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性癖全開!キャンティマロン~◎セイシをかけて、勝手に戦え!◎~  作者: 石鬼 輪たつ
第2章 VS.マ・ラ 双成町・バキバキ通り編
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エピローグ 血と肉と愛をまとう、戦士たれ!

 ねむりの中で見る荒唐こうとう無稽むけいな夢のほうが、理不尽な現実リアルよりもずっと心地ここちよいと感じるときがある。


 ている服やシーツにこすれるときの不快感のほうが、人間じんかんれ合うよりもずっと気楽だと思う。


 底冷そこびえしていても、誰かからややかに笑われるよりもずっとマシだ。


 ……そうだとしても、目を覚まさなければいけない。

 現実このまちこそ、自分がいちばんかがやける場所なのだから。



 青年は覚醒かくせいする。


 朝日あさひが目をくような、日当たりのよい窓際まどぎわに、ゆっくりと。

 自身をつつんだじゅんな白色のベッドが確認できる。


 ただ、目の前は通常の楕円形だえんけいではなく、爪楊枝つまようじでいくつもあなを開けたという状態。


 ――使()()()()()視界。


 そう気づいた青年に、顔の上のかぶりものは、自身が『商店しょうてん戦士せんしトリニティ』だとあらためて自覚させる。



「ここ、びょう、いんか……?」



 トリニティはかぼそい声を発する。

 のどかわきのせいでうまくしゃべることができない。


 声はどこのだれに向かってのものでもなかったが、()()――ベッドの中から人影ひとかげかび上がる。



「えんじ? ……園治えんじぃ!」



 トリニティの声に反応したのか。

 次に人影は大声でさけび、いきなり彼へ飛びかかってきた。


 人影は、真っ赤な子どもと茶色っぽい子ども。

 もちろんそのような特徴が人間ホモ・サピエンス一類いちるいにあるはずもない。


 ヒト型の地球外生命体。

 どのような因果いんががあって地球にたどり着いたのか知れないが、その2人を知る者は「アルウゥス」、「セーメンティス」とそれぞれを呼称した。



「ああ……よかった。全部、終わったんだな」



 トリニティは遠いむかしをなつかしむように言う。


 もっとも、()()()()()()上において、その言葉ははっきりと間違まちがっている。



 ◆



 日本はぼう県、虚幌須うろぼろす市。


 そのかたちは「地図上に浮かぶグラマラスな妊婦にんぷ」にたとえられる。


 トリニティが入院しているのは、妊婦の腹部にあたる厘月りんげつ町の南、市立中央病院だ。

 地方といえども1日に数百人がおとずれる、現代文明のホットスポットに相違ちがいない。


 ただし、今は――町中で、()()()()()()()あばれ回ったあとだ。


 病院はどこもかしこもおおいそがしの喧騒けんそうていし、変態のつどいなどという些末事さまつじにはかまっていられなかった。

 というより、できれば関わりたくなかった。


 そうだとわかりきって、アルウゥスがひとつの説明をする。



「あの日、『界物種かいぶつしゅ』をたおしてから、ボクたちは園治えんじをすぐにテラ・ケルの『ふね』に運んだんだ。それから……()()()園治えんじの細胞で、セーメンティスが()()()()()臓器を作って、お腹の中に移植いしょくしたの。病院にはそのあと連れてきて……」



