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第1話 幼女は最古の魔女

 俺は校舎裏に雪島(ゆきしま)レイを呼びだす。俺は来てくれるのか不安いっぱいで待つ。しばらくすると雪島レイがやって来る。

 「萩原、何の用事。教室で言えないの。」「雪島さん、好きです。付き合ってください。」「ごめんなさい。」

俺は膝をつく。雪島はその場から逃げるように去っていく。


 「翼、ボーッとしてどうしたんだ。」「告白のシミュレーションをしていたんだ。」

 「校舎裏に呼び出して成功したか。」「ふられた。なぜ校舎裏と分かるんだ。」

 「翼は発想が単純だからな。」「悪かったな。」

俺は萩原翼(はぎわらつばさ)、桜木高校1年3組だ。話していたのは伊能高志(いのうたかし)、幼馴染(腐れ縁)でいつも同じクラスだ。

 「雪島レイと付き合いたいのなら、その小太りを治さなくてはいけないな。」「ぽっちゃりと言え。」

 「あいつは筋肉フェチだぞ。」「俺の初恋の娘を変態にするな。」

 「攻略法を教えているんだ。」「俺でも付き合ってもらえるのか。」

 「今のままだはだめだ。そのたるんだ体では見向きもされないだろう。」「むー、ぽっちゃりだからな。」

 「体を鍛えて、間食をやめろ。」「俺からポテチやカップ麺を取り上げるのか。」

 「カップ麺を間食で食べているのか。太るに決まっているだろ。」「野球部の太田は夜食を食べているぞ。」

 「太田は運動しているからいいだろ。翼は何か運動しているのか。」「ダンジョンで戦っているぞ。」

 「ゲームのキャラが戦っているな。」「俺の分身だ。」

 「少しは筋トレでも始めたらどうだ。」「考えてみる。」

俺は帰宅部で家ではゲームを楽しんでいることが多い。ゲームをすると当然小腹がすく、ポテチやカップ麺を食べて何が悪い。

 でも、雪島が振り向いてくれるのなら、多少の運動をしなければならない。間食も量を減らそう。

 放課後、高志はどこかに行ってしまった。情報通の彼は努力を惜しまない。将来はゴシップ記者になるつもりなのだろうか。

 俺は一人で帰宅して。両親は仕事で遅いので一人で過ごす。制服から部屋着に着替えると制服はきちんとクローゼットに入れる。これでも部屋をきれいに使っている。

 クローゼットを開けると奥の壁がおかしい。俺は一度クローゼットを閉めて深呼吸をする。見間違いに違いない。そして、開ける。やっぱり奥の壁がおかしいことになっている。

 薄明るく赤く光って渦を巻いているような模様がゆっくり動いている。何だこれ。取り合えずスマホで写真を撮る。SNSに載せたらバズるだろうか。

 いや、CGと思われて終わりだ。何をしているんだ俺、どうすればいい。放っておけば消えるだろうか。悩んでいるうちに俺は渦を触ってしまう。

 アレ、感触がないぞ。それに手が渦の中に入る。渦の中は空間になっているようだ。俺は肩までいれて手で探る。

 俺は完全に油断していた。渦の向こうに何があるかわからないのだ。突然、手を掴まれると同時に渦の中に引っ張り込まれる。


 俺は引っ張られた勢いで倒れ込む。俺の下に女の子が倒れていた。まるで俺が幼女を押し倒している。これでは変質者じゃないか。

 幼女は透き通った青い目にきれいな白髪だった。成長したら美人になるだろう。青い目が赤みを帯びて光ると俺ははじきとばされて、おそらく天井にぶつかる。

 やばい、結構高いぞ落ちたら死ぬかも。俺は床に向かって落下する。俺は走馬灯を見る。床に衝突する寸前、俺の体は減速してゆっくり着地する。

 (ようこそ、わが家へ。)「えっ。」

俺は周りを見回す。ここは家の中だ。そして、立てかけてある板にクローゼットと同じ渦がある。俺はおそらくあそこから出てきたのだろう。

 (お前、異世界人か。)「えーっと。」

家の中には幼女しかいない。質問しているのは幼女だろう。だが、話しかけているにしてはおかしい。幼女は声を発していないようだ。

 (推察のとおり、我は直接、お前の頭の中に話しかけている。)「俺の考えていることが分かるの。」

 (むろんじゃ。お前は日本語を話しているのか。アラキア語をこの国では使っている。)「アラキア語を覚えないと話ができないのか。」

 (その通り。異世界にようこそ。)「俺、異世界に来たのか。異世界デビューなら何かチート能力が発現しているかな。」

 (ほう、ステータスと言うのか。見てやろう。)「おっ、レベルが高いと良いな。」

 (レベル庶民、魔法の適正は・・・)「もう言わなくていい。どうせ俺なんか、ただのぽっちゃりさんだよ。」

 (いじけるな。魔法の初歩を教えてやろう。)「俺、魔法が使えるのー」

 (フレアじゃ。火力も弱いし、ここでも安全じゃろ。)「まだ名前、教えてもらってないよね。萩原翼だ。よろしく。」

 (我はフルート・アーべライン、最古の魔女と呼ばれておる。)「フルートと呼んでいいかな。」

 (馴れ馴れしいが良かろう。我も翼と呼ぶぞ。)「よろしく。」

それから、俺はフレアと言う魔法を学ぶ。フレアは暗闇を照らすためのろうそくのような魔法だ。俺は筋が良いらしくすぐにできるようになる。

 俺は初めての魔法に浮かれて制御を謝る。炎が吹き上がり天井を焼く。俺は驚いて炎を抑えるが遅かった。天井は燃え広がりだす。

 フルートの行動は早かった。素早く消火すると焦げた天井を魔法で修復して何も無かったように見える。

 「フルート、ごめん。俺が悪かった。」(よくあることだ。失敗から学べよ。)

 「どうやって消火したんだ。水を使ってなかったけど。」(空気を遮断して温度を下げたのだ。)

 「魔法でそんなこともできるの。」(魔法はイメージだ。我ほどになれば雑作もない。)

俺は感心する。フルートは最古の魔女と呼ばれているのだ。きっとすごい魔法使いに違いない。

 (翼、そろそろ帰った方が良かろう。)「帰れるの。俺は帰れないものだと思っていたよ。」

 (我が空間をつなげたのだから、こちらから翼の世界に行けるに決まっているだろう。)「すごいよ。世界が広がったよ。」

俺は渦に入って部屋のクローゼットに戻る。部屋の時計を見ると1時間くらいしか経っていない。フルートの世界の方が倍くらい時間が経つのが早いようだ。

 俺は自分の部屋でフレアを使ってみる。ろうそくのような炎が出る。こちらの世界でも魔法が使える。素晴らしいことだ。俺のお手軽異世界ライフの始まりだ。

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