5-3-6 私は彼に膝枕をする
「健一郎くん、こっち来て」
私はベッドに座り私の横を叩いて健一郎くんを呼ぶ。
彼がここに来たときにやってみたいことがあった。
それは膝枕。今日彼が私の部屋にいるときにどこかで絶対にやりたいと思っていた。
「綾瀬先輩、スキンシップするなら今じゃなくてもいいんじゃないですかね。
ほら、課題もまだ終わってませんし。そろそろ休憩終わりにして課題をまたやり始めないと」
健一郎くんは戸惑いながらそう言って私の提案に乗らない。
「なら休憩時間をもう少し伸ばせばいいのでしょう?
ほら、まだ休憩時間だから、ここに来て」
私は再度自分の横を叩き健一郎くんを呼ぶ。
「・・・・・・・・・・・」
しかしそれでも健一郎くんは私の呼びかけに応じない。
そして彼は勉強机から1歩も動こうとしない。
どうして動こうとしないのか健一郎くんに訊いてみる。
「どうしたの?」
「いえ・・・・・・・・」
彼は言いよどむ。
そして意を決したように私に質問をする。
「綾瀬先輩」
「何かしら?」
健一郎くんが訊きにくそうな顔をする。
その間も健一郎くんは周囲の視線を気にするような感じで部屋の中を見渡す。
「綾瀬先輩は部屋に防犯カメラの類を設置してたりしますか?」
「え?」
健一郎くんが私にそんなことを恐る恐る聞いてくる。
防犯カメラがついてるか?どうしてそんなことを聞いてくるのかしら?
この部屋にはそんなものはついていないしつけた記憶も一切ない。
なぜ健一郎くんはそんなことを聞いてくるのか。
まさかお父様がカメラを?
でもとりあえず私は現状この部屋付けたこともその記憶も何もないことを正直に彼に答える。
「そんなものは付けてないわ」
私は答える。
しかし健一郎くんは私に疑いの目を向ける。
「そうですか。ちなみに他の部屋にはついてたりしますか?」
「確か倉庫とか資料室とか、そういったところはついてるわ」
「そう、ですか・・・・・・・・・」」
健一郎くんは猜疑心に満ちたように私の答えに返事する。
「だからほら、安心してこっちに来て。もし本当にあったらあとでお父様にきつく言っておくから」
私は彼を安心させるためにそう言う。
彼はしばらく私のことを警戒した目で見つめた後こっちにゆっくり近づいてくる。
「わかりました。信じますよ?綾瀬先輩のこと」
「ええ。だからほら、横においで」
私が横に来るように言うと彼は私の言葉に従って横に座る。
「それじゃ、ここに寝て」
私は彼の顔を両手でそっとつかんでゆっくり私のほうに彼の体を倒す。
予定ではふとももにちょうど良く頭が来る予定だったのだけどふともものところには彼の二の腕当たりが来てしまった。
「あら、ごめんなさい。少し移動するわね」
「綾瀬先輩、一体何を」
健一郎くんが私の行動に驚く。
そして起き上がろうとするがそれを抑えながら彼の頭の位置を私の身体を動かして調整する。
「ほら、どう?私のふとももの感触」
私のふとももに彼の顔がちょうどよく載る。
今日はスカートをはいていてよかった。
あら、でもスカートのせいで私のふとももの感触を彼が感じることができないわね。
そう思い私はスカートをたくし上げて彼の頬に私のふとももの感触が直接感じられるようにする。
「綾瀬先輩、ダメですこんな」
「何がだめなのかしら?私は体温と感触を直接感じて欲しくてこうしてるのよ?
大人しく私のふとももの感触を楽しみなさい」
私がそう言うと健一郎くんは大人しくなる。
私は彼が大人しくなってすぐ彼の頭をなでなでする。
「綾瀬先輩?」
「ほら、なでなで」
「・・・・・・・・・・」
彼は私のなでなでを何も言わずに受け止める。
「どう?」
「どうって何ですか?」
「なでなでの感想よ」
「・・・・・・・すごくいいです」
健一郎くんはぶっきらぼうに私の質問に答える。
でもその顔は心なしかうれしそう。
「綾瀬先輩、そろそろ課題を」
しばらく頭をなでていたら彼がそう言って止める。
時間を見ると結構な時間が経っていた。
「そうね。そろそろ課題の消化を再開しましょうか」
私は彼の言葉に同意して彼の頭をなでるのを止める。
彼が身体を起こし勉強机に戻るのと同時に私も立ち上がり椅子に座る。
「気を取り直して課題を片付けましょう」
私の一言に健一郎くんはうなづき私と彼はほぼ同時に課題の消化を再開する。
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