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性癖全開!キャンティマロン~◎セイシをかけて、勝手に戦え!◎~  作者: 石鬼 輪たつ
第2章 VS.マ・ラ 双成町・鈴ノ口鍾乳洞編
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第39話  摩(羅)窟の真実

 空間歪曲移動ワープした先にはやみが続いていた。


 いな……それが闇であるのか、闇すらもない虚無きょむの中なのかすらトリニティたちには判断つかない。


 視界の一面を黒が支配する。



「おい……アルウゥス、大丈夫か? やわらかい?」


「う、うん……えへへ。園治えんじ、その怖いのはわかるけど、急にきつかれると……ッ!」



 「ワームホール」は、平成お色気いろけマンガ時空にでもつながっているのか。


 ありえない。

 目を覚ませと、爆発的閃光(せんこう)が起こる! 


 ペルウィアの手元からの光だ。

 懐中かいちゅう電灯か何かをけたのだろう。


 光が闇を打ち消す。


 また、トリニティとアルウゥスの間で巨大バエのマジモスがセクシャルにはさまっている姿があばかれる。



「「うわあッ!」」



 マジモスの豊満な肉体に驚く2人。


 さらに光は目前、ナゾの()()()をもあばき出していた!



「「ぶうわあああああッッ!」」


「フフッ、無様ぶざまネ。あとうるさい」



 失笑するペルウィア。

 光を手に、骨の山へとずかずか近寄ちかよる。


 ぐるり1回転し、この場所を判明させる。



 ――――

 闇の中、浮かび上がったのは鍾乳洞しょうにゅうどうの風景だ。


 巨大な岩々の隙間すきまに、乳白色の柱が立っている。


 天井からしみ出したのだろう、水滴すいてき一粒ひとつぶ一粒とゆっくり落ちる。


 その下に、地面からえたような形の鍾乳石しょうにゅうせきがするどく、鉱物をふくむしずくを受け止めていた。


 また、トリニティたちのいる場所から少し離れた岩場いわばの先。

 ()()()、とややいきおいのある音が聞こえる。


 見ると、はば約1メートルほどの水の流れがあった。


 おそらく、地上の雨を土地が長年ろ過してできた()()()()だろう。

 ――――



 天然てんねんの鍾乳石と地下水ちかすいが作り出す、力強い自然景しぜんけい


 それは、先に通った鈴ノ口(すずのくち)鍾乳洞しょうにゅうどうの人工照明によるライトアップではありえない、美しさをもっている。


 ただし、この場所はやはり観光地かんこうちとして、整備せいびされてはいないらしかった。



人間ニンゲンのノリに乗って『突破口ブレークスルー』とか言っちゃったケド、実は『糸口ヒント』くらいのものネ」


「そりゃ俺のせいなのか?」


「そう。だからたいした話じゃないし、巻きで行くワ」



 覇気はきのない声で返事すると、ペルウィアは早口で語り始める。



「もう察してると思うケド、ここは鍾乳洞しょうにゅうどうのもっと深いところ。()()()から、HCC(エッチシーシー)がこの場所で()()()()()()()()()()()()()をいくつも探知してた。ただ数が多すぎて、アルウゥス1人でたたかえる見込みこみがなかったし、が来るまで待つつもりだったノ」


「登録がない……ってことは、ペルウィアがHCC(エッチシーシー)を(母星から地球へ)持ってきた時点でまだいなかった――」


「そう。たぶん、『()()()()()()()()』ってやつネ」



 アルウゥスの疑念を、ペルウィアがりっぱな推測に仕立したて上げる。


 彼は、骨の山の中から鳥類ちょうるい指骨しこつらしき骨を手にとって、もてあそんだ。


 よくよく観察してみると、骨の山にみ重なっている遺骨いこつは種族・部位・大きさも関係ない、乱雑らんざつなパズルの様相ようそうていしている。


 中には()()()()()……とは言い過ぎかもしれないが、形状不確(ふたし)かな骨(もしくは結石けっせき?)すら混ざっていた。



「結局この状況からして、すでに逃げられた後だと思う。しかたないことネ。問題はここがどういう場所だったのか? ワタシは、マ・ラの()()()()()()()――繁殖場はんしょくじょうだったと考えているノ」


繁殖場はんしょくじょう? マ・ラがここで、地球の生物いきもの()()()()ってことかッ?」


「ヤッてた、とは仔作こづくりのこと?」


「ああそうだよ! にごして悪かったな!」



 事実確認をしたかったに過ぎないトリニティをからかい、ペルウィアは愉快ゆかいそうに笑う。



「それは変だよ……ク・コロは、マ・ラの居場所は鍾乳洞しょうにゅうどうだ、って言ってたんだよ! もしここが繁殖場ゼミナーリウムだとしたら『居場所いばしょ』なんて言い方はしないと思う」



 アルウゥスが指摘する。


 居場所と聞けば通常、住まいを連想れんそうするし、トリニティたちもそうだった。


 ではク・コロが虚偽きょぎを言ったと仮定しても、目的はほとんど無意味な時間(かせ)ぎしか思いつかない。


 相手は後継生物とはいえ、はたしていたずらに撹乱かくらんなどするだろうか?