 トリニティはそれを聞いて、すなおに自身にかかったシーツをめくり、上着うわぎのすそをまくってみる。


 異常だがけんじょう異なる肉(アルウゥス)色のカサブタが腹にあるだけで、大きなきずのひとつとして見当たらない。


 少しめまいがした。

 トリニティはどんな言葉をかけるのが適当てきとうか、少し考えて、「ありがとな。世話をかけた」と言った。


 2人の説明はトリニティだけでなく、病室にいる他の患者にも聞こえてしまったが、どうせ何を話しているかわからないだろう。

 わかったところで、もう過ぎた話だ。


 それに、これからさらに意味不明だろう話が聞こえてくることになる。



「とりあえず……終わったことをいてもしかたない。けど、俺にはお前の真意を知ってこれからのことを考える責任がある。なあ、セーメンティス?」



 トリニティが遠回とおまわしな言葉選びをしたのは、きっと仕返しかえしだった。


 それだけでセーメンティスは表情をくもらせ、目を伏せる。


 だが、あどけない小さな口は態度にはんして、真摯しんしに言葉をつむごうとしてひらいた。



「……ごめん、なさい」


あやまるのはあとだ。まずは教えてくれ、お前が何をしたかったのか。……なんで謝らないといけないか、お前がちゃんとわかってないと意味がないからな」



 たしなめる口調のトリニティは、明るいまどの外にぼうっと目をる。


 晴天下せいてんか

 ひしゃげた高層ビル。

 たいらにならされた住宅地。

 けただれた公園の遊具。


 町中まちなかの水路も、津羅海づらかいから流れ出た血液けつえきめいた赤黒い液体と混ざって、きたならしい。


 町をあるく人も、車に乗った人も、ほとんどが景色から目をそむけていた。


 セーメンティスは下(くちびる)む。

 トリニティのにわとりマスクをまっすぐ見すえると、それをほどいた。



「セーは、トリニティにども、産ませたかった。『界物かいぶつしゅ』(マジカルパウアー)、持った仔ども」


「そりゃ……ハハッ。わりぃ、バカみてえな話なのに、あんま違和感いわかんかんじてない自分に笑っちまった。あれか、俺のはらにある()()()()()()()()で、勝手に子宮しきゅうでも作ってたとか?」


「そう、最初、セーの手とったとき」


「マジで?」



 トリニティがおどろいたようすで確認しても、首謀しゅぼう者は真面目なのかおましなのか顔色ひとつ変えずに首肯しゅこうする。


 トリニティは当該の記憶をさぐってみる。


 セーメンティスが示したのは、昨年10月下旬、清栗きよくり駅に出没しゅつぼつした巨大クジャクと交戦した際のことだ。



(確かに……セーメンティスが力を使った後、腹がされたみたいに痛かった。そのときに?)


「セーは、まだオスだから。子宮しきゅう使えない。使えたと、しても、マジカルパウアー使えなくなる、かも。困る……だから、トリニティにした」


「あのさ! ボクたちはずっと……その、マ・ラが、『界物種かいぶつしゅ』マジカルパウアーを手に入れたくてセーメンティスの力を利用してたと思ってて。違う、の?」


「違う。セーが、考えた。全部、セーのため」



 アルウゥスがおずおず差し出した疑問を、セーメンティスは強い口調でもって正面粉砕(ふんさい)する。



「セーが、マ・ラにたのんだ、セーの頼みはマ・ラの頼みってことにする(と)。マ・ラが考えたこと、後継生物こうけいせいぶつみんな手伝う。トリニティ、セーうたがわない。うまくいって『界物種かいぶつしゅ』産まれたら、マ・ラもうれしい。天才のひらめき!」



 ところが、現実はセーメンティスの目論見もくろみ通りにならなかった。


 その場にいる誰がかずとも、セーメンティスは自身に向けられる疑念に答えを明示めいじした。



「……でも、マ・ラ、裏切った。セーのちから、強すぎる、やりすぎるともの()()()()。マジカルパウアーだけじゃない、全部、おかしくなる。のに……マ・ラ、知ってた。なのに。セーは、わからない」


(セーメンティスの言うことが本当だとして。マ・ラの目的はなんだ? 人間を自分のものに、みてえなこと言ってたが、結局『界物種あいつ』を制御せいぎょできてなかったじゃねえか。しかも暴走させるなんて(あんな)やり方……セーメンティスの信用が無くなるだけだろ。やっぱ他に事情が……?)



 思いなやむセーメンティスにつられ、トリニティもうたがいの牢獄ろうごくにとらわれそうになる。


 それでは話が進まないと、さっしたアルウゥスから問いかけがなされる。



「そもそも……なんでセーメンティスは、『界物種』(マジカルパウアー)なんかを、生み出そうとしたの……?」


「……()()()()()


「おいッ、マ・ラの件はともかく、お前の目的がわからないなんてそんなことッ」



 至極しごくとうなツッコミを入れるトリニティ。


 同時に、彼の精神はすぐにも、のうのニューロンを媒介ばいかいし、どうにか納得なっとくのいく答えを自分勝手につくり出そうとしていた。


 それはセーメンティスという、1人の子どもの見ている世界を知っているから。


 「遺伝子いでんしではない、自身があやつれないものはいらない」と考える彼のことだ。

 「界物種かいぶつしゅ」を作るという目的が、マジカルパウアーを使って1人実験をするうちに、標的ひょうてき物を作ることができるという事実の前に()()()()()()()()()()()()()()のだろう。


