黒海賊の兄弟
「ちょっとだけでいいから。
なぁ、頼むよ…」
「…仕方ないな。
敵がやって来た船で敵船に向かうぞ」
「有難うラムセス!」
「ただし、こちらに敵意を持つ者は即時処刑する」
「うん…」
俺とラムセス、ユリはアウロラ号にスズちゃんとジュニアを残し、敵が乗ってきた小舟に乗って敵船に乗船する。
「気を抜くなよ?」
「あぁ」
ラムセスが先頭に立ち、船室を一つ一つ見て回る。
だが、一人も船員を見つけられなかった。
「あと見てないのは…一番下の階か」
「お宝も積んでないし、もう価値ないんじゃない?」
「いやいや、最後まで見ようぜ!」
「僕は1秒でも此処にいるのが嫌なんだけど」
珍しくユリがそう言って来る。
「同意見だ。もう戻って船を沈めるか」
「いやいやいや!あとちょっとじゃん…俺、パッと見てくるから!」
俺はラムセスを追い越し、船底へ続く扉を開ける。
「あっ、ヴァン!」
ヒュッ
扉を開けた瞬間、俺はラムセスに思いっきり後ろにほおり投げられた。
「なっ?!」
そんな俺の目の前に勢いでザザッと倒れ込む少年が。
その手にはナイフが握られていた。
「危ないな。殺しておこう」
ラムセスが一瞬でその少年の首をはねる。
「に、兄ちゃん!!」
「?!」
年端もいかない少年が船底の暗闇から出て来てラムセスに殺された少年に駆け寄る。
「兄ちゃん!そんな…死…」
(あぁ…兄弟だったのか…)
何とも嫌なものを見てしまった…
「ヴァン!こっち!見て!」
ユリに声をかけられ、俺はそっちを見ると…




