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クラスでぼっちの俺が生徒会長とギャルをクズ男から救ったら何故か惚れられてしまい毎日言い寄られるようになり、それを知った義姉が俺を取られまいと結婚を申し込んだせいで三つ巴の戦争が始まった。  作者: この山田は無鉛プレミアムガソリン専用仕様となっています。レギュラーガソリンの使用は故障の原因となるため絶対にお止めください。レギュラーガソリンの使用によって生じたいかなる損害も当社は責任を負いません。
5章 文化祭と夏祭りと海水浴と
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5-4-8  私は静さんと約束をする/わたしはみんなとお祭りを楽しむ

「さて、綾瀬ちゃん」

「何ですか、ヒッ!」

「どうしたの?」



私は静さんに呼ばれそのほうを見る。

すると静さんが怒りに満ちた光のない目で私のことを見ている。



「綾瀬ちゃん、あなた忘れてることはない?」

「忘れてること、ですか?」

「そう」



私は震える声で静さんの質問に質問で返す。



「まさか、しないつもりじゃないよね?」

「ですから何をですか?」

「ふぅん、そうやってしらばっくれるんだ」



静さんの目が更にドロドロとしたものになっていく。

身長差も手伝ってその怖さはもう言葉にできるものじゃない。

い、一体私は健一郎くんに何も・・・・・・・・・もしかしてこの前私の家に泊まった時のことを?



「静さん、この間の私の家へ泊り来たとこのことを、ですか?」

「今頃になってわかったの?」



静さんが底のない軽蔑を込めた目で私のことを見ながら言う。

あ、あれは私は一切悪くなくてお父様が・・・・・・・

いえ、何かするとわかっていながら対策を怠った私も同罪だわ。



「綾瀬ちゃん。今日二人にする時間を作るからそこで健くんにちゃんと謝罪するんだよ?いいね?」



静さんがこれまで見たことがない表情で私に健一郎くんに謝罪するように迫る。

私としても健一郎くんに謝罪をきちんとするつもりだ。

なので私は静さんのドロドロした目を気を持ち直してしっかり見据えて返答する。



「はい」



私が短く一言言うと静さんの目の濁り具合が少し和らぐ。



「約束だよ。もし約束を破ったらどうなるか・・・・・・・・・わかってるよね?

その時は全力出すから」



静さんがそう言った瞬間目の濁りがなくなり普通の目になる。



「綾瀬ちゃんとお話しできたし、健くんと合流するよ。

どこにいるか教えてもらうからちょっと待ってて」



静さんが携帯を取り出して電話をする。

そして数分通話をして携帯を巾着にしまう。



「健くんのいる場所がわかったからそこに行くよ」

「わかりました」



私は静さんのその言葉に頷き後をついていく。




++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



「ごめんね、待たせた?」



わたしは健くんに待たせてないか訊く。

すると健くんはいえ、と答える。

なのでわたしは一緒に回ろうと健くんに言うとはいと言ってどこに行くか訊いてくる。



「屋台見て歩きながら気になったところに行くようにしようよ」

「そうですね、そうしましょう」

「そうだね、それが一番いいっしょ」

「そうですね」



全員がわたしの意見に賛成してくれたのでわたしたち4人でとりあえずお祭りの会場を歩いていく。



「ねぇ、あれやろうよ」



わたしは金魚すくいのお店を指さし提案する。



「私は賛成です」

「アタシもいいよ」

「いいですね。やりましょう」



全員がやりたいと言ったのでわたしたち4人は金魚すくいのお店に行く。



「俺が全員のを」

「そういうわけにはいかないわ。

今日は確かに全員でお祭りデートという趣旨よ。

だけれど健一郎くんに何でもかんでも払ってもらうわけにはいかないもの」

「そうだよ、健くん!自分の分は自分でちゃんと出すから」

「ね?伊良湖。

アタシたちのことを気にしてくれるのはうれしいよ?

