序章
新シリーズです。
短めで、できる限り毎日更新ができるよう頑張っていくので応援よろしくお願いします。
3月29日午前2時
こんな時間にちょっと距離のあるコンビニに子供一人でお使いに行かせる親がいるもんか。
普通ならそう思うだろう。
だが俺は今、そんな親が待つ場所へ、しわの多くなってしまったコンビニのビニール袋を抱えて向かっている。
このお使いはそもそもがおかしかった。
俺の袋の中にはアンパンと牛乳が3人分。そう、母親は俺に朝ご飯を買わせに行かせているのだ。
「あ、明日の朝ご飯ない! ちょっとコンビニ行ってきて。お母さんはもう眠いから寝てるから」
ってふざけんな!!
とはいえこんなことで真夜中にいちいち言い争いをしてもどうかと思い結局引き受けてしまった。
やはりこうも遅くなると街の明かりも消え、道を照らすのは街灯のかすかな光だけ。それすらも等間隔にしかないから、真っ暗だ。周りにも人がほとんどいなければ、カラスなんかも鳴いていない。周りで見当たるものと言えば、俺の少し前を茶色の高そうなコートを羽織って、右手にお土産だろうか、四角い箱を持ち歩く泥酔したおっさんくらい。
しかし事は突然にして起こった。
そのさっき言っていたおっさんが何でもないT字路に差し掛かった時、俺の見えない方角から何かが飛んできた。あまりにも一瞬で、しかも夜ということも相まっていたがゆえに何が飛んできたのかその時は分からなかった。が、近づけばそこには信じられない光景が広がっていた。
T字路の道路ではない側にある家の塀に二本のいびつな形をしたナイフがおっさんを囲むようにして刺さり、さらにもう一本がその二本のナイフの間、つまりおっさんを貫いている。人間の体の中とかあんまり詳しくないけれどそんな俺が見ても分かる。
心臓を一刺しだ。
これだけ大量の血を見るのは人生で初めてだった。意外と黒い。そして、なんか歪んでいる?
違うか、歪んで見えるのは俺の視界が安定しないせいか。足が震え、のどのあたりから血を飲んだような不快感がした。
気持ち悪い。
死人に向かっては失礼な話だ。でも、それでも俺は抑えきれなかった。
俺の周りにおっさん以外の人はいない。かろうじて残っている理性から判断するに……
『このままでは俺が犯人になる』
そう思うと俺は怖くなって警察に電話なんてできず逃げだしてしまった。
そしてこの時はまだ知らなかった。このナイフが俺の身にも襲い掛かってくることになるとは。
読んでいただきありがとうございます。まだ何一つ始まりませんでした(笑)
次回からはちゃんと高校に入学します。