遠い記憶の中で~second memory~:03
「・・・ふざけているのか?」
タケミカヅチは怒気で少し制御が甘くなった雷を放ちながらそう呟く。
「今回ばかりは、私も本気が出てしまいそうです・・・」
蛇の錫杖を片手にタケミカヅチのとなりに浮くトキも少し慍り笑わなしている。
そうつぶやく二人の周りには上位神なら作り出せる劣化分身、天使。
驚くべきはその数である。
宇宙空間に二人の周りには総数2500万体の天使が浮遊している。
タケミカヅチはそれを全て支配下に置き神力へと変換し、龍脈の再構築へのリソースへとした。
「少なくとも100名近い神が絡んでいることは明らか・・・」
「私も、あの3人にノルンを分割してしまって・・・2神格しか持っていません。そのうち一つは、あれですし」
トキは困った様に片手を顔に当てていうとタケミカヅチはため息を吐く。
「まあ、実際。医神なのに、戦闘ができること自体がすごいんだけどね」
「でも私が倒したのはこの一割弱ですよ?あとは全部あなたが瞬殺したじゃないですか・・・しかも神力を得るために手加減までして」
タケミカヅチとトキが3姉妹を地上の送り出す一か月前。
タケミカヅチが管理するエデンへの侵入者を観測した。
そのほとんどが天使であり、中には最高神の天使がまぎれていることもあった。
最初は使者かと思いもしたが帰ってきたのは敵対行為。
神域の通報するも援軍や返答は、なし。
明らかなる最高神主導の侵略だった。
エデンは崩壊か再生かの今かなり重要なところである。
星の管理に意識を向けながら外の心配をする余裕などあるはずもなく、少し危機感を感じていた。
「・・・思い切って、三人を地上に下ろすか」
「・・・」
トキは反対はしなかった。
「正直、ちょうどいいと思っている。彼女たちを育てて数千年、本当なら下位神あたりと戦闘訓練を組ませたいけど無理だからね。けどあの魔王はタケミカヅチの神格で作った天使だから下位神くらいの実力はある」
「・・・そうね。やりましょう」
そうして、二人は娘たちに魔王を倒すよう命じいた。
彼女たちは赤ちゃんの時から随分と成長し14歳くらいの少女になっている。
「・・・創生神様、私はそんなに」
3姉妹の中央にいいる少女、フーが不安そうな声でそう言ってくる。
タケミカヅチはそんな彼女の口を人差し指で抑えると、そのまま頭を撫でる。
「・・・ヒューマンを頼りなさい。彼らの元になった人間は原初の神が無限の可能性を持たせた存在だ。彼らは一人一人が無数の可能性を保持し、たくさん思考し、その魂に合わぬ小さな器に身を封じているため魂の持つ性能の6割も出せずにその一生を終える。けど、彼らはその器の限界を心で超える」
そしてタケミカヅチはそのまま両隣の少女の頭を撫でてながら言う。
「君たちは、枷を外すものだ。自らが限界を超え、同じく共鳴する者の限界を超えさせるだろう。・・・そうしなければ、私の作った魔王は倒せない」
タケミカヅチ彼女たちからすこし距離を取って何か思いついたように言う。
「・・・多くの人に、君たちが今まで見てきたヒューマンに対する言葉を駆けなさい。そして仲間を集めなさい。・・・これはお願い。守らなくてもいい」
すると、彼女たちはいっせいにタケミカヅチに抱き着く。
「「「私達、頑張りますから」」」
彼女たちはそう言って準備をする為にタケミカヅチから離れて行った。
「・・・ふふ」
「!?」
驚き放心していたタケミカヅチはその笑い声に背筋が凍った。
「・・・ここまで来て、女狐や雌猫がいなくなったと思ったら、今度は娘ですか?あ・な・た?」
「ヒィ!」
タケミカヅチはトキの背後に発情期興奮している狼の幻影を見た。
「そんなに怯えないでください・・・。食べちゃうだけですから」
「待って、また娘たち近くにいると思うから。戻ってくると思うからぁああああ」
ちなみにこの様子を3姉妹全員が物陰から見ていたそうです。
※※※
「・・・最後の、いる?」
『い、一応、これも・・・罪?だから』
「何で疑問形なのよ・・・。それに恥ずかしがり過ぎ」
フーからかなり恥ずかしい物なのかもしれない。
けど、もうすでに何度もレンジ襲い掛かって、さらに言えばミレイ、さらにはミオも含めた三人でレンジを襲う事もあった。
レンジは眠ると起きない (それはいつも深層意識に潜り、他の人格と対話しているからなのだが) ことをいいことに色々なことをしている。
それゆえの普通の夜のプロレスなどなんとも思わない。
・・・しかし、この目の前にいるアヤカの前世、フーはと言うと。
『あわわわ・・・』
アヤカの後ろに隠れながらもがつっり見てます。
純情です。むっつりです。処女です。
「・・・初心ですね」
アヤカはそう言ってため息を吐く。
そうして夢に視点を戻すと風景が変わる。
記憶の中のフーたちが地上に落ち立つのを見送った二人は神域に戻るとアラームが鳴る。
・・・また団体さんだ。
「・・・トキ。もう、憂いは無くなった。始めようか」
「ええ、あなた。・・・こんなの久し振りで高ぶります」
「・・・今日の相手は強敵でありますように」
「どうかしましたか?」
隣で唐突に祈り始めるタケミカヅチにトキは心配そうに尋ねた。
「・・・いや、いい相手がいるといいなと思って」
「?…ああ、安心してください。どのみち終わったらあなたを食べますから」
「・・・えぇ」
少し肩を落としながら宇宙空間へと出る二人。
すると、世界のはざまを飛び越えて多種多彩な天使が出てくる。
「・・・おお、前回より多そうだ。トキ、あれを出してもいいよ?」
「本当ですか?・・・まあ、あなたは信頼してますからいいのですが」
「ちょっと、超距離攻撃の練習がしたくてね」
「ああ、新型雷装ですね。わかりました。・・・神格起動:再生と破壊の神、シヴァ」
するとトキの体を赤黒い刺青が走り、きれいな黒髪を真っ白に染め、インド神の壁画に書かれたたようなシヴァの服に代わる。
鍛え抜かれた四肢は破壊神にもかかわらず、美の女神のように天使たちを魅了する。
「開眼:第三の目」
トキの背後の空間に亀裂が入ったと思うと、それはゆっくりと開く。
そのに見えるのは巨大な、目玉。
「薙ぎ払え!」
そして、目玉からでは光線は昨日の2500万を超える天使の軍勢の8割を焼き尽くす。
その光線に一部は天使を送り出すゲートのプロテクトを破り、内部にいる天使や召喚士を焼く。
「ぎゃああああああああ」
「ぐああああああああああ」
「な、なぜ、手父上のプロテクトがあああああああ」
その声に、トキもタケミカヅチも顔をしかめた。
「・・・アルテミスに、アレス、アポロの声?」
「おいおい、やってくれるじゃないか。タケミカヅチ」
タケミカヅチはこの襲撃にいやな予感がした。
そしてその声にいやな予感が当たったことが証明された。
「なぜ、あなたが私の与えられた星を狙うのですか・・・」
タケミカヅチは怒り、その放雷によって残る天使が全滅する。
放雷の一部は声を掛けた人物の元にも届くが、それは彼が自らの神格を使って生み出した雷によって相殺された。
「いい雷だ」
「・・・ギリシャ神話:最高神ゼウス!」