 だから代わりに、自身で自身を説得せっとくする言いわけを考えるほうが適当てきとうだと、このときトリニティの経験則けいけんそくが判断を下していた。


 しかし――、



「わからない。でも、()()()()()()は……みとめて、ほしかった、のかも? ママ――ちがう。()()()()()()()は、(アルウゥスたちの人類種が)オスからメスになる、くしたかった。『ものとして欠陥けっかん』、だからって。無くせる後継生物、自分でみたかった。でも、セー産まれた」


「あの人、そんなこと考えて……いや、でもセーメンティスならッ」


「できない。セーは、1体(ひとつ)ずつしか、ちから使えない。しゅは、まるごと変える、できない。存在そんざいしない遺伝子入れる、のも、できない。……セーは、メルケース博士の願い、()()()()()()()()()。だから、『界物種かいぶつしゅ』使うの、思いついた。それで願い、()()()()()()()



 セーメンティスは語った。

 自身の言葉で、自身の気持ちを。


 ただし念押ねんおしとばかりに「――そう思う。でも、わからない」と、きっぱり言った。


 トリニティは放心ほうしん状態となり、今しがた聞いた内容を精査せいさする気すら起こらなくなる。


 アルウゥスも似たような感情を覚えているらしい顔つきになっている。



「思う、か。なんつうか、もう、それだけでいい。要するに気持ちは変わったってことだろ? そうやって反省できてるんなら、後はどうとでもなるさ」


「……そうだね。やっと、セーメンティスの考えてること、わかった気がする。――でもッ、やっぱり今まで聞いてても、納得なっとくいかないよ。(第二みもみじ)商店街でボクと会うまで、園治えんじ()()()()()()()のを手伝ってたんでしょ……? セーメンティスが『界物種かいぶつしゅ』の実験のためにやってたことは、まだわかるよ。でも……なんで『トリニティ』にそんなことッ」 


「ん? なぜアルウゥスは、殺した、知ってる? HCC(エッチシーシー)、探知しないはず」


「ペルウィアに聞いたよ。それから町の人にも……園治えんじと戦ったとき、やっぱりそうなんだって確信した。あと、『探知たんちしないはず』って、どういうこと……」



 取りみだすアルウゥス。


 セーメンティスに会ったら、すぐにも間近まじかいただしてやるつもりだったのだ。


 そのような静かだが揺るぎない憤りの感情を受けて、セーメンティスはひるみつつも答える。



「殺したのは、仔ども、早く大きくするため。トリニティに、力使う必要あった、でも、やりすぎる、『テュポーン(あのこ)』みたいになる。……それで、『()()()()()()()()()()()()()、使った。トリニティ戦う、セーがちから使うなら、ちょうどいい」



 言葉を受け、トリニティとアルウゥスの脳裡のうりに示し合わせたように、とある映像がフラッシュバックする。


 マ・ラの棲処すみかだという情報をたよりに訪れた場所の1つ「鈴ノ口(すずのくち)鍾乳洞しょうにゅうどう」、その奥――ペルウィアの「ワームホール」がなければ地上から行けなかった――で見つけた、生き物の()()()だ。



(もしかするとマ・ラが棲処すみかを変えた後、セーメンティスはあの場所を『界物種かいぶつしゅ』の実験に使っていたのか……)



 しかし、今のアルウゥスにとって重要な事柄ことがらは他にある。



「そっか。つまり、子宮にいるどもを少しずつ成長させるために、戦闘せんとうにかこつけて園治えんじにマジカルパウアーを使いたかったってこと? そのために、戦う力もない仔たちを犠牲ぎせいにしてたの?」


「……そう。だから、『()()』は殺してない。安心して?」


「違うよッ……セーメンティス。きずつけていい命なんてないんだよ! どんな理由があったって。だから、園治えんじもボクも戦ったり守ったりするんだ。君は誰よりも生き物(いのち)かたちを知ってると思う……その大事さを、知ってほしい。園治えんじだって、そう思ってるよ」



