二十節/5
時は遡り、遊戯の月十八日。
新年会の騒動の収束と同刻。
とある山小屋の中で、二人の男が寛いでいた。
「……ああクソ。
旦那ァ、やっぱあの子ども殺しましょうぜ。
ぜってェ面倒なことになりますって」
「上からの命令なのだから、従うしかないだろう。
私もあれが力を付ける前に、始末した方が良いとは思うのだが……あれを殺して得られる利益と不利益は、未だ不利益の方が大きいのでな。
だから、上も踏み込めないのだよ」
舌打ちをして、魔術によって繋げていた男の視界。
その投影を消した。
真っ黒となっていたそれは、あの男が完全に活動を停止したということを示している。
「こうやって何度も妨害されちゃ、オレらの仕事もまともに出来ゃせんぜ?」
「……仕方ないさ」
二人が嫌う子ども。
『レイフォード』という名の少年。
この世から排すべき『悪魔憑き』。
「あと何年やり続けることになるんで?」
「さあな……十年は掛かるだろう」
粗雑な男は頭を掻き毟る。
それがどうしようもないことだと分かってはいるが、怒りを抑え続けることが出来なかった。
「かったりィ。一気にバァっと殺せないもんですかねェ」
「そう上手く行くなら、何年も手こずってないだろうよ」
「ハハ、違いねェ!」
二人は、『外』のとある教会に所属する聖騎士であり、諜報機関の一員。
ここに来た目的は、『悪魔憑きの集まる国』の情報を探すため。
「まァた迂闊なヤツを探さなきゃいけねェなんて、骨が折れますよォ」
「お前はそういうの得意だろう?」
「そりゃまァ、それが得意だからここに居ますんで」
国家に疑心を持つ者の身体に術式を刻み、その視界と聴覚から得られる情報を収集する。
そして本国に持ち帰り、計画の糧とする。
「ちゃっちゃと仕事しませんとねェ」
「早く帰りたいものだよ」
彼らの仕事はただの諜報活動。
調べて、探って、確かめるだけ。
『悪魔憑きの集まる国』──アリステラ王国を滅ぼすための、情報を。
陰謀はまだ、闇夜の中で渦巻き続けている。
閉幕:三章【月望み叶う黎明】 ────死を忘れること勿れ、今を大切に生きよ────
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