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クラスでぼっちの俺が生徒会長とギャルをクズ男から救ったら何故か惚れられてしまい毎日言い寄られるようになり、それを知った義姉が俺を取られまいと結婚を申し込んだせいで三つ巴の戦争が始まった。  作者: この山田は無鉛プレミアムガソリン専用仕様となっています。レギュラーガソリンの使用は故障の原因となるため絶対にお止めください。レギュラーガソリンの使用によって生じたいかなる損害も当社は責任を負いません。
6章 災いは突然に
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6-1-5 俺は栗栖に事実を伝える

次の日。

放課後のはずの時間にまたも行われた修学旅行の話が終わりバイトに行こうとした矢先、バイク置き場で栗栖に捕まってしまった。



「伊良湖、そんなにアタシと一緒に回るのが嫌なの?」



栗栖は俺を校舎の壁まで追い詰め、両手を俺の顔の横に置き、股の間に右脚を通して聞いてくる。



「そういうことじゃない」

「じゃあどういうことなの。

っていうかそういえば昨日、担任の先生が一人明らかに余ってるのに『決まったな』って言ったのもおかしいんだけど。

あのとき先生は5人組の班がちょうど6つ出来た時点で班決めを終えたよね。つまり30人。

でも実際にはクラスには31人いるわけじゃん。

伊良湖1人が明らかにあぶれてるのにあそこで班決めを終えるなんておかしいじゃん。

なんで伊良湖はそのときあぶれてるって言わなかったの?」



栗栖が俺にその理由を聞いてくる。

なので俺は栗栖に極めて簡潔に何も言わなかった理由を説明する。



「簡単だ。俺はそもそも修学旅行に行かないことになってるからだ」

「え、それはどういうこと?」



栗栖は俺の質問の答えを聞いて更に質問してくる。



「どうもこうもない。俺はそもそも修学旅行には参加しない。それだけだ」

「何それ、意味わかんないんだけど・・・・・・」

「いや、単純なことだろ。意味わからないところなんかどこにある」



俺が理由にもなってないと言われると何も反論できない理由を言うと



「それってつまり前々から修学旅行には来ない予定だったって、そういうこと?」

「そうだ」

「・・・・・・・・そっか。わかった。

でもどうして来ないのかは教えてほしい」




栗栖が俺に参加しない理由について訊いてくる。

俺が修学旅行に来ない理由、それを教える必要性はない。

なのでとりあえず事実に近い嘘の理由を言って、それ以降は何度理由を聞かれてもはぐらかしたりていくことにする。



「知らなくてもいい、そんなこと」

「そんなこと?アタシにとっては大事なことだよ。

アタシは伊良湖と修学旅行に行きたいの。

ねぇ、今からでもその予定を取り消せないの?」



栗栖が予想通りのことを言う。

なので俺は予定していた答えを栗栖に言う。



「修学旅行に行くための金を払ってないからな。

来れないのは当然だ」

「なら今からでも払おうよ。それでアタシと一緒の班になって一緒に行動しようよ」

「もう遅い。どうにもならない」



俺が栗栖の案に否定の意見を言うと栗栖はなお食い下がってくる。



「今からでも先生に話せば取り消してもらえるかも」

「それも今更無理だ」



俺はとことん栗栖の言うことを切り捨てていく。

すると栗栖は悲しみに満ちた顔で俺に今までと違う問いかけをする。



「そんなに修学旅行に行きたくないの?」

「?そうじゃない」



俺はあれと思いながら栗栖の問いに嘘の答えを言う。

俺は修学旅行に行きたくないとかそんなことは一言も言っていないんだが・・・・・・・・。

尤も、今回に限って言えばどうしても外すことができない用件があるがゆえに行けない。

またそれを除いたとしても俺は昔の経験から二度と修学旅行など行きたくないと思っている。

今の両親はそんな俺の気持ちを察して理解してくれ、行かなくてもいいように根回ししてくれた。



「嘘。今伊良湖はそもそも修学旅行に行きたくないんだっていう表情をしてる」

「そんなこと」

「アタシの目はごまかせないよ。正直に言って」

「・・・・・・・・・・」



俺が栗栖の言葉に言い返せないでいると栗栖が更に畳みかけるように俺に問いかける。



「どうしてそんなに行きたくないの?」

「知る必要はない」



栗栖の質問に俺は突き放すように答える。



「ねぇ、修学旅行に行きたくない理由を教えてよ」

「それはできない」



栗栖が理由を教えて欲しいと懇願をしてくる。

俺はその懇願すらも無下にする。いや、俺は今そうせざるを得ない。



「栗栖、これ以上は質問に答えられない」



俺は栗栖のその問いに答えることすらもを拒絶したあと栗栖との会話を打ち切ろうとする。



「栗栖。これ以上の話し合いは不毛だ。

それと今俺とこんなところで話してるのを見られたら栗栖のクラスでの立場がなくなる。

悪いことは言わない。すぐにでも俺から離れろ」

「健一郎!」



俺が会話を無理やり打ち切り栗栖に忠告し終わった瞬間栗栖が俺の名前を呼びその刹那俺の唇を背伸びをしてまで強引に塞いでくる。

まるで俺にこれ以上は言わせないとばかりに。

少しの間俺の唇に自分の唇を押し付けて離し、両腕と右脚を俺の動きを封じこめるような形から解放するようにした後涙目になって唇を離す。



「アタシは、一生に一度しかない修学旅行を健一郎と一緒に行きたいんだよ。

健一郎が何かの理由があって行きたくないんだってことは予想がつくよ。

それでもアタシは今回の修学旅行で健一郎といろんなところに行って、いろんな経験をして、いろんな知識を得ていろんな思い出を作りたい。

アタシのその気持ちもわかってよ」

「・・・・・・・・・・すまない」

「っ!」



俺がただ一言謝罪すると栗栖は走って駐輪場から去っていく。

俺はそれを見送ってバイト先に遅刻する旨を電話してバイクに乗る。



「・・・・・・・・そもそも俺とどこかに一緒に旅行に行きたいということなら別に修学旅行じゃなくてもいいだろ。

行きたいところを言ってくれれば来年になったら後ろに乗せてどこにでも好きなところに連れて行くのに」



俺はぽつり言うには遅すぎる独り言をつぶやきバイクのエンジンをかけバイト先へと大急ぎで向かった。

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