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エカに脱出しなければならない事情と、その手段がないことを手っ取り早く伝えると、納得したような様子でエカは言った。
「つまり、わっちに助けて欲しいということだな」
「ごめんなさい。勝手なのは分かってるんだけど、他に頼れる人がいないの」
「わっちは人ではないが、頼られるのは悪い気はせぬな」
ティア姉がお願いすると、エカは得意げな笑みを浮かべ、制御球から飛び降りて距離をとった。
「よかろう! わっちがおぬし達を運んでくれようぞ」
エカから黒い雲があふれ出すと一気に広がると、エカのいた位置で大量に放電が巻き起こる。
黒い雲から翼が突き出したかと思うと、一羽搏で雲を吹き散らかす。
そこにいたのは古に聞くドラゴンの姿とは違っていた。
四本足の巨大な体躯に大きな翼を持っている。そこまでは言い伝え通りだけれど、鱗は水晶のように青く透明で、翼はシルクのように艶々だった。
「さあ、わっちの背に乗るがよい」
エカは翼を床に付けると乗りやすくしてくれた。
おそるおそる乗り込むと、背中は案外平らで乗りやすかった。鱗は堅いのかと思ったら柔軟性が有り、鋭利に見える先端でも突き刺さることはない。
「鱗にロープでも巻き付けておくが良い。吹き飛ばされては、わっちも困るからの」
言われた通りヤスカが背負っている背嚢から人数分のロープを用意すると、体と鱗に巻き付けて準備を完了する。
「準備できたわ」
ティア姉がエカに言ったその頃には、床はかなり傾き、エカに乗っていなければ滑り落ちていたかも知れない。
「では行こうかの」
エカは一羽搏すると一気に上昇する。その加速で体がエカの背中に押しつけられた。
翼で風を捕らえ、滑るように進み出す。もっと翼を羽ばたかせるのかと思っていたので、その乗り心地は馬車よりも遙かに快適だった。ただし、下を見なければだけれども。
エカは風に乗り、冷却の魔道具を一周する。
下部の岩石は完全に落ちており、神殿の部分が崩れて落ちていく。
その様子を見ながら、オウルの方向へ向けて飛び立つのだった。




