11 由美の特訓(2日目)
「えっと師匠……ここはどこですか?」
特訓2日目。俺は、由美ちゃんを学校から連れ出し、校外学習を始めていた。
「ここはVR世界が体験できる場所だ」
「ぶいあーる?」
由美ちゃんはその言葉が理解できないのか小首をかしげた。
それゆえに俺は説明を交えていく。
VR――簡単に言えば現実のように見えて、現実じゃない世界。本当は映像なんだけど、五感を刺激することでその映像をリアルに見せている世界ということだ。
が、それでもやっぱりピンと来ていないようで、しょうがないから俺は説明も半ばに諦め、彼女を施設の中にぶち込んだ。
「とりあえずやってみればわかるさ」と言って。
彼女にVRゴーグルを手渡し、機械を作動させる。
「これは、オンライン通信可能なVRゲームで、そのゴーグルをつけて剣を振る動きをすれば、ゲーム内で剣を振ることが出来るってやつだ。まぁ手っ取り早く説明するとSAO的なやつなんだけど知ってるわけ……」
「無いですね。すいません」
まぁ由美ちゃんアニメとか興味なさそうだからな。本もめちゃくちゃ売れてるから今度薦めてみようかな。マジで面白い。おすすめだよ。
「んじゃとりあえず俺もそっちの世界に合流した後、詳しい説明するからとりあえずこれ持って」
俺はこの店で支給されている剣を由美に持たせ、自分の方のゴーグルをセッティングした。
この部屋は東京ドーム15個分くらいの広さを誇っており、それだけ広大でいて、何も置かれていないから、まるでフローリングで出来た砂漠のような感じだ。当然これだけ広ければ現実世界の視界が遮られたとしても、衝突事故や剣で人を叩いてしまうといった事故はほとんど起こらない。
それに万が一、剣で叩いてしまっても大丈夫なように剣といってもプラスチックのオモチャで作られている。
と、そんな部屋の説明はさておき、俺も機械のスイッチを押し、なんとなく「リンクスタート」と言って機械を起動させた。まぁ言わなくても起動するんだけどやっぱVRゲームするなら言いたいじゃん?
そしてゲームの世界に入ると、そこにはまるで俺が異世界転生でもしたかのような錯覚に陥るほどの美少女がいた。まぁその美少女が「えっと……師匠ですか?」と声を掛けてくれることで、初めて由美ちゃんだと気付くことが出来たんだけど。
そりゃ、緑色の瞳に少し薄めの水色で構成された髪。しかもいつものショートボブみたいな短めとは違い、まるで滝を流れる水を連想させるようなまっすぐでしなやかなストレート。普段の制服からは想像することしか出来なかった胸部やへそ周りがひょっこり顔を出しているかと思えば、それ以外の部分はガッチリと固そうな鎧がついている。
これを見て一発で由美ちゃんとわかる方が無理な話だろ。
対して俺は、どうせ今日一日で終わる体験版程度にしか考えておらず、初期設定のまま。なんか古そうな黄土色の休日に来ているような格好という何ともキャラ立ちしない村のモブキャラか、というようなキャラだった。
「何でそんなキャラ設定にこだわってんだよ」
「その、よく分からないけど言われるままにしていたらこうなりました」
こうして一日限りの女戦士と村人Aの戦いの旅が始まったのだった。
SAO本当に面白いので知らない人はぜひ読んでみてください。
次回はSAOではないですけどちょっとだけVRの世界を楽しみます! もちろん特訓だってことは忘れてないですよ。




