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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第2章 レインボーガーデン
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「終末の谷の中程にまで来ましたね。ここらで休憩にしましょう」


アニキ達を見送った後レダスが言った。

ゲームクリエイターが黒人の身なりをしてこの世界アルテマに溶け込んでいるのが彼だが、黒魔法に分類される念力以外にも色々技を隠し持っていそうだった。


正午まであと一時間くらいか?

俺は今のうちにパーティの皆と仲を深めておこうと思った。

レダスが正式に仲間に加われば最高だし、無口なクロウとも打ち解けていたかったんだ。


終末の谷というあまり日が差し込まない狭い道を進んできた俺たちだったが、此処に来てようやく広めの空間に躍り出たのである。


「昨夜レインから聞きました。ソラ君はバンドのボーカルなんですか?」


「あ、まあね」


「私はアルテマサーガの音楽担当の者でした。バンド界の重鎮とも仲がいい」


これは思わぬ接点と言った所だった。

レダスに出会えたのは運命的と言っても過言ではない。


「私のコネでインディーズバンドとしてやっていきますか?」


願ったり叶ったりだった。

クレラ達は何の話か理解できずにいる。

彼女たちはインディーズバンドといった単語とは無縁だろう。

それなら何としてでも魔王を倒して元の世界に戻らないと!

その時クレラの存在が頭をよぎった。

アスカちゃんやレイン達だって。

一生会えなくなるのは寂しいな。


「レダスさん(本名なんて言うか知らねーけど)一緒に最後まで旅を続けてくれ。俺はアンタのサポートが必要だ」


レダスは頷いた。

昨日今日と一緒に行動して俺を認めたと言ったところか。

何にせよこれでパーティは八人になった。

聞けばレダスは状態異常攻撃を多用するようだった。

槍による攻撃で「ポイズンスピア(毒突き)」みたいな具合だ。

あの太い腕だし威力も高いだろう。


「ん?どうしたアスカちゃん」


「クレラがアンタの事認めてるの何となく分かった気がする。いや、別に……私はそうは思わないけど!ただ……ずっと傍に居たい……かな」


お、おう……。

可愛らしい事この上ないが、この子レダスさんとの会話聞いてなかったな。


「か、勘違いしないでよね!私はクレラを信用してるだけだからぁ!」


(……俺はアスカちゃんとは永遠には一緒に居られない、ってハッキリ言えるわけねーよなぁぁぁ)


俺が頭を抱えていると先程アスカと話していたホワイトロックさんが来た。

この人は俺を恋愛対象と見ている可能性は低い。

少なくとも現時点では……。


「ソラ、異世界人だからって壁作る事無いからね!」


優しい〜。

ホワイトロックさんの裏魔法の威力はあの冥道クロス斬りをも凌駕するのだろうか。

レダスの本気もまだ目の当たりにしてないし、レインのハープもかなりの性能だ。


レイン。

一見おふざけキャラかと思いきや面倒見がよく芯が通っている感じがした。

この人とリーダーの座を取り合う形になるのか。

いや、俺は若過ぎる。

レインボーの髪色はそれだけでユニークこの上ないが、ハウルに勝るとも劣らないカリスマ性を有していた。

つまりオーラ、存在感。

二十二歳の若さでこれは現実世界のバンドメンバーに加えたいぐらいだ。


「一気に港町まで行ってまうべきやと思うでー。またハーピーが出てくるかも分からんし」


この人ホントにゲームのキャラだよな?

なんて人間味溢れる人なんだろう!


「では、そろそろ行きますか」


レインの提案をレダスが受け入れ、八人は再び出発した。


クロウと言葉を交わしておきたいなー。

入れ墨に関心がないわけでもない。

高校生であるうちは無論彫らないが、かっこいいと思う人がいるのも納得できる。

翼も生えてるしカッケー。

俺はクロウの横に並んだ。


「港町を過ぎればジン王国から離れる事になる。気引き締めていくべ」


それだけ言うとクロウはまた黙ってソッポ向いてしまった。

一日に二言までしか喋れない呪いにでもかかっているのとでも言うのか。

いや今の俺のは冗談だけど、もっと仲良くなりたいんだよな〜。


見るとハーピーの死体が無惨にも転がり落ちていた。

まだ新しい……アニキの仕業だな。

レダスも仲間に加えた事だし、いつか彼もパーティに加えたい。

この大剣を完璧に使いこなし、鎧の性能に頼らずとも強敵を倒せるようになったらその時は再度立ち合おう。


冥道クロス斬り。

あれは大剣ソーイアロが真価を発揮した瞬間だった。 

そしてセレナから貰った首飾りもある。

どういう効果があるか知らねーがなんか期待しちゃうんだよなー。


終末の谷を越えれば港町ハーディーズ、そして船での移動だった。

このファンタジー世界の大自然を堪能するのもいいが、常に死も付き纏う。

そう言った意味ではアレサンドロの鎧ほど頼もしいものはなかった。

クレラもロッドをゲットした事だしこの八人なら銀竜に乗ったハウルに勝てる気すらしてくる。

だが仲間の死は避けながら旅がしたいのも事実だった。

ゲームのキャラにしては作り込まれてる彼らとは、確かな絆が芽生えつつあったのだ。


フォックスが近寄ってきた。

過去二度の戦闘で俺に補助魔法を施した男だったが、仮に彼がリーダーだと威圧感がある。

やはりレインに委託すべきだろう。

伸び伸びと結束の力を発揮するにはレインの方がいい。


「大剣ソーイアロにアレサンドロの鎧か。今度はハイディスの加護でも受けるのか?」


加護が何か存じ上げなかったが、俺は苦笑いを浮かべた。

フォックスも良い装備が欲しいのだ。

だが仮に装備無しだと何もできないと絶望に追い込まれても自分を信じられるかどうかーー。

そこで力になるのがやはりクレラの存在だった。

今の俺は……独りじゃない。




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