ログハウスでの出来ごと
今夜も みんなが寝静まった頃 リラは そっと 部屋を抜け出し
人が来ない 倉庫で ピアスを大事に握り モパに交信をしてみる
青いピアスは 一瞬光り すぐ 彼の優しい声が聞こえてきた
まずは 体調を気遣う言葉だが 声を聞いてるだけで すぐ隣に居るような錯覚がした
愛しい彼に寄り添ってるような暖かい気持ち
少しずつ元気を取り戻しているリラだった
モパは ちょっと 一呼吸置くと あることを聞いてきた
「リラ 聞きたいことがあるんだ
なぜ わたしの前から 姿を消したのか・・・・・」
ついに この話をする時が来たと リラも覚悟はしていた
10年前 この彼の前から 消えたのは彼女の意思だったからだ
そして この話は 振り返りたくない過去になっていたが 話さないわけにはいかない
長いまつげを伏せて ゆっくり口を開いた
「ごめんなさい」
一言 誤ってから リラは 10年前のことを 話し始めた
リラは 少し遠く離れた土地に ふらりと散歩に来ていた
のどかで 人ごみの少ない きれいな街並みが気にいって 近くの公園で 一休みをしていた
すると 公園には 色んな人がやってきて ジョギングやら ボール遊び 遊具ではしゃぐ子供の
声が 絶え間なく聞こえた
天気が良くて 午後の平和な穏やかな時間だった
きれいな花壇に季節の花も咲き乱れていて 花が好きなリラは嬉しくなっていた
彼と 一緒に今度 ここへ来てみようかしら?
大好きなモパのことを真っ先に思い浮かべて 思わず頬を緩ませてみる
柔らかい 長い髪をかきあげ そっと 花の香りを楽しいでいると
学校帰りの 小学生が 4人 元気な笑い声を響かせながらやってきた
女の子のグループで 活発そうな雰囲気の中 最後を歩く女の子は 浮かない表情で
背負ったランドセルのベルトを きつく握りしめている
一人 浮かない顔だったのが なぜか気になって リラは その子たちの様子を遠くから見守っていた
良く見ると 他の子の荷物を持たされていた女の子は 砂場の近くに ようやく荷物を下ろす
それを見ていた 一人のメンバーが 声を張り上げた
「ちょっと! そんなところに置かないでよ!! 汚れるでしょ」
駆け寄って 女の子は自分の荷物をとり 底についた砂を払い 荷物を運んだ子に冷たい視線を
投げている
「ご、ごめん! 重くってつい・・・・」
慌てて その子は 他の荷物を拾い上げようとすると
後ろからきた リーダー風の子に 思いっきり突き飛ばされた
リラは ビックリして その様子を見ていた
女の子は 泣くのを我慢して 自力で立ち上がり 肘を打ったらしく そこを押さえている
どうやら 友達ではなくて いじめられているようだ
他には この様子に気づいてる人はいなくて 助けることもできない
ちょうど 大きなログハウスがあって そこの影になっている
「あんたが トロいから 怪我したんだからね!」
突き飛ばした 女の子は 誤りもせず その子を睨んでいる
女の子は 一人 ずっと 肘を押さえたまま 他の子が 公園の遊具で遊び出したのを
遠くから見ている
気弱で 言い返す気もないようだ
気の毒になった リラは 花壇の近くに座った 女の子のそばへ 怪我の様子を見に行く
普通の人間には見えないので 近づいても 何の問題もないのだ
肘は 擦りむいて 赤くはれているが 出血はなかった
女の子は つまらなそうな顔で 友達が遊んでいるのを眺めている
一緒に遊ばないのなら 帰ればいいのに・・・・・と思いつつ 思わずつぶやいていた
「ひどいわね」
他の人には聞こえない声で そうつぶやくと リラは 女の子の横顔を見上げる
ふいに 女の子は その声に反応して リラをまっすぐ見つめ
驚いた顔で 目を見開いている
リラは その様子にキョトンとする
まさかね・・・・・・・
自分が見えるなんて 思ってもいなかったのだ
「妖精・・・・・?」
女の子は リラから目を反らさずに つぶやいた
この言葉に 驚いた リラは 慌てて 花壇の中に隠れた
私が見えるの?・・・・・・・・
心の中で そう 自問自答していると
女の子は ゆっくり花壇に近づき 花をかき分けた
「わぁ お人形みたい!かわいい」
子犬を見るような目で リラの姿を見つけると 女の子は 初めてにっこり笑った
これが 彼女との出会いだった




