6-6-8 俺の手元にアレの結果が届き、そして
土曜日に綾瀬先輩に焼肉に連れて行ってもらい、数日が経った平日。
バイトが終わり家に帰り部屋でと父が俺の部屋に来て封筒を渡してくる。
「ほれ」
俺が封筒を受け取った後渡したからなと言って父は部屋を出ていく。
「これは」
封筒に書かれた差出人を見て俺はすぐに封筒を開ける。
そこに書かれた文字は。
「あなたの主張を全面的に認め、被告に原告が提示した損害賠償額全額の支払いを義務があると認める」
やったぜ。
さてしかし、あいつらの裁判のときの様子からしてこういう結果になっても支払いを拒否するのは確実。
だから強制執行の手続きをしないと。
そう思い俺はそのための手続きの書類を作り始めようとしたところでドアをノックする音がする。
「健くん、帰ったの?」
姉がドアの向こうから聞いてくるのではいと答える。
「そっか、ならお風呂入ろ?」
姉が風呂に誘ってくるので時計を見ると時間が時間だし風呂に入ってから書いてもいいかと思ってわかりましたと姉に返事する。
そして風呂に姉と一緒に入り一緒に食事をとり俺が部屋に入るのに合わせて姉も入ってくる。
「健くん、それ」
「ええ、訴訟の結果が来たんです」
俺の背中に抱き着いている姉が封筒の中身である裁判の結果の紙を見る。
「勝ったんだね」
「はい」
「よかったね、健くん」
姉がそれを見て俺の頭をなでなでしてくる。
今俺がもっとなでてほしいと言ったら姉はもっとなでてくれるのだろうか。
とか変なこと考えてないで次の一手のための書類を作らねば。
「ただ、あいつらの裁判の時の態度等もあるので確実に回収するための一手を打たないと」
「それ、わたしにお手伝いできることはある?」
「そうですね、また内容の添削をお願いします」
「わかった。任せて」
姉は俺の頼みにうれしそうに承諾する。
俺はその後強制執行のための書類を姉と一緒に作る。
「うん、これで大丈夫じゃないかな」
「見ていただいてありがとうございます」
「ううん、いいんだよ。
健くんはもっとわたしを頼っていいんだよ?」
「そ、それはちょっと」
書類を作り終え姉にお礼をすると返答に困る言葉を言われ俺は動揺してるのがわかる答えを言ってしまう。
すると姉は俺の顔を自分の胸に持って行ってむぎゅっとする。
「ね、姉さん」
「健くん、わたしは健くんにもっとわたしのことを頼ってほしいしいっぱい甘えてほしいんだよ?
だから健くんは躊躇うことはないんだよ?」
「・・・・・・・・・・はい、わかりました。
姉さん、もう少しこのままでもいいですか?」
「うん」
俺はしばしの間姉に胸を押し付けられたままになる。
・・・・・・・・・姉に甘えるのも悪くない、そう思ってしまう。
姉が腕を離し俺と姉は少し見つめ合った後寝る準備を一緒にして俺の布団に一緒に入る。
「お休み、健くん」
「はい、お休みなさい」
部屋の電気を消し薄暗い中で姉とお休みのキスをして眠りにつく。
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翌日の夜。
「健一郎、少し話がある。
食べ終わったら俺の部屋に来てくれ」
「わかりました」
夕食時に父に部屋に来いと言われたので食事を終えた後父の部屋へと行く。
すると入ってすぐ父が話を切り出す。
「健一郎、そろそろスポンサー契約の更新時期だな」
「そうですね」
「来週からスポンサー企業等を回ることになるわけだが・・・・・・・・
その最後にな、あいつが勤めてる企業に行くことになっている」
「あいつ、ですか」
「ああ。綾瀬典史、あいつが勤めてる企業だ。
あいつは企業の宣伝部でお前に対する契約の担当者だからな」
俺はそれを聞きえっ、と思う。
そんなはず・・・・・・・・・と思うも父が言うのだからそうなのか?
「あいつとの話し合いの時ももちろん俺もついてるから安心はしてくれ。
だが今回はどんな見返りを要求してくるかわからないから気を付けて臨んでくれ」
「わかりました」
「細かい話はおいおいする。今日の話はここまでは」
「わかりました。失礼します」
俺は父との話を終え一礼して部屋を出る。
本当にあの人俺のスポンサー企業の人間なのか?
だとしたら前綾瀬先輩の家に行ったときにそういう対応をしてるはずだ。
俺は必死に過去にあの人と会ったときがあったか思い出しながら自分の部屋に戻った。
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