5-5-9 俺は姉から告白される
「とうちゃーく!」
俺と姉は旅館に到着する。
結局駐車場に関しては縦に2台分使って駐車をすることで解決をした。
ちなみに周りに車はほとんどいない。
あと事前に許可はとってるらしい。
「それじゃ、まずはチェックインして部屋の中を見よう」
俺は姉と一緒車を降りて旅館のフロントに行きチェックインする。
俺と姉が泊る部屋を案内され中に入るとテレビなんかでよく見る豪華な和室がそこにあった。
「姉さん、ここ高かったんじゃ」
「ふふん、健くんとの今日のお泊りのために奮発しちゃった!」
姉は平均より大きい胸を張って言う。
そこまでしなくても・・・・・・・いや、そこまでしてでも俺とお泊りしたかったということなのか?
「健くん、荷物運ぼう」
姉のその言葉で俺は一緒に荷物を部屋に運び込む。
そして荷物を運び終えて畳に正座して一息ついていると姉が近づいてくる。
「健くん」
姉が俺の隣に座り肩に顔を載せる。
「どうしたんですか、姉さん」
「ん?今日一緒に海に行けてよかったなって」
姉が俺の肩に顔を載せたまま言う。
「また来年も行けますよ」
「それはわからないよ。だって健くんはいつ死ぬかわからないんだから」
姉がそう言って更に体を俺のほうに寄せる。
俺としては姉の言葉に反論したいところだが事実なので何も言えない。
「だからね、わたしは健くんが生きてる間はいつでもどこでもいっぱいイチャイチャしたいんだよ?」
「それは姉弟として・・・・・・・ではなく恋人として、ですか?」
「うん」
姉は俺の問いかけに即座に答える。
俺の問いかけからすぐ姉は俺にイチャイチャをねだる。
「健くん、明日から2日間あの子たちと二人でデートでしょ?
しばらくスキンシップもできないから、今から軽くイチャイチャしよ?」
「・・・・・はい、しましょう」
「うれしい!健くんがわたしのイチャイチャしたいっていうお願いに頷いてくれるなんて!」
俺がお願いに応じた瞬間そう言って姉は俺の肩をつかみ床に押し倒す。
俺が足を伸ばすとすかさず姉は覆いかぶさり俺の背中に手を回し抱きしめる。
俺もそれに合わせて姉の背中に手を回し姉の体を抱きしめる。
「ねぇ健くん。わたしとのハグ、気持ちいい?」
「はい」
「そっか、良かった」
気持ちをお互いに確認した後も抱きしめ続ける。
俺が姉の体を少し抱きしめる力を強くするとお返しという感じに姉も俺を抱きしめる力を強くする。
少しして姉は俺の横に抱き合ったまま転がる。
そしてお互いに向き合って寝転がる状態となる。
「健くん」
姉が俺のことを目をうるませて呼ぶ。
何だろうかと思ったとき姉が唇を人差し指で指さす。
ああ、そういうことかと思い俺は自分の唇を姉の唇に近づけキスをする。
「ん」
俺は姉とそのまま普通のキスをし続ける。
そしてキスをし終え唇を離すと姉は名残惜しそうな顔をする。
「健くん」
「何ですか」
「好き」
姉の突然のその言葉に俺は驚いて横を向いてしまう。
すると姉は俺の頬に両手を添えて俺の顔を自分のほうに向かせる。
「告白してるときによそ向いちゃダメ。わたしの目を見て」
姉は俺の目を見ながら言う。
俺はそう言われて姉の目をしっかりと見据える。
「これからは何度でも言うよ。わたし、伊良湖静は伊良湖健一郎くんのことが男性として好きです。わたしは健くんのことをいつまでもどこまでも誰よりも深く愛してます。
今は姉弟という関係だけどわたしは健くんとできることならすぐにでも恋人の関係になりたいです。
そしてわたしは健くんの18歳の誕生日と同時に健くんと籍を入れたいと強く思っています」
俺は姉から旅館の一室でそのように告白される。
その目からわたしは本気だよ、という想いがひしひしと伝わってくる。
姉さんはそこまで俺のことを・・・・・・・・・。
「でも返事は今無理にしなくてもいいよ。だけどできるなら早いうちに返事してほしいな」
「気持ちはわかりました。
綾瀬先輩や栗栖のこともあるのですぐにとはいきませんが答えは必ず出します」
「うん、待ってる」
姉はそう言ってまた俺の唇に軽くキスをする。
そして姉は俺の両手を恋人つなぎでぎゅっと握る。
「・・・・・・・・・・・・」
お互いに無言で見つめ合っていると部屋の入り口の戸が開かれる。
「失礼し・・・・・・・・失礼いたしました」
「ああ、すみません!何でしょうか!」
俺は体を起こし仲居さんが何か言おうとしてそのまま帰ろうとするのを慌てて引き留めて尋ねる。
「もうすぐ温泉に入浴いただける時間となります。
よろしければお入りくださいませ」
「わかりました」
「それでは失礼いたします」
仲居さんが伝言をして去っていく。
「健くん、温泉に入りに行こ?」
それを聞いてすぐに姉が着替えを用意し始める。
「はい、行きましょう」
俺はそう返事し姉と一緒に着替えを用意し一緒に部屋を出て温泉に向かう。
「残念なのはここは男女別の湯舟しかないんだよね」
温泉へ向かう途中姉が残念そうに言う。
「姉さんなら家族風呂付きの部屋を予約してると思ってたのですが」
「ついてる旅館がなかったんだよ~」
姉が本当に悔しいという表情をする。
「ないものはしょうがありませんよ」
「うう~」
姉とそんな話をするうち温泉の入り口の前までくる。
「着きましたね」
「うん。健くん、お互いに温泉入り終わったらここで待ち合わせしよう。
それで一緒に部屋に帰ろう?」
「いいですよ、わかりました」
姉の提案に同意して一緒に温泉の入り口の暖簾をくぐる。
そして温泉に入り終わり姉を待っているとしばらくして姉が出てくる。
「お待たせ。部屋に帰ろっか」
「はい、姉さん」
俺と姉はどちらともなく手を差し出しつないで部屋へ帰る。
その後夕食に舌鼓も打ちテレビを一緒に見ていたら無性に何か飲みたくなる。
「姉さん、ちょっと飲み物買ってきます」
「わかった。いってらっしゃい」
俺が財布を持ち部屋を出た瞬間隣の部屋からも誰かが出てくる。
隣の部屋から出てきた人間は女で金髪ショート、いかにもギャルっぽい感じで背はそこまで高くない・・・・・・あれ?
デジャヴを感じた刹那俺はその女と目が合ってしまう。
「「あ」」
俺と目が合ったその女はよく見ると栗栖だった。
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