「居場所と言ったノ? ク・コロが? ……あれはダメネ。アルウゥス、去年2月にク・コロがマジカルパウアーを使っていたでしょ」


「う、うん。隕石いんせいるために、って言ってたよ」


「そう。つまり、それ以前にマ・ラのもとをはなれたということヨ。そして一度も戻らなかった……」



 ペルウィアのふくみをもった言い回し。


 そしてすべてを言う前に、アルウゥスは意図いとんで言葉を返した。



「……そっか。マ・ラとク・コロが一緒にいたころは鍾乳洞ここで暮らしてて、ク・コロが離れた後に棲処すみかうつしたとしたら、何も間違ってない。ただ(ク・コロの)情報がふるかっただけなんだ!」


「そうネ。そして最近まで、ないしは今も、鍾乳洞ここは後継生物をやす繁殖場となっている」


「……話がなげえ。つまり、ここに()()()()()()()し、しに戻っただけってことだろ」



 宇宙人型後継生物たちの考察たわむれにしびれを切らし、トリニティが言及してしまう。


 最終章。

 宿敵しゅくてきの本拠地への旅に始まり、仲間同士の衝突しょうとつと和解、事態解決へ。


 物語ものがたりであれば、様式美ようしきびのクライマックスにいたるお膳立ぜんだては、完璧かんぺきだったはずだ。


 にもかかわらず! 宿敵不在(ふざい)! 

 収獲しゅうかくなし! 


 一同は鍾乳洞を観光しただけに終わったのだ……。



 ◆



「っつか、今さらながら、ホントにHCC(エッチシーシー)でマ・ラの居場所はわからんものなのか? あいつが地球に来てから、もう相当そうとうな数の後継生物をつくってるはずだろ。……って、こんな血眼ちまなこになってさがしてる時点で、無理だってのはわかってるけどさ」


「あのさぁ、ついさっき『考えるのが人間の作法』とかかしてたのはトリニティ(ニンゲン)よネ……。どのつら下げてそんなこと言ってるんだか」



 無力感をまぎらわせようとしただけだろう。

 しかし、トリニティの軽率けいそつな一言は、的確にペルウィアをいらだたせる。


 トンチキなそのやりとりを聞いて、アルウゥスは愛想あいそ笑いをしつつもトリニティへ誠意せいいめかして答えた。



「アハハ……えっとね、前に話したかもしれないけど、マ・ラのマジカルパウアー『万能生殖能』は、存在しない()()()()()()()()()()なんだ。異種いしゅのメスと交配こうはいしてをなすもの、じゃなくて」


「んあ? そうなのか? 生み出す力、だ、とすると……そうか。ク・コロと同じ『()()()()』の力ってことになるのか」


「うん。もし『万能生殖能』が、『()()()()()()』の力だったら、づくりのたびに居場所をHCC(エッチシーシー)が感知できるはずなんだけど」



 説明をいても、トリニティの思考には認識できるほどの引っかかりが残っていた。



(いや。マ・ラの力が()()()()を作るモンだったとして、HCC(エッチシーシー)で見つけられない理由とは関係なくないか……)


「……マ・ラはね、生まれてはじめてマジカルパウアーを使ってから、これまで()()()力を使ってないんだ。力が、彼の生殖器せいしょくきそのものだから」


「ああ、そういうことか……」


 

 トリニティは理解する。


 マ・ラのマジカルパウアーとは、異能の行使にあらず、「無頭症むとうしょう」によって生殖を全うできなかった彼を「()()()()()()()()()()であったのだと。


 HCC(エッチシーシー)は、言うなれば「オス」の役割も果たすことなく、高揚こうよう感のためだけに精子を使い捨てにする者たちをあぶり出す装置に過ぎない。

 そのような装置が、マ・ラという正真しょうしん正銘しょうめいの「オス」の仕事ぶりをとらえることなど、できないのだ。



「マ・ラはいつも、あらがいがたいほど強い繁殖はんしょくよくに襲われている。深刻な『マジカル症』のせいで。だから……本当の意味で、マジカルパウアーの()()()()()()はマ・ラなんだ。ボクの勝手な意見だけど」


「そんなことないワ」



 結論に納得がいかなかったのか、ペルウィアが冷淡な声をり込ませた。



「マ・ラは、をなすことを何よりもの生きがいだと思ってる。たとえそれがマジカルパウアーの作り出す、幻覚的なよろこびだとしても。じゃないと、ワタシたちから逃げ回ってでも後継生物こうけいせいぶつをつくり続ける意味がわからないでしょ?」



 声に、トリニティとアルウゥスは2人そろって顔を向ける。


 光源の黄色い光をびて、やや小豆あずき色めいたはだ色。

 ペルウィアの表情は、あやしくも自信満々としたようすに見えた。



あきらめるのはまだ早いワ!」

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