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闇の亡霊

「あれから20年経ったか」


「早かったな」


「だが長かったとも言える。

それに…結局二人とも死んでしまったんだからな」


「あぁ家に骨が送られてきたときは驚いたと言うよりも言葉を失った。

ショックだったよ。

唯一の良かったのはその送られてきた骨の入っていた箱を妻が開かなかったことだな」


「俺もそう思うよ。

あの事件の後すぐに生まれた子供も二十歳だ。

優太のことは話したのか?」


「一応話した。

同様はしていたな。

ただいつまでも話さないわけにはいかないからな。

それにしても犯人は随分と立派なことをしてくれたもんだな」


「そうだな。

不正で警察が踏み込んだ時には既にいなかった。

そしてそこには様々な拷問道具があった。

だが、外国に高飛びしたはいいが子供を殺された恨みで自分まで罪を償う前に殺されてしまったんだからな」


「結局俺らは何も知らずじまいさ」


三井と前川は酒を飲んで話していた。

二人とも20年が経ち経済界の重鎮と言われるようになり社会的にはかなり高い立場にいた。

しかし二人の心の中にはずっと子供のことがつっかえていた。


「三井、知っているか?」


「何を?」


「噂だよ。

あの遊園地は俺らが買っただろう?」


裏野ランドは閉園になるとわかりさらに優太と恭平が殺されたとわかると二人は金を出し合って購入したのだ。

以来時々訪れていた。


「そうだな。

今年もそろそろだな」


「二人の命日か。

よく分かったよな。

なんとか資料が出てしてくれて良かったよ。

死んだ日くらいはせめて知っておきたいからな」


「それで前川、お前は何が言いたいんだ?

いつもはスッと言うお前が回りくどく言うのは珍しいな」


「あくまで噂の範囲として聞いてくれ。

あの遊園地は有名な心霊スポットなんだ。

そこの観覧車で聞こえるらしいんだよ。

もちろんドリームキャッスルもなんだが。


子供の声でお父さん遊ぼう…って言うらしいんだ。

今度行かないか?

俺には優太にしか感じられないんだよ。


あの子と最後に乗ったアトラクションが観覧車だったからな。


あの子が待っているのかもしれない」


「俺にはわからないかもな。

でも会いに行ったほうがいいと思う。

たた問題かあるとすれば、あの遊園地に勝手に入って肝試ししてる連中だな」


「俺らは別に入ることに関しては何も言っていないけど、さすがにその時にそこにいられるのは嫌だな」


二人は酒を飲み進めていた。

いつも以上に…それだけ気持ちが、思いが、こもっているのだろう。


「前川、俺は明日空いてるがそこで行かないか?」


「奇遇だな。

俺も明日空いてる」


「前川、お前絶対に空いてるって言うつもりだっただろう?」


「それは否定しない。

だが、明日休みなのは本当だ。

事実、明日はのんびりする予定だったからな」


「まぁ前川がそう言うなら問題ないか。

時間は夜だな。

そうだな…8時頃はどうだ?」


「悪くない。

行こうか。

明日の8時に。

優太に会いに、恭平くんに会いに」



次回で最終話です。

本当はこれで終わらせるつもりだったんですが、キリが良かったので分けました。

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