3-1-1 俺は栗栖と綾瀬先輩に連休中の予定を尋ねられる。
物語の構成の都合でここから3章とします。
どこかで2章の番外編を書きます。
12/8改訂
文章内でおかしい箇所があったため改訂しました。
水曜日。
授業が終わり席を立った瞬間栗栖に手首をつかまれる。
「ちょっと来て」
そう言って栗栖は俺を引いていく。
「おいおい、栗栖が伊良湖を引っ張っていってるぞ」
「一体どこで何するのかな?」
後ろからクラスの連中のヒソヒソ話が聞こえるが決してそんなんじゃない。
どう転んだってお前らが思ってるようなことは起きない。
そう反論する暇もなく俺と栗栖は教室を出る。
少しして普通教育棟の最上階にある空き部屋に栗栖に連れ込まれる。
「アンタさ、その・・・・・・・今度の連休は遊びに行く暇があったりする?」
栗栖が今週を乗り切ればやってくる五月連休の予定について聞いてくる。
五月連休はロードレースの地方選手権が最終日にあり、その練習で連休中は暇が一切ない。
なので栗栖に断りを入れる。
「すまん。五月連休中は遊びに行く暇がない」
「1日も?」
「ああ」
栗栖が俺のことを訝しむような目で見る。
それもしょうがない。だって8日や9日ある休みの1日も暇がないなんてまず高校生じゃありえないからな。
「5月連休全部バイト入れてんの?」
「いや、バイトじゃない。それよりはるかに大事な用事で」
「それってまさか・・・・・・・お見合い?」
俺は栗栖の質問の内容に驚き、すぐに否定する。
「ああ、そういうのじゃない」
「そっか」
俺の答えに栗栖はそれ以上は追及してこない。
「でもさ、それならさ、連休中用事があると言ってもどこかで必ず暇な時があると思うの。その時は少しでもいいから会いたいな」
俺は栗栖からそんな提案をされる。
連休中暇になるようなことはないと思うがそれならと俺は了承する。
「それだったらいいよ」
「ふふ、じゃあ暇なときは連絡して。あ、そうだ。ついでだから家の住所教えてよ」
俺はその提案に何の理由があってのことなのかと首をかしげる。
「いやさ、友達同士になったのに互いの家の住所を知らないのもおかしいじゃん?だから」
「いや確かにそうかもしれないが」
「それにさ、連休終わってすぐ中間テストじゃん?連休中にどっちかの家で勉強会したいなって思ってるんだよね」
俺は栗栖の言葉にその必要はないと反論する。
「勉強会が必要なほど俺は成績低くないぞ?」
「本当?実はボロクソなのを取り繕ってるんでしょ?」
「・・・・・・・・・いいだろう。見せてやんよ、俺の実力を」
俺は伊良湖の安い挑発に乗って勉強会をOKしてしまう。
そして互いに自分の家の住所を教える。
「オッケー。じゃ、伊良湖が日にち指定していいから連休中に絶対勉強会ね」
「わかった」
俺が勉強会の件を了承すると栗栖は
「約束だからね。じゃ」
と言って栗栖が教室から出ようとする。
が、何か思い出したようでまた俺の前まで戻ってくる。
「伊良湖、キスして」
突然の言葉に俺はえっ?と動揺する。
「最近さ、なかなかお互いタイミングが合わなくてデートどころか二人だけの時間を過ごせなかったじゃん?だから」
と栗栖がキスをせがんだ理由を言う。
「え、いや俺達友達で」
「友達でもキスする人なんかたくさんいるし。だから唇にキスして」
俺は栗栖によくわからない理屈でキスしてと迫られる。
でもそこまで言うならと思い、俺は肩をつかみ顔を寄せて栗栖の唇にキスをする。
「伊良湖からはこれが初めてだね。ありがと。じゃ」
と言って栗栖は教室から出ていった。
その後俺はポケットからスマホを取り出しカレンダーアプリで日程をどうするか考えるため画面ロックを解除しようとするとメールが入ってることに気づく。
ロックを解除しメールを見てみると
「5時くらいに生徒会室に来て」
と生徒会長から短い文章のメールがきていた。
なので俺は図書室に行って勉強することにした。
5時になり図書室を出て生徒会室へ向かう。
そして生徒会室のドアをノックすると
「どうぞ」
と中から声が聞こえたため入る。
中には綾瀬先輩が一人だけいた。
「来てくれたわね」
「用件は何ですか綾瀬先輩」
俺が用件について質問すると
「連休に用事について聞きたいのよ」
とちょっと前に栗栖に訊かれたことを俺は綾瀬先輩に訊かれる。
「すみません、俺この連休は暇がありません」
「・・・・・・・1日も?」
「はい」
俺は綾瀬先輩の質問に栗栖にしたのと同じ答えを言う。
「連休中に1日でもいいからデートがしたいのだけど」
「諦めてください」
「半日でも?1時間でも?」
綾瀬先輩に連休中にどうしてもデートがしたいとせがまれる。
いやそうは言ってもな・・・・・・
「ダメかしら?」
「・・・・・・・・俺の都合に合わせてくださるのであれば」
「なかなかに身勝手なことを言うのね。でもいいわ、それでも。ただし連休中絶対1回はすることを条件とするわ」
綾瀬先輩の条件を俺は呑むことする。
「わかりました」
「交渉成立ね」
俺は綾瀬先輩との話を終えたため帰ってもいいか訊こうとすると
「そういえば最近スキンシップを健一郎くんとしてないわね、ちょうどいい機会だから健一郎くん、今からスキンシップしましょう」
と綾瀬先輩から誘われる。
「生徒会の誰かが帰ってくるかもしれませんよ?
もしくはここに用事のある誰かがくるかもしれませんよ?」
俺がそう言うと生徒会長はドアのカギをかける。
「これで誰も来ない、というより誰も入れないわ。さぁ、思う存分スキンシップしましょう」
綾瀬先輩がそう言って頬を赤らめて俺に近づいてくる。
俺が逃げようとした瞬間綾瀬先輩が抱き着いてくる。
「健一郎くんって抱き心地いいわよね」
綾瀬先輩が俺を抱きしめた感想を言う。
そして綾瀬先輩は抱きしめながら俺の首筋にキスをする。
そして抱きしめながら俺を壁に押し付ける。
「今更ですけど、生徒会室でこんなことやっていいんですか?」
「してはいけないところでしてはいけないことをする。燃えるでしょう」
俺の質問に綾瀬先輩がそう答えたすぐあと、綾瀬先輩は唇にキスをした後頬にキスをする。
「健一郎くんからもキスして」
「いやそんな」
「私にはさせておいて健一郎はしないつもりなの?」
綾瀬先輩にそう責められ俺は頬と髪にキスをする。
「唇もちゃんとして」
綾瀬先輩に言われ唇にもキスをする。
「今日はここまでね」
綾瀬先輩はそう言って俺を解放する。
「連休中に1回も誘わなかったらお仕置きよ」
「わかりました。1度は連休中に会いましょう。それでは失礼します」
「ええ」
俺はドアのカギを解錠し、生徒会室を出て家に帰った。
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