好意を持っているということなのか?
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