6-1-1 俺の身に再度降りかかる災厄の始まり
ここから6章が始まります。
「とにかく綾瀬先輩も栗栖も、離れてくれ」
「嫌!」
「嫌よ」
俺の言葉に綾瀬先輩と栗栖が拒絶の意志を示す。
いやしかしだな、離してくれないと周りから、ほら殺意がたっぷりこもった視線が俺に・・・・・・・・・・・。
「今日は伊良湖はアタシと帰るの!」
「残念だけれど健一郎くんは私と今日は帰る予定なのよ」
いや俺は今日は2人とは帰れないんだ。
なぜなら今日は一旦家に帰って食事と着替えを済ませてからバイトに行く予定になっているからだ。
俺はいつもは制服で直にバイト先に行って更衣室で着替えている。
だがバイト先がバイト先なだけに制服で直行するというのはよくないのではないかと前から考えていた。
そこで今日バイトまでの時間に余裕があるので一旦帰って着替えてから行ったら実際にどれくらい時間がかかるか試したかったのだ。
「綾瀬先輩、栗栖。すまないが今日は俺はバイトがあるから一緒には帰れない。
だから離してくれ」
俺が一緒に帰れない理由を聞き2人はあっさりとすぐに俺に抱き着くのをやめる。
「そうか、それなら仕方ないね」
「栗栖さんの言う通りだわ」
「すまない」
俺が2人に一緒に帰れないことを謝ると栗栖と綾瀬先輩はすぐいいよ、と言う。
「それじゃあ今日はこれで。また明日」
「うん、また明日」
「ええ」
栗栖と綾瀬先輩に挨拶をして俺は家へと急ぐ。
家に着いてすぐ昼食を取り着替えてバイト先へと向かう。
「うーんやっぱり間に合わないな。
今の始業時間だと直行しないと間に合わないなぁ」
俺は更衣室の中でつぶやく。
結果としてはバイト先には余裕をもって着いた。
ただそれはやはり昼で学校が終わったからだということがよくわかった。
一旦家に帰った場合直行と比べて倍近い時間がかかるという結果が今回の検証で出た。
つまりやはり直行でないと現状始業時間に間に合わないということが判明した。
「ん?もう来てたのか。まだ時間には早いぞ」
「あ、店長。おはようございます。実は今日ちょっと検証をしてて」
「どんな検証だ?」
店長が更衣室に来て俺の姿を見た瞬間そう話しかけてくる。
俺が時間より早く来た理由を説明すると店長は腕を組んで渋い顔をしながらわかりきってるだろという顔をする。
「そりゃお前の場合家に一旦帰って行ってたらそれくらいはかからァ。
で、そんなことを言うってことは直行で何か問題があるってことか?」
「いえまぁ・・・・・・・制服でここに行くというのはどうにも」
「ああ、そういうことか。
でももうそんな時代じゃねぇんだから気にすることもねぇよ。
んじゃ、まだ時間まで少しあるしゆっくりしてな」
店長がそう言って更衣室から出ていく。
そしてその後は何かトラブルが起きるわけでもなく1日を過ごした。
始業式の翌日。
いつも通りバイクで学校に着き上履きをはこうと下駄箱の扉を開ける。
中を見るとそこにあるはずの俺の上履きがどういうわけかなくなっていた。
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