 アルウゥスがうながす。


 トリニティはそばに座る、赤褐あかちゃ色の子どもの髪を手で撫でつける。



「んなの、知ってるよな? 俺を助けてくれたとき、お前が感じてたことがそっくりそのまま答えだってさ。わからなくなったときは、それを思い出せばいい」



 トリニティの手の自分勝手な強さに、セーメンティスは辟易へきえきするものと思ったが。

 どうしてなつっこい猫のように、彼の手に頭をこすりつけてくる。



「……わかった。セーは、命、大事にする。アルウゥス……ごめんなさい」


「うん。命は大事に、約束やくそくだよ。自分のものも、ね」



 アルウゥスは言うと、対面するセーメンティスの手をぎゅっとにぎる。

 自身の中に滞留たいりゅうしていたモヤを、やっと晴らせたという安心感を、表情にやわらかく広げながら。



 ◆



「はあああぁ……ちょっとはなし過ぎたな。み上がりにはこたえる」


「あはは。ごめんね、てんこもりで。園治えんじが休んでるあいだ、みんなそれどころじゃなかったから……」


「てんこもり、ねえ。俺からしたら、そりゃこれからだ」



 自身が入院患者であることを忘れかけていたトリニティは、体力の少しおとろえたからだをベッドに芯まであずける。

 疲れがいっきに波と流れ込んできた。


 多くの懸念けねんをともなって。


 行方ゆくえ不明となったマ・ラの捜索そうさく

 残党ざんとう後継生物の捕獲ほかく

 保護犬の里親さとおや探し。

 不法ふほう投棄とうきゴミの処理と注意喚起(かんき)


 列挙れっきょすると、やはりトリニティがみずから問題をやしているようにすら見えてしまう。


 だが、けっして違う。

 これらはトリニティが後継生物こうけいせいぶつとの戦いの日々を通じて、明らかにした「虚幌須市このまちの問題」なのだ。



(地球のヒーロー、なんて言っちまったけど……ハハ、まだまだそれどころじゃねえな)



 自虐じぎゃく的に笑いながらも、不安がつのるばかりのトリニティ。


 彼の心境しんきょうを察してかどうか、当事者である後継生物の可愛かわいらしいオスたちも同情するように笑みを浮かべる。


 ふと、時刻を確認しようとトリニティがスマホを探し始める。

 彼は窓辺まどべでややホコリをかぶっていたスマホを手に取り、中身を確認する。


 すると、メッセージアプリから大量の通知が届いていた。


 直近の送り主の名は「羊備洲ようびす くくる」と表示されており、



『おはようございます! もうお体はよくなりましたか?』


『前に言ってたネット新聞、やっと明日トリニティさんのインタビュー記事が載ります!(ノ*>∀<)ノイエーイ♪』


『きっとすごい話題になりますよ!』


『また会いたいです……』



 そのような内容だ。

 最後のメッセージの前に、何かひとつメッセージを削除さくじょしたことが告知されている。


 だが、トリニティの注目した点は別にあった!



「くくる……新聞、インタビュー記事……そうかッ、その手があった!」



 うるさい声を上げ、ガッツポーズをとるトリニティ。


 何がそんなに面白いのか。

 わけもわかぬ2人は怪訝けげんな顔を合わせ、やっぱり我慢できないといったふうき出しておだかに笑った。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 冬の寒さがいっそうきびしくなる。

 しかし、それは浪漫ろまんにあふれた春への助走だ。


 虚幌須うろぼろす市は、双成そうせい清栗(きよくり)

