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《聖女パーティー》エルマ視点53:まあ人の弱みって一つじゃないしね……。


「さて――では今すぐその場を離れるがよい」



「えっ?」



 すっとこちらに向けて手をかざしてきたイグニフェルさまに、当然あたしは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。


 ただあたしだって馬鹿ではない。


 彼女がこの子を殺そうとしていることくらいは分かっていた。


 だが。



「ママ……?」



「くっ……」



 魔族だからという理由だけでこんな年端もいかない子を殺すことが本当に正しいことなのだろうか。


 いいや、そんなはずはない。


 少なくともイグザならそう言うはずだ。



「ふむ?」



 だからあたしは少女を庇うように後ろに下げて言った。



「あ、あの、この子は見逃してあげませんか? まだこんなに小さいですし……」



 それを聞いたイグニフェルさまは、「やれやれ……」と小さく嘆息して言った。



「確かにそなたの気持ちも分からなくはない。我とて無垢な幼子を殺めたくはないからな」



「なら――」



「だがその者は見てくれこそ幼子なれど、内に秘めたる力はそなたのそれを優に超える。つまりは全て〝まやかし〟だ」



「まやかし……?」



「ああ、そうだ。大方、己の見てくれを意のままに操ることが出来るのだろう。そうして取り入るのだ――今まさにそなたがしてやられているようにな」



「してやられているって……。で、でもこの子は……」



 と。



「――あーあ、やっぱり腐っても女神ね。こんなにも早く見破られるとは思わなかったわ」



「……えっ?」



 ふいにそんな声が辺りに響き、あたしは呆然と後ろを振り返る。


 すると、さっきまで弱々しそうな表情をしていた少女が「うーん」と気怠そうに背筋を伸ばし、ぐにゃりと自身の身体を成長させていった。


 そうしてあたしたちの前に姿を現したのは、



 ――ぼよよんっ。



「んなっ!?」「おほーっ!?」



 シヴァよりも色気のある淫魔みたいな巨乳美女……いや、〝巨乳痴女〟だった。


 もう服装がどうとかいう以前に大事な部分が隠れていればOKみたいな感じになっている。



「な、ななななな……っ!?」



 当然、衝撃の事実に開いた口が塞がらないあたしだったが、そんなあたしを痴女はあざ笑うように言った。



「んふふ♪ 馬鹿正直に引っかかってくれてありがとう。結構楽しめたわよ、マ・マ♪」



「くっ……。あんた……っ」



 ぎりっとあたしが真っ赤な顔で悔しさを噛み締めていると、



「――聖女さま、お下がりを」



「……豚?」



 豚がすっとあたしを手で制し、妙に男らしい顔で言った。



「あの者はこのポルコに……いえ、〝パパ〟にお任せください」



「……」



 いや、その〝パパ〟絶対健全じゃない方のやつよね?


 なんなの?


 あの痴女を娼婦か何かと勘違いしてるんじゃないの?


 そう軽蔑の眼差しを向けつつ、あたしは豚に言う。



「てか、色仕掛けにめっぽう弱いあんたがどうやってあの痴女に勝つって言うのよ? 文字通り手も足も出ずに終わりじゃない」



「ふ、確かに私は女性の色香にめっぽう弱いです。それは否定いたしません。ですがあの者は我らの……いえ、世界の敵! である以上、何をしても許されると思うのです!」



「うわぁ……」



 むふーっ! と鼻息荒く力説する豚に、当然どん引きのあたし。


 だがまあ確かに豚の言うことにも一理ある。


 人の弱み(豚の場合は色香)につけ込むのを得意とするあの痴女にとって、それを性犯罪者のような思想で克服した豚はまさに天敵のようなもの。


 倫理的にはどうかと思うけど、まあこのあたしをコケにしたわけだし、そもそも豚の言うようにあの痴女一味は人や亜人を滅亡させようとしてるんでしょ?


 なら豚に多少いやらしいことをされても文句言えないんじゃないの?


 こっちは殺されかけてるわけだし、とそう自分を納得させたあたしは、ずびっと痴女を指差して豚にこう命令したのだった。



「分かったわ! ならあんたの好きなようにやっちゃいなさい! なんならそのまま嫁にしちゃったっていいわ!」



「ぶひーっ!」



 と、豚がオークの如くよだれを垂らしながら痴女へと突進していく。


 その勢いや凄まじく、もう本物のオークにしか見えなかったのだが、



 ――ぎゅるんっ。



「なんじゃ、わしの身体に興味があるのかえ?」



 ――ぽろりっ。



「ぐぼえええええええええええええええええっっ!?」



 痴女がいきなり老婆へと姿を変えた上、しなびたお胸をさらけ出したものだから、さすがのおっぱいおばけもこれには悶絶するしかなかったのであった。


 てか、正直そっちの弱みは想定外だったわぁ……。


 なんかすんごい苦しんでるんですけど、豚……。


 あばばばばばばばばっ!? と海老反りでびくんびくんしている豚を、あたしはなんとも哀れな目で見据えていたのだった。


ここまで読んでくださってありがとうございます!

モチベが上がりますので、もし少しでも「面白いかも~」とか「続きが読みたいな~」と思ってくださったのなら、是非広告下の☆☆☆☆☆評価で応援してもらえたら嬉しいですm(_ _)m

よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] うん、それは極一部の人を除けば瀕死の大ダメージだな……
[一言] :(;゛゜'ω゜'):豚ああああああああああ⁉︎
[一言] >てか、正直そっちの弱みは想定外だったわぁ……。 いや、普通に精神的ダメージ受ける奴ですからね(真顔
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