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床の端まで行って下を覗いてみる。轟音と共に土煙がすぐそこまで迫っていた。
振動も油断できないくらい激しくなってきていた。
リータはエカを呼んだことを皆に伝えたけれど、最上階の崩壊までに間に合ってくれる確証がない事も伝えた。
しかし、他に方法がないことを皆が理解していたので、黙って待っているしかなかった。
みんな中央の円柱に寄りかかって座っていた。
「もっとエカと仲良くなっておけば良かったな」
ティア姉が珍しく過去を反省している。
「わたしなんて、ほとんど話していないのです」
シルヴィの声は沈んでいた。
「わたしなど戦ってしまったぞ」
アイリも元気がない。
「俺なんて喧嘩を吹っ掛けてたみたいなものだぞ」
ヤスカも落ち込んでいた。
いつ崩れるか分らない恐怖は確実に皆の心を蝕んでいた。
「みなさん、諦めないでください。きっと間に合いますから」
リータが言うと大きく床が揺れた。明らかに床が斜めになっているのが感覚で分る。
もう持たない。
皆がそう思ったであろう時だった。
「暗いな、おぬしら」
全員の後ろ上からエカの声が聞こえてきた。
「わっちに用事なら明るく迎えんか」
コウモリのような黒い翼を広げ、制御球の上にエカがいた。
そして、なぜか裸だった。




