正気に戻った騎士団長。そして援軍。
エルに向かっていったはずのユウはエルの見事なアッパーをカウンターで食らい、完全に伸びていた。
「エルさん???」
「これでも最強の武闘家の娘なの。結構強いのよ。」
エルはそう言うと気絶したユウの元へ座り込み、ユウを起こす。
「う…エレーナ様…私は…」
「しっかりしなさいユウ。あなたの主人は誰?」
「…!?申し訳ございません。エレーナ様です。」
「よろしい。全く。あんな女に私のユウが汚されたなんて許せない。消してあげるからじっとしてなさい。」
そう言うとエルがユウに口付けする。
「エレーナ様…?んむっ…」
ユウが驚き、エルを引き剥がそうとするがエルに睨まれ、動きを止める。
「…お父様も正気に戻すわよ。バカユウ。」
「...か、かしこまりました。エレーナ様…」
エルの言葉にユウは真っ赤になった顔を隠しながら答える。
それを聞くエルの顔も真っ赤。
めーちゃん!!なにあの二人!!!めっちゃ羨まし…
「それを実現するには姫にもあのような大胆さが必要でござるよ。」
カルアがメビウスの中できゃーと口を抑えている。
「…!?あなた達は??」
「アイリスがこの国にいるという情報を貰って助けに来た。シャンスだ。こっちは相棒のチャトラ。魔術師がカルア。黒龍がメビウスだ。」
「チャトラ殿とメビウス殿はどちらに?」
「ああ。そうだった。」
シャンスがそう言うと憑依を解くチャトラとメビウス。
「よろしくねユウ。」「拙者がメビウスでござる。」
「驚いた…喋るんだね。よろしく。チャトラ殿。メビウス殿。」
「自己紹介も終わったし、国王の正気を取り戻さねぇとな。ユウと同じように気絶させればいいのか?」
「ああ。アイリスは自らの魔力を霧状にして他人に入り込み、操る。注意して挑まなければ操られてしまう。」
「仕組みが分かってるなら方法はいくらでもある。」
「カルア。袋の中に和菓子屋で買った袋は入ってるな?」
「ありますけどお腹空いたんですか?」
「違うわ。それをいつでも出せるようにしておいてくれ。」
「??...分かりました!」
カルアが和菓子屋で買った袋を腰につける。
「行くぞ。」
シャンス達はアイリスを倒すため、正気に戻ったユウと共にアイリスの元へ向かう。
やがて王国の庭園に出る。そのにはアイリスとその隣にエーテル国王、広場にはユウを除いた騎士団が整列してその全ての者がアイリスによって操られている。
「あらユウ。洗脳が解けたのね。でももう手遅れ。騎士団も国王も私の思いのまま。残念でしたぁ。きゃはは。」
「アイリス・ラエビガータ…貴様に操られていたとはいえ、エレーナ様を手にかけようとした自分が許せない。」
「あなたは覚えていないかもしれないけど。精神的にも傷つけたのよ?目の前で私とキスしたの。」
「!?それでエレーナ様が私に…エレーナ様。あれはどういう…」
「ユウうるさい。また気絶させるわよ。」
下を向くエルの耳が赤くなっている。
「あーあ。仲睦まじくなっちゃって。気分悪いわ。二人とも洗脳して殺しあわせてあげる。…肉体だけ洗脳させてね。」
アイリスが合図すると騎士団全員が剣を抜き、シャンス達に向ける。
「この数全員を気絶させるとか結構難しくないか??」
シャンスの顔が少し強ばる。
すると王城の門が勢いよく開かれ、コウン王国の騎士団団長を筆頭に騎士団が次々と侵入する。
「シャンス殿ぉ!!!待たせたな!!ようやく国王の許可が降りたわい!!!」
「いいや。ナイスタイミングだ!ジークさん。」
馬から降りたジークと拳を突き合わせる。
反撃開始だ。




