6-5-1 俺は男たちに暴行を受ける
休んだ次の日の放課後。
終業後俺がバイトに行こうと下駄箱を目指していたところで複数の男に突然腕を掴まれる。
「こっちこい貴様」
俺はそいつらに見覚えがあった。
前に俺のバイクを傷だらけにしたクソどもだ。
俺はそいつらに結構な力で引っ張られ抵抗しようとしたもののここでしたら面倒なことになりそうだったのでしなかった。
無言でそいつらに引っ張られているとそいつらはグラウンドの奥にある倉庫の中に俺を押し込める。
そしてそいつらは倉庫のカギを閉めた後俺に対して突然ボコボコに殴る蹴る等の暴行を加え始める。
「交通社会の安全を脅かす害獣が!」
「危険行為で周囲を恐怖に陥れる社会の敵には死の鉄槌を!」
俺はそいつらから暴行を受けている間心の中で毒づく。
ああ、あれだな、こいつら。
自分こそが絶対正義かつ法律でそれ以外の意見に耳を一切貸さないヤツだ。
どこの世界にでもこういうやつはいる。
自分以外の人間の考え方を絶対に認めない、認めようとしない人間。
自分が気に入らない人間は全員が気に入らないと思い込み全力でそいつを攻撃する人間。
社会の敵に対してはどんな犯罪行為を働いても許されると思い込んでいる。
この国は特にそういうやつらばかりだ。
1か0でしか物事を考えられない。
犯罪行為につながると一度でも判定されたものはどんな手を使ってでも排除すべきという考えが根強い。
それに対して行われるどんな犯罪行為も正義の名のもとに事実上許されてしまう。
そして誰もそれを正そうとはしない。
特にモータースポーツなんかはその最たるものだ。
かつて暴走族とかいう無法者集団が昭和の時代にはびこった。
そいつらがモータースポーツと名打って非合法な暴走行為を公道で行っていたせいで未だにそれに対する風当たりが強い。
いくらクリーンなイメージを広めようとしても昔のイメージで知ったようなことを言ってあの手この手で批判することしかしない人間の多さは他の比ではない。
どこまでも悪のイメージがついたものをそのままにしておいて自分への批判そらしに利用するという人間もいる。
それゆえに余計に悪とされたものへのイメージの回復を阻害されているというところもこの国では未だにある。
全く救いようがない世界だ、そんなことを思っていると俺に暴行を加えている男たちが頭を掴んで俺に命令する。
「立て」
「我々の制裁はまだ終わらないぞ」
暴行をひたすらに受けて俺はもはや立つことすらできなくなる。
がそれでも男達は無理やり俺を立ち上がらせる。
立ち上がらせてすぐ一人の男が俺の腹に膝蹴りを入れる。
俺がその蹴りで倒れるとそこから全員で俺の腹を力いっぱい蹴り続ける。
「あなたたち何してるの!」
いよいよ意識がなくなるというとき、男たちの向こうから女性の声が聞こえる。
「我々の正当なる制裁を邪魔する奴は誰・・・・・・・・またあなたですか。
あのときは逃げられましたが今回こそは我々邪魔したからには死んでいただかないといけませんね」
そう言って男たちは女性に近づいていく。
止めようにも腹部の痛みが大きすぎて止めに入ることができない。
男たちが近づいていきもう少しで女性のもとに来ると言うところで女性が叫ぶ。
「きゃー襲われるー!」
ん、この声って・・・・・・・・・・綾瀬先輩?
そう思った瞬間意識が途切れた。
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