けどみんな伊良湖に負担をかけるようなことはしたくないからさ。

だから、ね?」



健くんが全員分のお金を払おうとして財布を出すので全員がいいよとその行動を止める。

栗栖さんが健くんのことを説得すると健くんはわかったよ言ってそれ以上何も言わない。

そして全員で水槽に横並びになって金魚をすくう。



「金魚をすくうことすら叶わなかったわ・・・・・・・・・・・」

「始めてすぐポイが破れたもんね。

1匹もすくえなかったなんて、意外と生徒会長様は勉強以外はアレだったり~?」

「そ、そんなことないわよ?」

「へ~本当かな~?」



栗栖さんがあの子の不器用さを疑うようなことを言いあの子が反論する。

わたしはそのやりとりを聞きながら金魚を慎重にすくう。

けどポイは少しして破れてしまい結局3匹しかすくえなかった。



「あなたはすくい過ぎよ・・・・・・・・大体そんな数の金魚、飼えるのかしら?」

「飼えないよ。だからこうするんだよ」



そう言って栗栖さんは元いた水槽にボウルをそっと沈めて10匹くらいいた金魚を戻す。



「そういえば伊良湖は・・・・・・・げっ!何その数!しかも結構でかいのもすくってるし!?」

「どうしたらそんなことになるのかしら」

「健くん、ストップ!」



栗栖さんが健くんが持ってるボウルを見て驚きの声を上げたのでわたしも見てみる。

すると健くんはすでにボウルが満杯になりそうな数の金魚をすくっていた。

なのでわたしは健くんにこれ以上すくうのをやめさせようと止めに入る。



「姉さん、止めないでください。これは真剣勝負なんです!」



健くんはわたしが引き留めるのを意に介さず次々と金魚をすくっていく。

金魚すくいの屋台の人も顔が真っ青になっている。

そしてもうそろそろボウルが満杯になるか、というところで健くんが持っていたポイが破れる。



「惜しい!あと少しのところだったのに。

まぁいいか。ほれ、帰れ~」



健くんはボールを斜めにしてすくった金魚全部を水槽に戻す。



「・・・・・・・・・君たちも、元の場所にお帰り」



わたしは健くんが金魚を戻すのを見て健くんと同じようにして金魚を水槽に戻す。



「持って帰らなくていいんですか?」

「うん。うちに水槽がないからね」

「そうですか」



わたしがすくった金魚を持って帰らない理由と言うと健くんはそれ以上言わない。



「次は型抜きやろう!場所はさっき伊良湖と回った時に確認したから知ってるよ!」

「いいわね。それに行きましょう」

「よし、次は型抜きだー!」



わたしたちはそれからも4人で健くんと色々な屋台で遊んだり食べ物を買って食べたりした。



「みんな、お祭りも終わりの時間だし今日はこれで解散しよう」



お祭りを4人で楽しんでいたらもうすぐ深夜、という時間になっていた。

なのでお祭り会場の入り口まで全員を連れて行ったあとそう提案する。



「え~もうちょっと遊びたい」

「もうそろそろ深夜っていう時間だよ?

栗栖さんこのままだと補導されちゃうよ?」

「うぐ、それは・・・・・・・」



栗栖さんがもう少しここで遊びたいと言う。

でも栗栖さんはまだ未成年だし保護者の人がいないんじゃどうしようもない。

栗栖さんの身の安全のためにもここで帰らせないと。



「栗栖さん、一人でここに来たでしょ?

これからの時間女の子一人で夜道は危ないから。ね?」

「う~、わかりました・・・・・・・今日はこれで帰ります」

「ごめんね」

「いえ。それじゃアタシはこれで」



わたしは栗栖さんが帰宅するのを会場の入り口で見送る。

そして栗栖さんが市電に乗っていくのを見届けて健くんとあの子に話をする。



「健くん、綾瀬ちゃん。あなたたち二人には話し合ってもらうことがあるの。

だから近くにある川のほとりの公園に行くよ」



わたしがそう言うとあの子は怯えた声でひゃい、と言い健くんもわかりました?と疑問形で何のことかよくわからないという感じでついてくる。




「ところで姉さん、栗栖にああ言いましたけど俺も未成年ですよ?いいんですか?」

「健くん、わたしがいるじゃん」

「そ、そうですね」



健くんはそう言って苦笑いして、あの子は無言で震えながらわたしの後ろをついてくる。

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