2-E-3 わたしは気づいてしまう
わたしがあの子たちに宣戦布告して初めての月曜。
その大学の昼休み。
わたしは湊ちゃんをカフェテリアの前で待っていた。
「ヘイ彼女!これからオレと一緒に食事しない?」
「いいよ。一緒に食べてくれる?」
「マジ?いいの!?じゃあ今から行こうよ」
湊ちゃんはそう言ってわたしの隣にくる。
「静、珍しくノリがいいね」
「わたしは別にノリが悪いわけじゃないもん」
湊ちゃんの言葉にすねたように言うと
「ごめんな、静。今日はオレが食事を全額おごるから」
と、湊ちゃんが言ってカウンタのほうに向かおうとするのでわたしは止める。
「いいよ、わたし怒ってないから」
「そ、そう?」
「うん」
わたしの言葉に湊ちゃんは少し複雑そうな表情をする。
「ほら、行こ」
「お、おう」
わたしがそう言うと湊ちゃんはわたしと一緒にカウンタに並ぶ。
お互いに注文して会計を済ませた後空いてる席に隣り合わせで座る。
「そういやさ、あのあと弟とどうなん?」
湊ちゃんが弟と最近どうかと訊くので
「ラブラブだよ!」
と質問に答える。すると
「え、なになに、ついに襲っちゃったの!?」
と訊かれたので
「襲っちゃった」
と答える。すると湊ちゃんは
「襲ったときはどんなシチュだった?どこまでやった!?」
など、そのときの状況の説明を要求してくる。
けどわたしは
「内緒」
と言って湊ちゃんの質問に答えないことにする。
「教えてくれないか~。でもまぁ弟と仲良くなれて良かったね」
「うん、湊ちゃんのアドバイスはある意味役に立ったよ。ありがとう」
「それは何より」
と感心したように言う。
「でもね、また新たな悩みの種ができちゃったんだ」
「ほほう、それは?」
「弟のほうからわたしのことを求めてくれないの!」
わたしが悩みを打ち明けると湊ちゃんは一瞬ポカンとした後
「え、もしかして仲良くなるのを通り越して静は弟と付き合ってんの?」
とわたしに訊く。
「ううん、まだ。でもわたしはいずれ姉弟という関係を越えた関係になりたいって思ってる」
「そ、そう・・・・・・・・で、求めてくれないってのは女としてってころ?」
わたしは港ちゃんの質問に
「ううん、女として弟にわたしのことを求めて欲しいというのはまだ早いと思ってる。
今はお姉ちゃんとしてもっとわたしのことを求めて欲しいって思ってるの。
けどそれもなくて」
わたしの悩みを打ち明けると
「あ~アタシ一人っ子だからなー。ゴメン、それはさすがにどうしたらいいってのはわからないわ~」
と湊ちゃんは手を合わせて謝る。
「ううん、ありがとう」
わたしも湊ちゃんにそう感謝の言葉を言う。
「でもさ。静の弟の立場になってみるとさ、数か月前に姉になったばかりの人にいきなり姉として何かを求めるなんてのは抵抗があるんじゃないのかね」
湊ちゃんのその指摘に確かにそうだとわたしは気づかされる。
「それに4歳も離れてると年齢差も手伝って余計に姉に何か言うのは躊躇すると思うよ」
「4歳の年の差ってそんなに大きいのかな」
「そりゃ大きいよ。だって弟からしたら自分はまだ高校生、相手は成人して2年経つ大学生なわけじゃん。世代間ギャップを感じるには十分だよ」
そういうものなのかな。
わたしは湊ちゃんの言葉に疑問を投げかけようとすると
「静はさ、弟に何かしてほしいって頼んだりする?」
「うん。時々これしてとか頼んだりするよ」
「じゃあ彼から静に頼み事は?」
わたしは健くんと出会ってから姉弟になった今までの間に健くんから何か頼まれたりしたか思い出していく。
「その顔だとないみたいだね。それが答えさね」
「えっ?」
「あとは考えることさ。じゃ、静。お互い食べ終えたことだし出ようか」
湊ちゃんがお皿の載ったトレーを返却口に返しに行くのでそれに連なってわたしも食器を返却口に持っていく。
「じゃ、アタシはこれで」
「うん、またね」
カフェテリアを出てすぐ湊ちゃんと別れる。
その後講義を受け終わり帰ってるときの車の中でわたしは気づく。
「わたしから健くんへのお願いなんかは健くんは快く引き受けてくれるけど健くんからわたしへは何も言わない。
それってわたしのことを健くんはまだ信用してないってこと?」
わたしはそのことに気づき愕然とした。
わたしは健くんに信用されてないんだ。
そのことに気づいたわたしは
「なら、まず健くんが姉としてわたしのことを信用してくれるようにならなくちゃ」
と帰りの車の中で目標を立てた。
誤字・脱字報告はお気軽にしてしてください。
確認次第修正を行います。