 とある高校の、新聞部の採光さいこうものりない薄暗うすぐらい室内にこもり、羊備洲ようびす くくるは熱心な作業へと打ち込んでいる。


 子ども2人でも丸呑まるのみしたのかと思うほどふくらんだ超乳ちょうにゅうを、PCとキーボードを打つ手との間にはさみ込み、背中を丸めた格好。


 はた目には、超乳の下乳したちちがタイピングしていると勘違かんちがいしてしまうだろう。



「できたッ!」



 果実かじつをしぼったように瑞々(みずみず)しいかけ声を発する。


 くくるの前のPC画面には文書ぶんしょ作成ソフトが立ち上がり、新聞部なのだから当然、新聞記事を作成している。

 「トリニティインタビュー 改訂版かいていばん」と、名のついた記事。



 当事者たちの思いつきで、予定通り高校が運営するWEB(ウェブ)サイト上に掲載けいさいされたはずの『商店戦士トリニティ』の記事は一度削除された。


 たった今くくるの仕上げたものが、翌日、新顔しんがおぶってサイトに載せられた。



 場所はうつり、清栗きよくり駅北口にほど近い小綺麗こぎれいなアパート、その一室。



「何してるの、園治えんじ?」



 部屋着へやぎのアルウゥスが気さくを装った声で、リビングにいる同居人の、にわとりマスクの変態へ近づく。


 テーブルの前についた彼はA3サイズの紙を広げ、その上で何かハサミを使った工作をしている。


 見ると、紙は彼がこれまで使用してきた()()()()()だ。


 そしてハサミで切っているのは、印刷したくくるの新聞記事の一部。

 どんな内容だろう?



『正義の味方・キャンティマロンあらわる! 巨大生物見かけたときはすぐ通報』


 それは真っ赤なふのビッグなヒーローが写った1枚。

 特撮とくさつ顔負けのジャンプキックを海上にみまっている、スマホ特有のたて長サイズをしている。



『この子犬たちが家族を求めています。里親さとおや大募集中!』


 それはトリニティが子犬を花束はなたばのようにいたワンダフルな1枚。

 はなんとも作り物くさい。



『ゴミは自然にかえりません 人のゴミ、しまつも人の手で』


 それは森林の中、不法投棄されたゴミの山をった1枚。

 なぜかにわとりマスクもその中にまぎれ込んでいる。

 小さいながらも目立つ赤い文字で、法規制においてゴミの不法投棄が違法いほうであること、罰則ばっそくの内容について記載きさいがある。



「えっ! どうしたの。なんかごちゃごちゃしてるよ?」



 アルウゥスの指摘してきを無視して、鶏マスクは切り出した記事を宣伝チラシの上にペタペタとり付けてしまう。


 元あったオリジナルグッズの紹介や、制作ドラマのあらすじが記事によって隠された。



「ハハ! ごちゃごちゃしてるな。そんで、こいつ何やってるやつなんだろって気になって、『トリニティ』に興味もってくれたら……()()()()だろッ!」



 彼はただ、自信満々(まんまん)と言う。


 アルウゥスは気恥きはずかしさと、少しの憧憬しょうけいを覚えて、ぎこちなく口角を上げた。



「そうだね……」



 そのとき――スマホから着信音が鳴りひびく! 


 これまで使用してきたのんきな着メロではない。


 その用途のためだけの専用曲。

 かつてどこかの少年があこがれた特撮ヒーロー、そのドラマ主題歌だ。


 にわとりマスクが電話に出る。


 スピーカーからは切迫せっぱくした声。

 『助けて』としきりに訴えてくる。

 その奥では、緊張きんちょうした現場に場違ばちがいなマ・ラ語尾(異星なまり)が聞こえた。



「ああ……で、場所は? 厘月りんげつ町の、百貨店か。わかった。すぐに向かう」



 電話相手を安心させる言葉もなく、電話を切った。


 すると、アルウゥスが颯爽さっそう玄関げんかんのほうに歩き出す。


 真っ赤なかみたばねる2つのオレンジの髪飾りが、大きく上下にれる。


 けれども、後方から追いかける足音は聞こえてこない。



「どうかした?」



 アルウゥスの問いかけに応じて、ふぅ……と大きなため息がひとつ。


 先ほどは余裕よゆうの態度を演じていただけで、実際には大きな手がふるえている。



「悪い。一発目だから、なんか緊張しちまって……」


「大丈夫だよ、ボクたちなら。さっ、行こう! たたかいに!」



 素直でまっすぐないざないが、特効薬とっこうやくのようにすっと不安感をなくしてしまう。



「ああ……そうだな。いくぞ!」



 あとにはほのおと燃えさかる、闘争とうそうしんだけが残る。


 にわとりマスクのそばを飛ぶ巨大バエのしりが、びゅんと視界から消えたかと思った瞬間――、



 彼のアイデンティティを、アルウゥス色がおおった。


 そしてさらに「大いなるポテンティア」を、彼にさずける。


 たたかえ!



変身へんしんッ! キャンティマロン!」





『性癖全開!キャンティマロン』 ひとまず完ッ!









新章 VS.セーメンティス


めかし町 三美湖さんびこ編 

「むわぁっ♡かおおとこと三美湖と」

鋭意制作中!


ご期待ください!

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