第4話[差異恭之助]
カラオケ店に限らずファミレスやその他飲食店にもドリンクバーのシステムがある事を蛇乃が恭子に説明する。
「へぇー、知らなかった。私、定食屋しか行った事ないから。」
それを聞いた達子と蛇乃が黙る。
恭子って実は育ちが良いのではないだろうか。
二人はそんな事を考えていた。
部屋に戻り恭子がジュースを一気に飲み干すと再びジュースを取りに行く。
初めてでかなり気に入ったようで、何だか小さな子供でも見るように二人はほっこりした様子で恭子を見守っていた。
ある程度飲んで恭子の気がすんだようなので、三人は歌う事にした。
最初に歌うのは恭子。
達子が歌いたい歌を聞いて、デンモクを操作して曲を入れる。
流れてくる音と共に歌を歌う恭子。
曲が終わると設定していた採点機能がはじまり95点と表示される。
「恭子ちゃんすごい。歌上手だね。」
達子に褒められ喜ぶ恭子。
そんな中、蛇乃がマイクを取り曲を入れる。
蛇乃の歌を初めて聞く恭子。
思わずすごいと呟いた。
曲が終わり採点がはじまる。
100点と表示され賑やかな音がなる。
「すごい、100点何て初めて見た。」
初めて来たのだから当たり前でしょと心の中でツッコミ、蛇乃は達子の所へ行く。
「さすが蛇乃だね。」
達子にそう言われ、笑顔から無表情になる蛇乃。
それから何曲か歌い、蛇乃のストレスがどんどん溜まって行く。
「ちょっと達子、さっきから酷すぎない?」
蛇乃にいきなり言われ戸惑う達子。
「私、達子と初めてカラオケに行った時、褒められた事ないよ。」
あの時もさすが蛇乃だねだった。
それからも中学生の時のクラスメイト何人かと行った時、周りのどうでもいいクラスメイトが褒める中、達子はさすが蛇乃だねと言うだけで全然褒めてくれない。
あの時はキャラもあったので我慢していたが、今日はしなくていい。
蛇乃は過去の不満をぶち撒け、何故褒めてくれないのか達子に詰め寄った。
「ごめん、確かに酷すぎたかな。でも、蛇乃は何でも出来る天才だから…。凄過ぎて何て褒めていいのかよくわからないし…。」
そんな中、蛇乃が言う。
「私と達子の義理の兄、どっちが凄い?」
蛇乃は達也の事を達子の兄だと認めておらず、たまに義理の兄という呼び方をする。
最初は恭子も達子に義理の兄がいるのかと驚いていたが、達子から説明され今ではその呼び方にも慣れていた。
「もお、蛇乃はまたそんな事言って誤解されるからやめてよ。」
そんな達子の言葉を無視して蛇乃はどちらが凄いかと言って再び迫ってくる。
悩む達子。
この場合、正直に答えた方がいいのだろうか。
蛇乃とお兄ちゃんを比べた事がないからよくわからない。
しばらく考え、達子は口を開いた。
「蛇乃の方が凄いかな。最近のお兄ちゃんは二十歳になったからって言ってタバコ吸ったりしてるから、やっぱり蛇乃の方が凄いよ。」




