第十一話 『人物相関図』
チャイムのあとに続いて、放送部のアナウンスが流れる。
『最終下校時刻、十分前となりました。校内で文化祭の準備を続けたい生徒は、担任の先生から居残りの許可を頂いてください。もう一度お知らせします……』
「あら、もうそんな時間なのね。私は先生から許可をもらってくるわ。会議はまだまだ続けるんでしょう?」
南に聞かれ、東山は「はい……」と答えた。
脚本の進捗具合がこれでは、帰りますなどと言えるわけがない。
それに、南と北川の誤解も解かなければならないのだ。
「じゃ、俺はこれで帰るとするよ。あとはよろしく」
「え? ちょ、待ってよ。最後までつきあってくれるんじゃなかったの?」
「そのつもりだったんだがな。どうしても無理な理由ができたんだ」
「なんだよ、理由って」
「なんかもう飽きたんだ」
「いっそうらやましいよ。そのフリーダムな精神のあり方は」
「まあいいじゃねえか。俺のかわりに北川がいてくれるんだから。だろ?」
西野に言われ、北川は少し戸惑いつつも小さくうなずいた。
「そういうわけだ。あとは若い二人にまかせる。はっはっは!」
西野は通学鞄をかつぎ、教室から出ていった。
「それじゃ私は職員室に行ってくるわ」
南は東山と北川を交互に見ると、がんばってねと言って教室を去った。
「ったく、なんなんだよ、あの二人は……」
東山は今日で何度目なのかすらわからないため息をついた。
「ごめんね、東山君。やっぱり、私が来たのって、迷惑だった?」
「へ? いやいや、全然そんなことないよ。そんなことない、けど……」
けど? と北川が聞き返す。
「あー……、いや。やっぱなんでもないよ。うん」
そう、と北川は言う。
正直なところ、東山は北川と二人きりになることに抵抗があった。
友人である西野、。
その友人である南。
そしてその友人である北川。
ということで、どんなふうに人間関係的な距離感を持てばいいのかわからないのである。
それに加えて、北川は南以外のクラスメイトとほとんど関わることがなく、いつもミステリアスと言うか、ダークというか、そんな雰囲気をまとっていた。
そういったところも、東山に若干の苦手意識を持たせていた。
北川さんってきれいな顔してるんだから、もっと笑ったりすればいいのに。




